放射線治療で人体の吸収線量を表す単位はどれか。
公式正答:3
解説
放射線治療で人体の吸収線量を表す単位を問う。グレイ(Gy)である。
この問題で問われていること
放射線に関する単位を、何を測るかで区別できるか。
しくみから理解する
吸収線量は、物質1kgあたりに吸収された放射線のエネルギー量を表し、単位はグレイになる。1グレイは1kgあたり1ジュールのエネルギーが吸収されたことを意味する。放射線治療では、標的にどれだけのエネルギーを与えるかが治療効果を決めるため、この単位で処方される。たとえば前立腺癌の外照射では、1回2グレイ程度を週5回、合計70グレイ台まで照射するといった形になる。
選択肢ごとの確認
ベクレル(Bq)は放射能の強さを表す単位で、1秒あたりに崩壊する原子核の数を示す。放射性物質そのものの量を表し、食品や環境中の放射性物質の測定に用いられる。
電子ボルト(eV)はエネルギーの単位で、放射線1個あたりのエネルギーを表す。放射線の性質(透過力など)に関わるが、吸収された量を表すものではない。
シーベルト(Sv)は等価線量および実効線量の単位で、人体への影響の大きさを表す。吸収線量に、放射線の種類による影響の違い(放射線加重係数)と、臓器ごとの感受性の違い(組織加重係数)を掛けて求める。防護の場面(被曝の管理、線量限度)で用いられる。
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混同しやすいポイント
3つの単位を、測る対象で区別する。ベクレル=放射線を出す能力(線源の側)。グレイ=吸収されたエネルギー(物質の側)。シーベルト=人体への影響(防護の側)。治療では「どれだけのエネルギーを与えるか」が問題なのでグレイ、防護では「どれだけの害があるか」が問題なのでシーベルトになる。この使い分けが、設問の要点になる。
理解を深める
放射線防護の基本を整理する。3原則=距離(線源から離れる。距離の2乗に反比例して減る)、時間(被曝する時間を短くする)、遮蔽(鉛や鉛入りの防護衣、コンクリートで遮る)。職業被曝の線量限度は、実効線量で5年間につき100ミリシーベルト、かつ1年間につき50ミリシーベルト(女性はさらに3か月につき5ミリシーベルト、妊娠が判明した場合は出産までの腹部表面で2ミリシーベルト)。眼の水晶体と皮膚には等価線量の限度が別に定められる。放射線の影響は、確定的影響(しきい値がある。しきい値は、曝露した集団のおよそ1%に影響が現れる線量として定められるもので、それを超えれば全員に必ず生じるという意味ではない。感受性には個人差があり、線量が増えるにつれて発生率と重症度が高まる。脱毛、皮膚炎、白内障、不妊)と、確率的影響(しきい値がなく、線量に応じて確率が上がる。発癌、遺伝的影響)に分けられる。看護では、密封小線源治療(前立腺への永久挿入、婦人科領域の腔内照射)を受ける患者の看護で、防護の3原則を実践する。永久挿入の場合は、線源が体内にとどまるため、退院後の家族との接触について(幼児と妊婦との長時間の密着を避けるなど)説明する。外照射を受ける患者は、体内に放射線が残らないため、周囲への影響はなく、日常生活の制限も不要になる。この点を患者と家族に正しく伝えることが、不安の軽減につながる。
間違えやすい考え方
単位の意味を問う型で、誤肢が放射能・エネルギー・人体への影響の単位である。測る対象で切る。
5分で振り返る
①グレイ=吸収線量。物質1kgあたりに吸収されたエネルギー(1Gy=1J/kg)。放射線治療の処方に用いる。②ベクレル=放射能の強さ。1秒あたりの崩壊数。線源の側を測る。③シーベルト=等価線量・実効線量。人体への影響を表し、防護の場面で用いる。④電子ボルト=放射線1個あたりのエネルギー。⑤防護の3原則=距離・時間・遮蔽。⑥確定的影響(しきい値あり:脱毛、皮膚炎、白内障、不妊)と確率的影響(しきい値なし:発癌、遺伝的影響)。⑦外照射では体内に放射線が残らず、周囲への影響も生活の制限もない。
1分チェック
- 吸収線量の単位は。→ グレイ(Gy)。人体への影響はシーベルト(Sv)。
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