下血がみられる疾患はどれか。
公式正答:2
解説
下血がみられる疾患を問う。大腸癌である。
この問題で問われていること
症状が、どの臓器からの出血を示すかを判断できるか。
しくみから理解する
下血は、消化管からの出血が肛門から排出されることを指す。出血の部位によって性状が変わり、上部消化管(食道、胃、十二指腸)からの出血では、血液が胃酸と腸内で変化して黒色のタール便になる。下部消化管(大腸、直腸、肛門)からの出血では、鮮血または暗赤色の便になる。大腸癌は、腫瘍の表面から出血するため、下血(血便)をきたす代表的な疾患になる。ただし出血は間欠的であることが多く、出血しない時期もある。便潜血検査が1回陰性であっても、それだけで除外はできない。とくに直腸やS状結腸の癌では鮮血が混じり、右側結腸の癌では便に混じって気づかれにくく、慢性の鉄欠乏性貧血として発見されることもある。
選択肢ごとの確認
肝囊胞は、肝臓にできる液体の入った袋状の病変で、多くは無症状のまま経過する。消化管の内腔と交通しないため、下血をきたさない。大きくなれば圧迫による腹部膨満感や疼痛を生じることがある。
子宮体癌は、不正性器出血を主症状とする。閉経後の出血が代表的な徴候になる。出血は腟からであり、消化管からの下血とは経路が異なる。
腎細胞癌は、血尿を主症状の一つとする。古典的な三徴は血尿、腹部腫瘤、側腹部痛だが、現在は検診や他の目的の画像検査で偶然発見されることが多い。出血は尿路からであり、下血ではない。
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混同しやすいポイント
誤肢は、出血をきたす疾患(子宮体癌、腎細胞癌)と、出血をきたさない疾患(肝囊胞)で構成されている。出血をきたすものについては、どこから出るか(腟か、尿路か、消化管か)を区別する必要がある。「出血がある」ことと「下血である」ことは別になる。症状の名称が、経路まで含めて定義されていることを押さえる。
理解を深める
消化管出血の症状と部位の対応を整理する。吐血=上部消化管からの出血を口から吐く。鮮紅色なら食道からの出血や大量出血、コーヒー残渣様なら胃酸で変性した血液になる。下血(タール便、黒色便)=上部消化管からの出血が腸を通過する間に変化したもの。血便(鮮血便)=下部消化管からの出血。大量の上部消化管出血では、通過が速く鮮血便になることもある。原因疾患としては、上部=胃・十二指腸潰瘍、食道静脈瘤、マロリー・ワイス症候群、胃癌。下部=大腸癌、大腸憩室出血、虚血性大腸炎、潰瘍性大腸炎、痔核。看護では、出血の量と性状、バイタルサイン(頻脈、血圧低下=出血性ショックの徴候)、意識、皮膚の色と冷感、尿量を観察する。ショックの徴候があれば、直ちに医師へ報告し、静脈路の確保、酸素投与、輸液と輸血の準備を行う。潜血反応(便潜血検査)は、目に見えない出血を検出するもので、大腸癌検診の一次検査として用いられる。免疫法ではヒトヘモグロビンを検出するため、食事制限は不要になる。
間違えやすい考え方
症状から疾患を選ぶ型で、誤肢が別の経路からの出血と、出血しない疾患である。症状の定義が経路を含む点で切る。
5分で振り返る
①下血=消化管からの出血が肛門から排出されること。②上部消化管(食道・胃・十二指腸)からの出血は黒色のタール便、下部消化管(大腸・直腸・肛門)からは鮮血または暗赤色。③大腸癌は腫瘍の表面から出血するが、出血は間欠的であることが多く、便潜血検査が1回陰性でも除外できない。右側結腸の癌は慢性の鉄欠乏性貧血で発見されることもある。④子宮体癌は不正性器出血、腎細胞癌は血尿。経路が異なる。⑤肝囊胞は消化管と交通せず出血しない。⑥観察=出血の量と性状、バイタルサイン、意識、皮膚、尿量。⑦便潜血検査の免疫法はヒトヘモグロビンを検出するため食事制限は不要。
1分チェック
- 下血がみられるのは。→ 大腸癌(消化管からの出血)。
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