ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉感染症 human immunodeficiency virus infection について正しいのはどれか。
公式正答:4
解説
ヒト免疫不全ウイルス感染症について正しいものを問う。保健所での検査は匿名で受けられる、である。
この問題で問われていること
検査を受けやすくする仕組みと、疾患の現状を正しく理解しているか。
しくみから理解する
保健所では、ヒト免疫不全ウイルスの抗体検査を、匿名かつ無料で受けられる。名前を告げる必要がなく、費用もかからないことで、検査へのためらいを減らし、早期発見につなげることを目的としている。多くの保健所では即日検査も実施している。早期に発見して治療を始めれば、後天性免疫不全症候群の発症を防ぎ、ほぼ通常の生活と寿命を保てるようになった。検査を受けやすくすることが、本人の健康と、感染の拡大の防止の両方に資するという考え方に立つ。
選択肢ごとの確認
令和2年(2020年)の新規報告数は、10年前と比べて減少している。日本の新規報告数は2007年頃をピークとして、以後は横ばいから緩やかな減少の傾向にある。ただし、検査の受検数も変動するため、実際の感染の動向と報告数は必ずしも一致しない。
日本では同性間の性的接触による感染が最も多い。新規報告のうち、男性同性間の性的接触が過半を占める。異性間の性的接触がこれに次ぎ、静脈注射薬物の使用や母子感染はごく少数になる。
現在の治療では完治しない。抗ウイルス薬の多剤併用療法により、血中のウイルス量を検出限界未満に抑え、免疫の機能を保つことができるが、ウイルスは体内に潜伏し続けるため、服薬の中断で再び増える。生涯にわたる服薬の継続が必要になる。
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混同しやすいポイント
誤肢は、統計の方向(増加/減少)、感染経路の順位、そして治療の到達点という3つの点で誤っている。とくに「完治する」という記述は、治療の進歩を過大に述べたものになる。現在の到達点は「病状の進行を止め、他者への感染も防げる状態を保つ」ことであり、体内からウイルスを除去することではない。ウイルス量が持続的に検出限界未満であれば、性行為による他者への感染は起こらないとされる点は、患者の生活に関わる重要な知識になる。
理解を深める
ヒト免疫不全ウイルスは、CD4陽性Tリンパ球に感染して破壊する。感染後、数週間で発熱、咽頭痛、リンパ節腫脹などのインフルエンザ様の急性期症状が現れることがあり、その後は数年から十数年の無症候期を経て、CD4の減少とともに日和見感染症や悪性腫瘍を発症する。この段階が後天性免疫不全症候群になり、指標となる23の疾患(ニューモシスチス肺炎、カンジダ症、サイトメガロウイルス感染症、カポジ肉腫、悪性リンパ腫、結核など)のいずれかを発症した時点で診断される。感染経路は、性的接触、血液(注射器の共用、輸血)、そして母子感染(経胎盤、産道、母乳)の3つに限られる。日常生活の接触(握手、食器の共用、入浴、咳、蚊)では感染しない。この点の理解が、偏見と差別をなくすうえで重要になる。医療現場では、標準予防策を徹底することが対策の基本になり、患者を特別扱いしない。針刺し事故が起きた場合は、直ちに流水で洗い、報告し、必要に応じて曝露後予防の内服を開始する(できるだけ早く、2時間以内が望ましい)。看護では、服薬の継続の支援、副作用への対応、そして病名の開示に関わるプライバシーの保護が求められる。感染症法では5類感染症に位置づけられ、診断した医師は7日以内に届け出る。
間違えやすい考え方
疾患の現状を問う型で、誤肢が統計の方向・感染経路の順位・治療の到達点で誤っている。「完治」という語に注意する。
5分で振り返る
①保健所での検査は匿名・無料で、多くは即日検査も行う。②日本の新規報告数は2007年頃をピークに、以後は横ばいから緩やかな減少。③感染経路は男性同性間の性的接触が最も多い。④現在の治療では完治しない。多剤併用療法でウイルス量を検出限界未満に抑え、生涯服薬を続ける。⑤ウイルス量が持続的に検出限界未満なら性行為による他者への感染は起こらない。⑥感染経路は性的接触・血液・母子感染の3つ。日常の接触では感染しない。⑦感染症法の5類感染症で、診断した医師は7日以内に届け出る。
1分チェック
- 保健所でのHIV検査は。→ 匿名かつ無料で受けられる(即日検査も多い)。
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