臨死期の身体的変化はどれか。
公式正答:3
解説
臨死期の身体的変化を問う。不規則な呼吸が出現する、である。
この問題で問われていること
死が近づくときに身体に起こる変化を、順序とともに知っているか。
しくみから理解する
死が近づくと、呼吸の中枢の機能が低下し、呼吸のリズムが乱れる。深く速い呼吸と浅く遅い呼吸を周期的に繰り返し、間に無呼吸を挟むチェーン・ストークス呼吸や、リズムも深さも不規則な失調性呼吸、そして顎だけを動かす下顎呼吸が現れる。下顎呼吸は死の直前の徴候になる。これらは苦しさの表れというより、呼吸の調節そのものが失われていく過程であり、家族へはその意味を説明して不安を和らげる。あわせて、気道の分泌物が貯留してゴロゴロという音(死前喘鳴)が生じることもある。
選択肢ごとの確認
尿量は減少する。循環血液量の減少と腎血流の低下により、乏尿から無尿へ向かう。尿の色は濃くなる。
全身の筋肉は弛緩する。硬直するのは死後の変化(死後硬直)で、死後2〜3時間で始まり、半日程度で全身に及び、1〜3日で緩解する。臨死期には、むしろ筋の緊張が失われ、下顎が下がり、括約筋も緩む。
順序が逆になる。末梢の循環から先に失われるため、橈骨動脈が触れなくなり、その後に頸動脈が触れなくなる。心臓に近い太い動脈ほど、最後まで拍動を触れる。
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混同しやすいポイント
誤肢は、方向が逆のもの(尿量、筋の状態、動脈の順序)で構成されている。臨死期の変化は「機能が落ちていく」方向に統一されており、増える・硬くなる・中枢から失われる、という記述はいずれも逆になる。とくに動脈の触知の順序は、循環の生理から導ける。末梢から順に失われ、中枢が最後まで残る。
理解を深める
臨死期の身体的変化を系統ごとに整理する。呼吸=リズムの乱れ(チェーン・ストークス呼吸、失調性呼吸)、下顎呼吸、死前喘鳴、酸素飽和度の低下。循環=血圧の低下、頻脈から徐脈へ、末梢の脈が触れなくなる、四肢の冷感とチアノーゼ、皮膚のまだら模様(斑状皮膚)。意識=傾眠から昏睡へ。ただし聴覚は最後まで保たれるとされ、話しかけることに意味がある。排泄=尿量の減少、失禁。消化=経口摂取の低下、嚥下の困難。その他=発熱または低体温、浮腫、眼の乾燥と半開、口腔の乾燥。看護では、①苦痛の緩和(疼痛、呼吸困難、口渇、体位の不快)、②清潔と保温、③口腔ケア(乾燥の緩和は最後まで大切なケアになる)、④環境の調整(静かで穏やかな環境、家族が過ごせる場所)、⑤家族への説明と支援(いま起きている変化の意味、してあげられること、看取りの場面の見通し)が中心になる。家族が手を握る、話しかける、好きだった音楽をかけるといった関わりは、家族自身の悲嘆の過程にも意味を持つ。死前喘鳴に対しては、体位の工夫と、必要に応じた薬物の使用を行うが、吸引は苦痛を伴うことが多く、慎重に判断する。
間違えやすい考え方
臨死期の変化を問う型で、誤肢がすべて方向の逆である。機能が落ちていく方向で切る。
5分で振り返る
①臨死期は呼吸のリズムが乱れる(チェーン・ストークス呼吸、失調性呼吸、下顎呼吸)。下顎呼吸は死の直前の徴候。②尿量は減少し、無尿へ向かう。③筋は弛緩する。硬直は死後の変化(死後2〜3時間で始まり半日で全身、1〜3日で緩解)。④脈は末梢から触れなくなる。橈骨動脈が先で、頸動脈が後。⑤循環=血圧低下、四肢の冷感とチアノーゼ、斑状皮膚。⑥聴覚は最後まで保たれるとされ、話しかけることに意味がある。⑦口腔ケアは最後まで大切なケア。死前喘鳴への吸引は苦痛を伴い慎重に判断する。
1分チェック
- 臨死期の呼吸は。→ 不規則になる(チェーン・ストークス呼吸、下顎呼吸)。
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