薬物の吸収速度が最も速いのはどれか。
公式正答:3
解説
薬物の吸収速度が最も速い投与経路を問う。静脈内注射である。
この問題で問われていること
投与経路と、血中濃度が上がる速さの関係を理解しているか。
しくみから理解する
静脈内注射は、薬物を直接血管内へ入れるため、吸収の過程を経ずに全身の循環へ届く。したがって作用の発現が最も速く、生物学的利用能は100%になる。他の経路では、投与部位から血管へ移行する過程(吸収)が必要であり、その分だけ遅れる。速さの順は、おおよそ静脈内>吸入>舌下>筋肉内>皮下>直腸内>経口>経皮になる。速いことは利点であると同時に、副作用も直ちに現れるという危険を伴う。誤った薬物や量を投与した場合、取り返しがつかないため、投与前の確認(患者、薬物、量、経路、時間、目的)を厳格に行う。
選択肢ごとの確認
経口投与は最も遅い部類になる。胃で崩壊・溶解し、小腸から吸収され、門脈を経て肝臓を通る(初回通過効果)ため、作用の発現まで30分から1時間程度かかる。
筋肉内注射は、皮下注射より血流が豊富なため速いが、静脈内注射には及ばない。作用の発現までおおむね10〜30分程度になる。
直腸内投与(坐薬)は、直腸下部からの吸収は初回通過効果を受けにくいという利点があるが、吸収の速さは静脈内注射に及ばない。嘔吐がある場合や、経口摂取ができない場合に用いられる。
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混同しやすいポイント
「血管へ直接入れる経路が最も速い」という一点で判断できる。関連して、初回通過効果の有無も整理しておく。受けるのは経口投与のみ(直腸の上部からの吸収は一部受ける)。受けないのは、静脈内、筋肉内、皮下、舌下、吸入、経皮、そして直腸下部になる。舌下錠を噛み砕いたり飲み込んだりすると、初回通過効果を受けて効果が失われるため、患者への説明が重要になる。
理解を深める
投与経路の選択は、必要な速さ、薬物の性質、患者の状態によって決まる。緊急時=静脈内注射(心停止時の薬剤、ショックへの対応)。持続的な効果=経口、経皮(貼付剤)、持続皮下注射、持続静脈内注射。経口摂取ができない=注射、坐薬、経管投与。局所への作用=吸入(気管支拡張薬、吸入ステロイド)、点眼、点鼻、外用。静脈内注射の看護では、血管の選択(前腕の太く直線的な血管、関節部を避ける)、清潔操作、血管外漏出の観察(腫脹、疼痛、発赤、滴下の不良)、そして投与速度の管理が要点になる。とくに、抗癌薬などの起壊死性薬剤の漏出は重篤な組織障害を招くため、刺入部の観察を頻回に行う。カリウム製剤の急速静注は致死的な不整脈を招くため、必ず希釈して緩徐に投与する(原液のワンショット静注は禁忌)。筋肉内注射では、部位の選択(中殿筋、三角筋)と、神経・血管の走行を避けることが重要になる。三角筋では橈骨神経、殿部では坐骨神経の損傷に注意する。
間違えやすい考え方
速さの順を問う型で、誤肢がすべて吸収の過程を経る経路である。血管へ直接入れるかで切る。
5分で振り返る
①静脈内注射は吸収の過程を経ず、生物学的利用能100%で作用の発現が最も速い。②速さの順はおおよそ静脈内>吸入>舌下>筋肉内>皮下>直腸内>経口>経皮。③経口は初回通過効果を受け、発現まで30分〜1時間程度。④初回通過効果を受けないのは静脈内・筋肉内・皮下・舌下・吸入・経皮・直腸下部。⑤速さは利点であると同時に、副作用も直ちに現れる危険を伴う。⑥血管外漏出の観察=腫脹、疼痛、発赤、滴下の不良。⑦カリウム製剤の原液ワンショット静注は禁忌(必ず希釈して緩徐に)。
1分チェック
- 吸収速度が最も速い投与経路は。→ 静脈内注射(吸収の過程を経ない)。
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