成人女性に対するベッド上での排泄援助とその目的の組合せで適切なのはどれ か。
公式正答:2
解説
成人女性に対するベッド上での排泄援助とその目的の組合せで適切なものを問う。上半身を挙上することによる、腹圧のかけやすさによる排泄促進である。
この問題で問われていること
援助の手技と、その根拠を正しく結びつけられるか。
しくみから理解する
床上排泄では、仰臥位のままでは腹圧をかけにくく、排泄が困難になる。上半身を挙上すると、日常の排泄の姿勢に近づき、横隔膜と腹筋を使って腹圧をかけやすくなる。また、重力の方向が便器へ向かうため、排尿・排便が進みやすい。可能であれば、膝を立てて足底をベッドにつけると、さらに力が入りやすくなる。ベッドを30〜45度程度挙上するのが目安になる。ただし、循環動態が不安定な患者や、挙上が禁忌の患者では、この限りではない。
選択肢ごとの確認
窓を開けることは、寒冷刺激による排尿促進のためではない。室温を下げることは、患者の体温を奪い、羞恥心と緊張を強め、かえって排泄を妨げる。臭気への配慮としては、換気や消臭が行われるが、それは排尿の促進が目的ではない。排尿を促す方法としては、流水の音を聞かせる、温かいタオルを下腹部に当てる、陰部に微温湯をかける、といった方法がある。
外陰部にトイレットペーパーを当てるのは、尿臭の防止ではなく、尿が飛散するのを防ぐためになる。女性では尿道口から尿が前方へ飛ぶことがあり、寝衣や寝具の汚染を防ぐ目的で行う。
便器の底にトイレットペーパーを敷くのは、寝具の汚染防止ではなく、排泄音の軽減と、便器への付着を防いで後片付けをしやすくするためになる。寝具の汚染を防ぐのは、便器の下に防水シーツを敷くことになる。
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混同しやすいポイント
誤肢は、手技そのものは実際に行われるが、目的の説明が誤っているという構成になっている。「何のためにするのか」を正確に押さえていないと、手技に見覚えがあるだけで正しいと判断してしまう。組合せを問う設問では、両方を確認する。とくに、窓を開けることを「寒冷刺激で排尿を促す」と説明する選択肢は、生理学的にも看護の配慮としても誤りになる。
理解を深める
床上排泄の援助の要点を整理する。準備=目的と手順を説明し、同意を得る。カーテンやスクリーンでプライバシーを確保し、同室者への配慮を行う。室温を保ち、必要以上に露出しない。便器は温めておく(冷たい便器は不快と筋の緊張を招く)。手袋とエプロンを着用する。実施=腰を上げてもらう、または側臥位にして便器を挿入する。便器の位置を確認し、女性では尿の飛散を防ぐためにトイレットペーパーを当てる。ベッドを30〜45度挙上し、可能なら膝を立てる。ナースコールを手元に置き、いったん退室して排泄に集中できる環境をつくる(ただし転落や状態の変化に注意し、長く放置しない)。終了後=陰部を前から後ろへ清拭し、必要に応じて洗浄する。便器を静かに外し、寝衣と寝具を整える。排泄物の量、性状、色、におい、そして残便感・残尿感を観察し記録する。患者の疲労とバイタルサインも確認する。羞恥心への配慮は、床上排泄の援助で最も重要な視点になる。声のかけ方、時間のかけ方、においへの対応、そして「申し訳ない」という気持ちへの応答が、その人の尊厳に関わる。可能であれば、ポータブルトイレやトイレでの排泄へ段階的に移行することを目指す。
間違えやすい考え方
手技と目的の組合せを問う型で、誤肢が目的の説明で誤っている。手技だけでなく根拠を確認する。
5分で振り返る
①上半身を30〜45度挙上すると、日常の排泄姿勢に近づき腹圧をかけやすくなる。膝を立てるとさらに力が入る。②窓を開けるのは排尿促進のためではない。室温の低下は体温を奪い緊張を強める。③外陰部にトイレットペーパーを当てるのは、尿の飛散を防ぐため。④便器の底にトイレットペーパーを敷くのは、排泄音の軽減と付着の防止。⑤寝具の汚染を防ぐのは便器の下の防水シーツ。⑥排尿を促す方法=流水の音、下腹部の温罨法、陰部への微温湯。⑦便器は温めておき、プライバシーを確保し、ナースコールを手元に置く。
1分チェック
- 床上排泄で上半身を挙上するのは。→ 腹圧をかけやすくして排泄を促すため。
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