薬物動態で肝臓が関与するのはどれか。
公式正答:3
解説
薬物動態で肝臓が関与するものを問う。代謝である。
この問題で問われていること
薬物動態の4つの過程と、担う臓器を対応づけられるか。
しくみから理解する
薬物動態は、吸収、分布、代謝、排泄の4つの過程からなる。このうち代謝の主な場が肝臓になる。肝細胞のチトクロームP450などの酵素により、薬物は酸化、還元、加水分解を受け(第Ⅰ相反応)、続いてグルクロン酸抱合、硫酸抱合などによって水に溶けやすい形へ変えられる(第Ⅱ相反応)。水溶性が高まることで、腎臓から尿へ排泄されやすくなる。経口投与された薬物は、消化管から吸収された後、門脈を経て必ず肝臓を通るため、全身の循環に入る前に一部が代謝される(初回通過効果)。
選択肢ごとの確認
吸収は、主に小腸で行われる。経口薬は胃で崩壊・溶解し、小腸の粘膜から吸収される。舌下錠、坐薬、貼付剤、注射は、この経路を通らないため初回通過効果を受けない。
分布は、血流に乗って組織へ運ばれる過程になる。血漿蛋白(主にアルブミン)との結合の程度、組織への移行性、血液脳関門の通過などが関わる。特定の臓器が担う過程ではない。
蓄積は、薬物動態の4つの過程には含まれない。脂溶性の高い薬物が脂肪組織に蓄積することはあるが、過程の名称としては用いられない。
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混同しやすいポイント
「肝臓=代謝、腎臓=排泄」という対応を押さえるのが要点になる。したがって、肝機能が低下している患者では代謝される薬物の血中濃度が上がりやすく、腎機能が低下している患者では腎から排泄される薬物が蓄積しやすい。高齢者では両方の機能が低下していることが多く、薬物有害事象が起こりやすい理由になる。誤肢に「蓄積」という、過程ではない語が置かれている点にも注意する。
理解を深める
薬物動態の理解は、投与量と間隔の設計、そして副作用の予測につながる。初回通過効果が大きい薬物は、経口では効果が得られにくいため、注射や舌下、経皮といった経路が選ばれる(ニトログリセリンの舌下錠が代表になる)。肝臓の代謝酵素は、他の薬物や食品によって働きが変わる。グレープフルーツジュースはチトクロームP450の一部を阻害し、カルシウム拮抗薬などの血中濃度を上げる。セント・ジョーンズ・ワートは逆に酵素を誘導し、多くの薬物の効果を弱める。ワルファリンは納豆、クロレラ、青汁に含まれるビタミンKによって効果が弱まる。腎排泄の薬物では、クレアチニンクリアランスや推算糸球体濾過量にもとづいて用量を調整する。血中濃度の測定が必要な薬物(治療薬物モニタリングの対象)には、ジゴキシン、テオフィリン、バンコマイシン、フェニトイン、リチウムなどがあり、有効域と中毒域が近いことが理由になる。看護では、内服の時間と食事との関係、併用薬とサプリメントの確認、そして肝機能・腎機能の検査値の把握が実務になる。
間違えやすい考え方
過程と臓器を対応づける型で、誤肢に過程でない語(蓄積)が混ぜられている。肝=代謝、腎=排泄で切る。
5分で振り返る
①薬物動態=吸収・分布・代謝・排泄の4過程。②代謝の主な場は肝臓(チトクロームP450などによる第Ⅰ相反応と、抱合による第Ⅱ相反応)。③水溶性が高まることで腎から排泄されやすくなる。④経口薬は門脈を経て肝臓を通るため初回通過効果を受ける。舌下・貼付・注射は受けない。坐薬は部分的で、下部直腸から下直腸静脈・中直腸静脈を経て大循環へ入る分は回避されるが、上部直腸から上直腸静脈を経る分は門脈へ入るため回避されない。⑤吸収は主に小腸、排泄は主に腎臓。⑥肝機能低下では代謝される薬物、腎機能低下では腎排泄の薬物が蓄積する。⑦グレープフルーツジュースは酵素を阻害し血中濃度を上げる。ワルファリンはビタミンKで効果が弱まる。
1分チェック
- 薬物動態で肝臓が担うのは。→ 代謝(腎臓は排泄)。
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