成人のばね指〈snapping finger〉で正 しいのはどれか。
公式正答:2
解説
成人のばね指で正しいものを問う。原因は腱の炎症である、である。
この問題で問われていること
疾患の機序と好発の傾向を正しく覚えているか。
しくみから理解する
ばね指(狭窄性腱鞘炎)は、指を曲げる腱(屈筋腱)と、それを押さえる腱鞘(靱帯性腱鞘、A1プーリー)の間に炎症が起こり、腱が肥厚したり腱鞘が狭くなったりすることで生じる。腱が滑らかに動かなくなり、指を伸ばすときに引っかかって、ある角度で急に跳ねるように伸びる(ばね現象)。進行すると、指が曲がったまま伸びなくなる。原因は、手をよく使うことによる摩擦と炎症で、糖尿病、関節リウマチ、透析、妊娠・産後、更年期の女性で頻度が高い。
選択肢ごとの確認
男性に多いのではなく、女性に多い。とくに更年期以降の女性、妊娠中と産後の女性に好発する。ホルモンの変化が腱鞘の性状に影響すると考えられている。
好発部位は示指ではなく、母指が最も多い。次いで中指、環指の順になる。母指のばね指は「弾発母指」と呼ばれることもある。
積極的なストレッチは適切でない。炎症が原因であるため、まず安静と局所の負担の軽減が基本になる。強く伸ばすことは炎症を悪化させる。治療は、安静、装具による固定、消炎鎮痛薬、腱鞘内へのステロイド注射、そして改善しない場合の腱鞘切開術になる。
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混同しやすいポイント
誤肢は、性別、好発部位、そして治療の方針という3点で誤っている。「炎症だから安静」という原則を押さえれば、少なくとも選択肢4は除外できる。運動器の疾患では、炎症の急性期は安静、慢性期や拘縮の予防では運動、という使い分けが基本になる。ばね指では、指が動かせないことによる拘縮の予防のために、痛みの範囲内で愛護的に動かすことはあるが、「積極的なストレッチ」ではない。
理解を深める
手の代表的な疾患を整理する。ばね指(狭窄性腱鞘炎)=屈筋腱と腱鞘の炎症。母指に最多。ばね現象。ド・ケルバン腱鞘炎=母指の伸筋腱(短母指伸筋腱と長母指外転筋腱)の腱鞘炎。手関節の母指側の痛み。フィンケルシュタインテストが陽性になる。産後の女性に多い。手根管症候群=手根管内で正中神経が圧迫される。母指から環指の橈側半分のしびれ、母指球の萎縮、夜間や明け方に強い痛み。ティネル徴候とファレンテストが陽性。透析、妊娠、関節リウマチ、糖尿病、甲状腺機能低下症で頻度が高い。デュピュイトラン拘縮=手掌腱膜の線維化により、環指と小指が伸びなくなる。中高年の男性、糖尿病、飲酒と関連する。ヘバーデン結節=遠位指節間関節の変形性関節症。中年以降の女性に多い。ブシャール結節は近位指節間関節。関節リウマチとの鑑別が重要になる(関節リウマチは近位指節間関節と中手指節関節を侵し、遠位指節間関節は侵さないことが多い)。看護では、手を使う作業の調整、装具の使用の指導、疼痛の管理、そして日常生活動作の工夫(自助具の使用)が支援になる。
間違えやすい考え方
疾患の特徴を問う型で、誤肢が性別・好発部位・治療の方針で誤っている。炎症だから安静という原則で切る。
5分で振り返る
①ばね指(狭窄性腱鞘炎)=屈筋腱と腱鞘の炎症により腱の滑りが悪くなる。指を伸ばすときに引っかかり急に跳ねる(ばね現象)。②好発部位は母指が最多、次いで中指、環指。③女性に多い(更年期以降、妊娠中と産後)。④背景疾患=糖尿病、関節リウマチ、透析。⑤治療は安静、装具、消炎鎮痛薬、腱鞘内ステロイド注射、改善しなければ腱鞘切開術。積極的なストレッチは炎症を悪化させる。⑥ド・ケルバン腱鞘炎は母指の伸筋腱の腱鞘炎で、フィンケルシュタインテストが陽性。⑦手根管症候群は正中神経の圧迫で、母指から環指橈側のしびれと母指球の萎縮。
1分チェック
- ばね指の原因は。→ 腱と腱鞘の炎症(母指に最多、女性に多い)。
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