関節拘縮の予防を目的とした関節可動域〈ROM〉訓練で正しいのはどれか。
公式正答:3
解説
関節拘縮の予防を目的とした関節可動域訓練で正しいものを問う。他動運動は痛みが生じないように行う、である。
この問題で問われていること
訓練の原則を、組織の性質から導けるか。
しくみから理解する
関節拘縮は、関節周囲の軟部組織(皮膚、筋、腱、靱帯、関節包)が短縮し、伸びにくくなることで生じる。予防と改善には、これらの組織をゆっくり伸ばすことが必要になる。急に強く動かせば、組織を傷つけて炎症を起こし、かえって線維化を招いて拘縮を強める。したがって、他動運動は、ゆっくりと、痛みが生じない範囲で、支持しながら行う。目安として、可動域の最終域で軽い抵抗を感じる程度にとどめ、数秒間保持する。患者に痛みの有無を確認しながら進める。
選択肢ごとの確認
関節を速く動かすのは誤りになる。速い動きは筋の伸張反射を誘発して筋緊張を高め、また組織の損傷を招く。ゆっくりと動かすことが原則になる。
運動麻痺がある場合、健側から行うのが原則になる。健側で動きを体験してもらうことで、方法を理解しやすくなり、不安も減る。患側から始めると、痛みや恐怖が先に立ち、協力を得にくい。
徒手筋力テストの結果が1以下(筋の収縮がわずかに触れるか、まったくない)の場合、自動運動はできない。この段階では他動運動を行う。段階2では重力を除いた肢位での自動運動、段階3以上で重力に抗した自動運動、段階4〜5では抵抗を加えた運動へ進む。
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混同しやすいポイント
誤肢は、速度(速く/ゆっくり)、順序(患側/健側)、そして筋力の段階と運動の種類の対応で誤っている。いずれも、組織の性質と患者の心理から根拠を導ける。とくに「健側から」という原則は、更衣(脱健着患)や移乗(健側へ)とは別の場面であり、混同しないよう場面ごとに整理する。
理解を深める
関節可動域訓練の実際を整理する。種類=他動運動(すべて介助者が動かす)、自動介助運動(患者の力を介助者が補う)、自動運動(患者が自分で動かす)、抵抗運動(抵抗を加えて筋力を強める)。筋力に応じて段階的に進める。実施の要点=①開始前に関節と皮膚の状態、疼痛、腫脹、可動域を確認する。②関節の上下を支持し、関節に無理な力がかからないようにする。③生理的な運動の方向に沿って動かす(屈曲・伸展、外転・内転、回旋、回内・回外)。④1つの関節につき数回ずつ、1日2回程度が目安になる。⑤入浴後や温罨法の後は組織が伸びやすい。⑥患者に説明し、可能な範囲で自分で動かしてもらう。禁忌と注意=骨折の直後、急性の炎症、深部静脈血栓症が疑われる場合、異所性骨化、循環動態が不安定な場合には、医師の指示を確認する。拘縮の予防は、訓練だけでなく、日常の姿勢とポジショニング(良肢位の保持、クッションの使用)、そして早期離床が土台になる。関節が固まってからでは戻しにくいため、予防が最も重要になる。看護では、日々のケアの中に関節を動かす機会を組み込む(更衣、清拭、体位変換の際に自然に動かす)ことが、実行しやすい方法になる。
間違えやすい考え方
訓練の原則を問う型で、誤肢が速度・順序・筋力段階の対応で誤っている。組織の性質と患者の心理で切る。
5分で振り返る
①関節拘縮は関節周囲の軟部組織の短縮による。ゆっくり伸ばすことが必要。②他動運動は、痛みが生じない範囲で、支持しながらゆっくり行う。③速く動かすと伸張反射で筋緊張が高まり、組織も傷つく。④運動麻痺がある場合は健側から行う(方法を理解しやすく、不安も減る)。⑤徒手筋力テスト1以下では他動運動、2は重力を除いた自動運動、3以上で重力に抗した自動運動。⑥入浴後や温罨法の後は組織が伸びやすい。⑦拘縮の予防は、訓練に加えてポジショニング(良肢位)と早期離床が土台になる。
1分チェック
- 他動運動の原則は。→ ゆっくりと、痛みが生じない範囲で行う。
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