胃切除術後のダンピング症候群 dumping syndrome を予防するための食事指導で適切なのはどれか。
公式正答:3
解説
胃切除術後のダンピング症候群を予防するための食事指導で適切なものを問う。1回の摂取量を少なくすることである。
この問題で問われていること
症候群の機序から、食事の工夫を導けるか。
しくみから理解する
胃切除後は、食物を貯留して少しずつ送り出す機能が失われ、食べたものが一度に小腸へ流れ込む。早期ダンピング症候群は、食後30分以内に起こり、高浸透圧の内容物が小腸へ入ることで、血管内から腸管内へ水が移動し、循環血液量が減る。加えて消化管ホルモンが放出される。症状は、動悸、発汗、めまい、脱力、腹痛、下痢、悪心になる。後期ダンピング症候群は食後2〜3時間に起こり、急速に吸収された糖により血糖が急上昇し、その反応でインスリンが過剰に分泌されて低血糖をきたす。症状は、発汗、震え、脱力、めまい、意識の低下になる。いずれも、一度に大量の食物が流れ込むことが引き金になるため、1回の量を減らし、回数を増やすことが予防の基本になる。
選択肢ごとの確認
15分以内に食べるのは逆になる。よく噛んでゆっくり食べる(30分程度かける)ことで、小腸への流入を緩やかにする。
糖質の多い食事は避ける。糖質は浸透圧を高め、また急速に吸収されて血糖の乱高下を招く。蛋白質と脂質を適度に含む食事にする。
1日の食事回数は増やす。1回の量を減らす代わりに、1日5〜6回に分けて摂る(分割食)。回数を減らせば1回の量が増え、症状が悪化する。
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混同しやすいポイント
誤肢は、いずれも「一度にたくさん、速く、糖質を」という方向になっており、症候群の機序と正反対になる。機序(一度に大量に流れ込むこと)を押さえていれば、すべて除外できる。「少量・頻回・ゆっくり・糖質を控える」が指導の骨格になる。
理解を深める
胃切除後の食事指導を整理する。量と回数=1回の量を減らし、1日5〜6回に分ける。速度=よく噛んで、30分程度かけてゆっくり食べる。内容=糖質(とくに単純糖質)を控え、蛋白質を十分に摂る。脂質は適度に。水分=食事中の水分は内容物の移動を速めるため控えめにし、食間に摂る。体位=食後20〜30分は横になるか、上体を少し倒して安静にすると、早期ダンピングの症状が和らぐ(ただし逆流性食道炎がある場合は上体を起こす)。後期ダンピングへの備え=症状が出たときのために飴や砂糖を携帯する。長期の合併症=ビタミンB12の欠乏(内因子の分泌が減るため。全摘では数年後に巨赤芽球性貧血をきたすので定期的に補充する)、鉄欠乏性貧血(胃酸の減少により鉄の吸収が落ちる)、カルシウムとビタミンDの吸収低下による骨粗鬆症、そして体重の減少と低栄養。逆流性食道炎、輸入脚症候群、残胃癌も起こりうる。看護では、退院後の食事が最大の課題になることが多く、実際に食べられる量と内容を一緒に確認し、体重と症状を記録してもらいながら、段階的に食事を広げていく支援が有効になる。少しずつ食べられる量が増えることを伝え、焦らせないことも重要になる。
間違えやすい考え方
予防の指導を問う型で、誤肢がすべて機序と正反対の方向である。一度に大量に流れ込むという機序で切る。
5分で振り返る
①胃切除後は貯留機能が失われ、食物が一度に小腸へ流れ込む。②早期ダンピング(食後30分以内)=高浸透圧により水が腸管へ移動し循環血液量が減る。動悸、発汗、めまい、腹痛、下痢。③後期ダンピング(食後2〜3時間)=急速な糖の吸収とインスリンの過剰分泌による低血糖。④指導の骨格=少量・頻回(1日5〜6回)・ゆっくり(30分程度)・糖質を控える。⑤食事中の水分は控え、食間に摂る。⑥食後20〜30分は安静にする。低血糖に備えて飴を携帯する。⑦長期の合併症=ビタミンB12欠乏による巨赤芽球性貧血、鉄欠乏性貧血、骨粗鬆症、体重減少。
1分チェック
- ダンピング症候群の予防は。→ 1回の量を少なく(少量・頻回・ゆっくり・糖質を控える)。
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