健常な女子(15 歳)が野外のコンサートで興奮し、頻呼吸を起こして倒れた。 このときの女子の体内の状態で正しいのはどれか。
公式正答:1
解説
過換気で二酸化炭素を吐きすぎると血液がアルカリ性に傾く。呼吸性アルカローシスの典型例。
この問題で問われていること
過換気で起こる体内の変化を、二酸化炭素とpHの関係から説明できるか。飽和度という指標の上限を理解しているか。
しくみから理解する
二酸化炭素は水と反応して炭酸となり、解離して水素イオンと重炭酸イオンを生じる。したがって血中の二酸化炭素が減れば水素イオンも減り、pHは上がる(アルカリ性に傾く)。過換気では換気量が過剰になって二酸化炭素を吐きすぎるため、動脈血二酸化炭素分圧が下がり、呼吸性アルカローシスになる。pHが上がると血漿蛋白質に結合するカルシウムが増えて遊離カルシウムが減り、神経筋の興奮性が高まって手指のしびれ、口周囲の異常感覚、テタニー(助産師の手)が出る。これが過換気症候群の症状である。 【接地元】ガイトン生理学 酸塩基平衡の調節・呼吸調節、人体の構造と機能 第5版 体液
選択肢ごとの確認
二酸化炭素を吐きすぎて水素イオンが減り、pHが上がる。呼吸性アルカローシス。
ヘマトクリットは血液に占める赤血球の容積の割合。過換気で変わるものではない。脱水では血液が濃縮されて上がるが、この場面はそれではない。
飽和度は「ヘモグロビンのうち酸素と結合している割合」なので、定義上100%を超えることはない。過換気では通常でもほぼ100%に近い値がそのまま保たれるだけ。
逆。吐きすぎているので低下する(基準値は35〜45mmHg)。高くなるのは換気が足りないとき。
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混同しやすいポイント
飽和度が100%を超えないことは、指標の定義を知っていれば即座に落とせる。パーセントで表す指標(飽和度・駆出率・ヘマトクリット)は上限があることを意識する。
理解を深める
過換気症候群の対応は近年変わっている。かつては紙袋を口に当てて自分の呼気を再吸入させるペーパーバッグ法が行われたが、低酸素をきたす危険があり、現在は推奨されない。まず本人を安心させ、ゆっくり呼吸するよう促し、他の疾患(肺塞栓・喘息・心疾患など)による頻呼吸でないことを確認するのが基本になる。第114回午後 問26の重炭酸イオンの問題と対にして、呼吸性と代謝性の区別を整理しておくとよい。
間違えやすい考え方
場面設定から生理学的な状態を推論させる型。「換気が多いか少ないか」→「二酸化炭素が減るか増えるか」→「pHが上がるか下がるか」の3段で機械的に導ける。
5分で振り返る
過換気→二酸化炭素の排出が過剰→PaCO2低下→水素イオン減少→pH上昇=呼吸性アルカローシス。pHが上がると蛋白質に結合するカルシウムが増え遊離カルシウムが減るため、手指のしびれ・口周囲の異常感覚・テタニーが出る。PaCO2の基準値は35〜45mmHg。酸素飽和度は割合なので100%を超えない。ペーパーバッグ法は低酸素の危険があり推奨されない。
1分チェック
- 過換気で動脈血二酸化炭素分圧はどうなるか
- そのときpHはどちらに傾くか
- なぜ手指がしびれるのか
- 酸素飽和度は100%を超えることがあるか
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