糖尿病〈diabetes mellitus〉の急 性合併症はどれか。
公式正答:4
解説
糖尿病の急性合併症を問う。ケトアシドーシス昏睡である。
この問題で問われていること
合併症を、急性と慢性で区別できるか。
しくみから理解する
糖尿病の合併症は、急性と慢性に分けられる。急性合併症は、多くは著しい高血糖または低血糖によって短時間で生じるもので、糖尿病ケトアシドーシス、高浸透圧高血糖状態、そして低血糖昏睡がある。糖尿病ケトアシドーシスは、インスリンの絶対的な不足により、糖を利用できずに脂肪が分解され、ケトン体が蓄積して代謝性アシドーシスをきたす状態になる。1型糖尿病でインスリンを中断した場合や、感染症などのストレスが加わった場合に生じやすい。症状は、口渇、多飲、多尿、悪心・嘔吐、腹痛、脱水、そしてクスマウル大呼吸(深く速い呼吸で、二酸化炭素を排出してアシドーシスを代償する)とアセトン臭になり、進行すると意識障害から昏睡に至る。
選択肢ごとの確認
足壊疽は慢性合併症になる。末梢神経障害による感覚の低下と、動脈硬化による血流の低下、そして感染への抵抗力の低下が重なって生じる。長い年月をかけて進行する。
脳血管疾患も慢性合併症(大血管障害)になる。高血糖が長期に続くことで動脈硬化が進み、脳梗塞などのリスクが高まる。
糖尿病網膜症は慢性合併症(細小血管障害)の代表になる。神経障害、腎症とあわせて三大合併症と呼ばれ、いずれも数年から十数年をかけて進行する。
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混同しやすいポイント
誤肢はすべて慢性合併症であり、時間の尺度がまったく異なる。慢性合併症は「細小血管障害(網膜症、腎症、神経障害)」と「大血管障害(虚血性心疾患、脳血管疾患、末梢動脈疾患)」に分けられ、足壊疽は神経障害と末梢動脈疾患の組み合わせで生じる。急性と慢性という切り口を持てば、一目で分けられる。
理解を深める
糖尿病の急性合併症を整理する。糖尿病ケトアシドーシス=インスリンの絶対的不足。1型に多い。血糖はおおむね250〜1,000mg/dLのことが多いが、診断に必須なのはケトン体陽性と代謝性アシドーシスであって、血糖の高さではない。SGLT2阻害薬の使用時、妊娠中、飢餓状態では血糖が200mg/dL未満でも生じる(正常血糖ケトアシドーシス)ため、血糖が高くないことを理由に否定しない。クスマウル大呼吸とアセトン臭。治療は生理食塩液による輸液、少量持続のインスリン静脈内投与、そしてカリウムの補正になる(インスリン投与により細胞内へカリウムが移動し、低カリウム血症をきたすため)。高浸透圧高血糖状態=インスリンの相対的不足。2型の高齢者に多い。血糖は600mg/dL以上と著しく高いが、ケトン体は軽度でアシドーシスは目立たない。著しい脱水と意識障害をきたす。感染症、脱水、利尿薬、経管栄養などが誘因になる。低血糖=血糖70mg/dL未満で自律神経症状(発汗、動悸、手指の震え、不安)、50mg/dL未満で中枢神経症状(頭痛、集中力の低下、意識障害、けいれん)が現れる。意識があればブドウ糖10gまたは砂糖20gを経口摂取、意識がなければブドウ糖の静脈内注射またはグルカゴンの投与になる。看護では、これらの徴候を早期にとらえること、シックデイ(発熱、下痢、嘔吐、食欲不振で通常の食事がとれない日)の対応をあらかじめ指導しておくことが重要になる。シックデイでは、インスリンを自己判断で中止しない、水分を十分にとる、こまめに血糖を測る、そして食べられないときは主治医へ連絡する、という原則を伝える。
間違えやすい考え方
急性と慢性を分ける型で、誤肢がすべて慢性合併症である。時間の尺度で切る。
5分で振り返る
①急性合併症=糖尿病ケトアシドーシス、高浸透圧高血糖状態、低血糖昏睡。②ケトアシドーシスはインスリンの絶対的不足(1型に多い)。ケトン体の蓄積で代謝性アシドーシス、クスマウル大呼吸とアセトン臭。③高浸透圧高血糖状態はインスリンの相対的不足(2型の高齢者に多い)。血糖600mg/dL以上、著しい脱水、ケトン体は軽度。④慢性合併症=細小血管障害(網膜症・腎症・神経障害)と大血管障害(虚血性心疾患・脳血管疾患・末梢動脈疾患)。足壊疽は神経障害と血流障害の組み合わせ。⑤ケトアシドーシスの治療は輸液・少量持続インスリン・カリウムの補正。⑥低血糖は70mg/dL未満で自律神経症状、50mg/dL未満で中枢神経症状。⑦シックデイではインスリンを自己判断で中止しない。
1分チェック
- 糖尿病の急性合併症は。→ ケトアシドーシス昏睡(ほかに高浸透圧高血糖状態と低血糖)。
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