多発性骨髄腫〈multiple myeloma〉 で腫瘍化しているのはどれか。
公式正答:3
解説
多発性骨髄腫で腫瘍化している細胞を問う。形質細胞である。
この問題で問われていること
造血器腫瘍を、腫瘍化した細胞の種類で区別できるか。
しくみから理解する
形質細胞は、B細胞が抗原の刺激を受けて最終的に分化した細胞で、抗体(免疫グロブリン)を産生する。多発性骨髄腫では、この形質細胞が単クローン性に増殖し、骨髄を占拠するとともに、単一の免疫グロブリン(Mタンパク)を大量に産生する。その結果、①骨髄の占拠による正常な造血の抑制(貧血、易感染性、出血傾向)、②破骨細胞の活性化による骨の破壊(骨痛、病的骨折、高カルシウム血症)、③Mタンパクと軽鎖による腎障害、④正常な免疫グロブリンの減少による易感染性、が生じる。
選択肢ごとの確認
B細胞が腫瘍化するのは、B細胞性のリンパ腫や慢性リンパ性白血病になる。形質細胞はB細胞から分化した細胞であり、段階が異なる。
T細胞が腫瘍化するのは、T細胞性のリンパ腫や成人T細胞白血病になる。成人T細胞白血病は、ヒトT細胞白血病ウイルス1型の感染によるもので、日本の南西部に多い。
造血幹細胞が腫瘍化するのは、慢性骨髄性白血病や骨髄異形成症候群になる。慢性骨髄性白血病では、フィラデルフィア染色体(9番と22番の相互転座)が特徴的な所見になる。
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混同しやすいポイント
血液の腫瘍は、どの段階の細胞が腫瘍化したかで分類される。造血幹細胞=慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群。前駆細胞=急性白血病。成熟B細胞=慢性リンパ性白血病、多くの非ホジキンリンパ腫。形質細胞=多発性骨髄腫。この階層を持っていれば、選択肢の並びが「分化の段階」で構成されていることが分かる。多発性骨髄腫は最も分化した段階の細胞が腫瘍化したものになる。
理解を深める
多発性骨髄腫の症状は、頭文字をとってCRABと呼ばれる4つで整理される。高カルシウム血症、腎障害、貧血、そして骨病変になる。診断には、血清・尿の蛋白電気泳動と免疫固定法(Mタンパクの検出)、遊離軽鎖比、骨髄検査(形質細胞の割合)、そして全身の画像検査(骨の打ち抜き像=パンチアウト病変)が用いられる。尿中に軽鎖が排泄されたものをベンス・ジョーンズ蛋白という。治療は、プロテアソーム阻害薬、免疫調節薬、抗体薬、副腎皮質ステロイドの組み合わせと、条件を満たす患者では自家造血幹細胞移植になる。骨病変にはビスホスホネート製剤またはデノスマブを用いる(顎骨壊死の予防のため、開始前に歯科の受診を勧める)。看護では、①病的骨折の予防(無理な体位変換を避け、体幹をねじらない。移動時は支える)、②高カルシウム血症の徴候(悪心、便秘、多尿、意識障害)の観察と、十分な補液、③腎障害の予防(脱水を避ける、腎毒性のある薬剤と造影剤に注意する)、④易感染性への対応(正常な免疫グロブリンが減っているため、手指衛生、口腔ケア、環境の整備、発熱時の速やかな報告)、⑤疼痛の管理が要点になる。骨痛は動作で強まり、患者の生活の質を大きく下げるため、鎮痛薬の使用と、痛みを誘発しない動作の工夫を一緒に考える。
間違えやすい考え方
腫瘍化した細胞を問う型で、誤肢が分化の段階の異なる細胞である。形質細胞=最も分化したB細胞と押さえる。
5分で振り返る
①形質細胞はB細胞が最終的に分化した細胞で、抗体を産生する。②多発性骨髄腫では形質細胞が単クローン性に増殖し、Mタンパクを大量に産生する。③症状はCRAB=高カルシウム血症、腎障害、貧血、骨病変。④骨のX線で打ち抜き像(パンチアウト病変)、尿中にベンス・ジョーンズ蛋白。⑤慢性骨髄性白血病と骨髄異形成症候群は造血幹細胞、急性白血病は前駆細胞、多くのリンパ腫は成熟B細胞またはT細胞が腫瘍化する。⑥骨病変にビスホスホネートまたはデノスマブ(開始前に歯科受診)。⑦看護=病的骨折の予防、高カルシウム血症の観察と補液、腎障害の予防、易感染性への対応、疼痛の管理。
1分チェック
- 多発性骨髄腫で腫瘍化しているのは。→ 形質細胞(抗体を産生する、最も分化したB細胞)。
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