穿刺と穿刺部位の組合せで適切なのはどれか。
公式正答:3
解説
穿刺と穿刺部位の組合せで適切なものを問う。腹腔穿刺と腹直筋外側の側腹部である。
この問題で問われていること
各穿刺の部位を、解剖学的な理由とともに覚えているか。
しくみから理解する
腹腔穿刺は、腹水の採取または排液のために行う。穿刺部位は、臍と左上前腸骨棘を結ぶ線の外側3分の1の点(モンロー・リヒター線上)や、腹直筋の外側の側腹部が選ばれる。腹直筋を避けるのは、腹壁下動脈などの血管の走行を避けるためになる。また、腸管や膀胱を傷つけないよう、事前に超音波で腹水の貯留と腸管の位置を確認し、排尿を済ませてもらう。体位は仰臥位または半坐位で、腹水が穿刺部位へ集まるよう調整する。
選択肢ごとの確認
胸腔穿刺の部位は胸骨柄ではない。空気を抜く場合(気胸)は鎖骨中線上の第2〜3肋間、液体を抜く場合(胸水)は中腋窩線または後腋窩線上の第5〜7肋間程度になる。いずれも、肋間動静脈と神経が肋骨の下縁を走るため、肋骨の上縁に沿って穿刺する。
骨髄穿刺の部位は第3・4腰椎間ではない。成人では後腸骨稜(上後腸骨棘)が第一選択で、胸骨も用いられる。第3・4腰椎間は腰椎穿刺の部位になる。
腰椎穿刺の部位は上前腸骨棘ではない。左右の腸骨稜の最高点を結ぶ線(ヤコビー線)が第4腰椎棘突起の高さを通るため、これを目印に第3・4腰椎間または第4・5腰椎間から穿刺する。脊髄円錐は成人で第1・2腰椎の高さで終わるため、それより下方を選んで脊髄の損傷を避ける。
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混同しやすいポイント
選択肢は、部位が互いに入れ替えられている(骨髄穿刺に腰椎穿刺の部位、腰椎穿刺に骨盤の骨の名称)。それぞれの穿刺について、「何を避けるためにその部位を選ぶのか」を押さえると混同しない。胸腔=肋間の血管神経を避けて肋骨上縁。腹腔=腹壁の血管と腸管を避けて側腹部。骨髄=造血が盛んで安全に到達できる腸骨稜。腰椎=脊髄円錐より下方。
理解を深める
各穿刺の看護を整理する。共通=目的と手順の説明と同意、体位の保持の介助、無菌操作、バイタルサインと患者の状態の観察、穿刺後の安静と観察。胸腔穿刺=坐位で前傾し、テーブルに腕を乗せる体位。穿刺中は動かない、咳をしないよう伝える。合併症は気胸、出血、感染、再膨張性肺水腫(一度に大量に抜くと生じる。1回1,000〜1,500mL程度までとする)。腹腔穿刺=排尿を済ませる。大量に排液すると循環血液量が減って血圧が低下するため、速度と量に注意し、アルブミンの補充を行うこともある。穿刺後は腹囲と体重、バイタルサインを測定する。骨髄穿刺=側臥位または腹臥位。強い痛みを伴うため、局所麻酔と声かけを行う。穿刺後は圧迫止血を行い、出血傾向のある患者ではとくに長めに圧迫する。腰椎穿刺=側臥位で膝を抱えて背中を丸める(椎間を広げる)。穿刺後に1〜2時間程度、枕を外して安静にする手順をとる施設は多い。ただし臥床安静に硬膜穿刺後頭痛を予防する効果があることは、比較試験と系統的レビューで示されていない。施設の手順として行うものであって、予防効果が証明された処置ではない。頭蓋内圧が亢進している場合は、脳ヘルニアを起こす危険があるため禁忌になる。
間違えやすい考え方
部位の組合せを問う型で、誤肢が互いの部位を入れ替えている。何を避けるための部位かで切る。
5分で振り返る
①腹腔穿刺=腹直筋外側の側腹部、またはモンロー・リヒター線上。腹壁の血管と腸管を避ける。事前に排尿し、超音波で確認する。②胸腔穿刺=空気は鎖骨中線上の第2〜3肋間、液体は腋窩線上の第5〜7肋間。肋骨の上縁に沿って刺す(血管神経は下縁を走る)。③骨髄穿刺=成人は後腸骨稜が第一選択、胸骨も用いる。④腰椎穿刺=ヤコビー線を目印に第3・4または第4・5腰椎間。脊髄円錐は第1・2腰椎で終わる。⑤胸腔穿刺で一度に大量に抜くと再膨張性肺水腫を起こす。⑥腹腔穿刺の大量排液は血圧低下を招く。⑦腰椎穿刺は頭蓋内圧亢進時は禁忌(脳ヘルニアの危険)。
1分チェック
- 腹腔穿刺の部位は。→ 腹直筋の外側の側腹部(腹壁の血管と腸管を避ける)。
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