CO2 ナルコーシスの症状で正しいのはどれか。
公式正答:4
解説
二酸化炭素ナルコーシスの症状として正しいものを問う。意識障害である。
この問題で問われていること
高二酸化炭素血症が中枢神経へ及ぼす影響を説明できるか。
しくみから理解する
二酸化炭素ナルコーシスは、動脈血二酸化炭素分圧が急激に上昇し、中枢神経が抑制された状態を指す。三徴は、意識障害、自発呼吸の減弱、そして高度の呼吸性アシドーシスになる。慢性的に二酸化炭素が高い患者では、呼吸中枢が二酸化炭素の刺激に慣れてしまい、低酸素が呼吸を促す主な刺激になっている。ここへ高濃度の酸素を投与すると二酸化炭素分圧が上がるが、その機序は呼吸の刺激が失われることだけでは説明できない。実測では分時換気量の低下は一過性にとどまり、主な機序は、低酸素性肺血管収縮が解除されて換気血流比の不均等が悪化し死腔換気が増えること、およびホールデン効果(酸素化されたヘモグロビンが二酸化炭素を手放しにくくなること)とされる。二酸化炭素の増加は脳血管を拡張させて頭蓋内圧を上げ、また脳脊髄液のpHを下げることで、頭痛、発汗、羽ばたき振戦、傾眠、そして昏睡へと進む。
選択肢ごとの確認
咳嗽は、気道の刺激に対する防御反応であり、二酸化炭素ナルコーシスの症状ではない。むしろ、この状態では意識が低下し、咳嗽反射も弱まる。
徐脈は典型的ではない。二酸化炭素の上昇は交感神経を刺激し、頻脈、血圧上昇、皮膚の紅潮、発汗をきたすことが多い。ごく末期には徐脈に至ることもあるが、特徴的な症状としては挙げられない。
浮腫は、心不全、腎疾患、低アルブミン血症などで生じるもので、二酸化炭素ナルコーシスの症状ではない。慢性の呼吸不全に肺性心を合併すれば下腿の浮腫を認めることはあるが、ナルコーシスの徴候ではない。
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混同しやすいポイント
「ナルコーシス」は麻酔・昏睡を意味する語であり、中枢神経の抑制が本体になる。したがって、意識の変化が中心の症状になる。誤肢は、呼吸器の症状(咳嗽)、循環の症状(徐脈)、体液の症状(浮腫)で、いずれも中枢神経ではない。語の意味から導ける設問になる。
理解を深める
二酸化炭素ナルコーシスの予防と対応を整理する。予防=慢性閉塞性肺疾患などⅡ型呼吸不全のリスクがある患者では、酸素を低流量(鼻カニューレ0.5〜1L/分程度)から開始し、酸素飽和度の目標を88〜92%程度に設定して管理する(医師の指示による)。酸素飽和度が上がりすぎていないかも観察の対象になる。ベンチュリーマスクは、設定した濃度を安定して供給できるため、この目的に適する。早期の徴候=頭痛、発汗、顔面紅潮、頻脈、傾眠、そして落ち着きのなさ。羽ばたき振戦(手関節を背屈させた状態で手が羽ばたくように震える)も特徴的になる。「呼吸が楽そうになった」「よく眠っている」という変化を、改善と誤って解釈しないことが重要になる。対応=直ちに医師へ報告し、酸素の流量を指示に従って調整する。ただし、酸素を急に切ることは低酸素血症を招くため、自己判断で中止しない。動脈血ガス分析で二酸化炭素分圧とpHを確認し、必要に応じて非侵襲的陽圧換気または気管挿管による人工呼吸へ移行する。非侵襲的陽圧換気は、換気を補助して二酸化炭素を排出させるため、この病態に対する有効な治療になる。
間違えやすい考え方
症状を問う型で、誤肢が呼吸器・循環・体液の症状である。ナルコーシス=中枢神経の抑制という語の意味で切る。
5分で振り返る
①二酸化炭素ナルコーシス=動脈血二酸化炭素分圧の急激な上昇による中枢神経の抑制。②三徴=意識障害、自発呼吸の減弱、高度の呼吸性アシドーシス。③高濃度酸素で二酸化炭素が上がる主な機序は、低酸素性肺血管収縮の解除による換気血流比の不均等の悪化と死腔換気の増加、およびホールデン効果。呼吸の刺激が失われることだけでは説明できない。④早期の徴候=頭痛、発汗、顔面紅潮、頻脈、傾眠、羽ばたき振戦。⑤「楽そうになった」「よく眠っている」を改善と誤解しない。⑥予防=低流量から開始し、酸素飽和度88〜92%程度を目標に管理する。⑦酸素を自己判断で中止しない。非侵襲的陽圧換気が有効な治療になる。
1分チェック
- 二酸化炭素ナルコーシスの症状は。→ 意識障害(三徴は意識障害・自発呼吸の減弱・呼吸性アシドーシス)。
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