薬物の分解、排泄の速さの指標となるのはどれか。
公式正答:2
解説
薬物の分解、排泄の速さの指標となるものを問う。生物学的半減期である。
この問題で問われていること
薬物動態のパラメータが何を表すかを区別できるか。
しくみから理解する
生物学的半減期は、消失相において血中濃度が半分に低下するまでに要する時間を指す。基準は最高値に限らず、消失相の任意の濃度から測る。分解(代謝)と排泄がどれだけ速く進むかを表す指標であり、投与の間隔を決める根拠になる。一般に、半減期の4〜5倍の時間で薬物はほぼ体外へ消失し、また同じ間隔で反復投与すると、半減期の4〜5倍の時間で定常状態に達する。半減期が長い薬物は蓄積しやすく、肝機能または腎機能が低下している患者では半減期が延びるため、用量と間隔の調整が必要になる。
選択肢ごとの確認
最高血中濃度は、投与後に到達する濃度の最大値を指す。吸収の程度と分布の広さを反映するが、消失の速さを表すものではない。
濃度曲線下面積は、血中濃度の時間変化を示す曲線と時間軸で囲まれる面積で、体内へ入った薬物の総量(曝露量)を表す。生物学的利用能の評価に用いられる。
最高血中濃度到達時間は、投与から最高血中濃度に達するまでの時間で、吸収の速さを表す。消失の速さではない。
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混同しやすいポイント
4つのパラメータは、それぞれ別の側面を表す。吸収の速さ=最高血中濃度到達時間。吸収の程度=最高血中濃度、濃度曲線下面積。消失の速さ=生物学的半減期。この対応を持っていれば、設問文の「分解、排泄の速さ」という表現から一意に決まる。誤肢はすべて実在するパラメータであり、どれが何を表すかを問う型になる。
理解を深める
薬物動態のパラメータは、投与設計に直結する。半減期が短い薬物は、投与回数を増やすか、徐放性の製剤や持続投与を用いる。半減期が長い薬物は、投与間隔を空けられるが、蓄積による有害事象に注意する。定常状態に達するまで時間がかかる薬物では、初回に多めの量を投与して速やかに有効濃度へ到達させることがある(負荷投与)。治療域が狭い薬物では、血中濃度を測定して用量を調整する(治療薬物モニタリング)。対象となる代表的な薬物は、ジゴキシン、テオフィリン、フェニトイン、バンコマイシン、アミノグリコシド系抗菌薬、リチウム、免疫抑制薬になる。測定の時点も重要で、トラフ値(次回投与の直前の最低値)とピーク値(投与後の最高値)のどちらを測るかは薬物によって異なる。看護では、採血の時間を正確に守ること、投与の時間を記録すること、そして中毒の徴候(ジゴキシンでは悪心・嘔吐、視覚の異常、徐脈、不整脈。テオフィリンでは悪心、頻脈、けいれん。リチウムでは振戦、下痢、運動失調)を知っておくことが実務になる。腎機能の低下している患者や高齢者では、これらの薬物の蓄積が起こりやすい。
間違えやすい考え方
パラメータの意味を問う型で、誤肢がすべて吸収に関わる指標である。消失の速さで切る。
5分で振り返る
①生物学的半減期=血中濃度が半分に低下するまでの時間。分解と排泄の速さを表す。②半減期の4〜5倍でほぼ消失し、反復投与では同じ時間で定常状態に達する。③最高血中濃度到達時間は吸収の速さ、最高血中濃度と濃度曲線下面積は吸収の程度を表す。濃度曲線下面積は血中濃度を時間で積分した曝露量(単位は濃度×時間)であって、体内へ入った薬物の質量そのものではない。④半減期が長い薬物は蓄積しやすい。肝・腎機能が低下すると半減期が延びる。⑤治療域が狭い薬物は血中濃度を測定して調整する(治療薬物モニタリング)。⑥対象=ジゴキシン、テオフィリン、フェニトイン、バンコマイシン、リチウムなど。⑦採血の時点(トラフ値かピーク値か)を守る。
1分チェック
- 分解と排泄の速さを表すのは。→ 生物学的半減期(血中濃度が半分になる時間)。
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