広汎子宮全摘出術を受けた患者への退院後の生活に関する説明で正しいのはどれ か。
公式正答:2
解説
広汎子宮全摘出術を受けた患者への退院後の生活に関する説明で正しいものを問う。「定期的に排尿を試みてください」である。
この問題で問われていること
術式に伴う特有の合併症を知っているか。
しくみから理解する
広汎子宮全摘出術は、子宮頸癌に対して行われる手術で、子宮と腟の一部、基靱帯を含む周囲の組織、そして骨盤内のリンパ節を広く切除する。この際、骨盤内を走る自律神経(骨盤内臓神経、下腹神経)が損傷されることがあり、排尿の障害が生じる。膀胱の収縮が弱まり、また尿意を感じにくくなるため、尿が溜まっても気づかず、残尿が増え、尿路感染と溢流性尿失禁を招く。したがって、尿意の有無にかかわらず、時間を決めて定期的に排尿を試みることが必要になる。3〜4時間ごとの時間排尿を目安に、残尿量と膀胱内圧を評価する。腹圧排尿を一律に勧めず、高圧排尿や逆流の危険があれば避け、残尿が多い場合は間欠的自己導尿を指導する。
選択肢ごとの確認
性交の再開は、術後2週では早すぎる。腟断端の治癒には時間がかかり、通常は術後1〜2か月以降、医師の診察で治癒を確認してからになる。早すぎる再開は、腟断端の離開と出血を招く。
調理のときに手袋をする必要はない。この指導は、化学療法後の易感染状態や、抗癌薬の取り扱いに関わるものと混同したものになる。広汎子宮全摘出術そのものに、こうした制限はない。
退院当日から浴槽の湯に浸かることはできない。創部の治癒と、腟断端からの感染の予防のため、一定期間はシャワー浴とする。入浴の再開の時期は、医師の指示による(おおむね術後1か月程度)。
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混同しやすいポイント
誤肢は、時期が早すぎるもの(性交、入浴)と、別の治療の指導と混同したもの(手袋)で構成されている。この術式に特有の合併症は、排尿障害とリンパ浮腫の2つになる。それを知っていれば、排尿に関する選択肢が正答だと分かる。手術の範囲(何が切除され、何が損傷されうるか)から合併症を導く、という考え方が要点になる。
理解を深める
広汎子宮全摘出術後の看護を整理する。排尿障害=術後は膀胱留置カテーテルを留置し、抜去後は残尿を測定する。定期的な排尿(時間排尿)を行い、残尿量や尿路動態を評価する。腹圧排尿は一律に勧めず、高圧排尿や逆流の危険があれば避け、残尿が多ければ間欠的自己導尿を指導する。多くは数か月かけて改善するが、残ることもある。リンパ浮腫=骨盤内のリンパ節を郭清するため、下肢のリンパ浮腫が生じうる。予防は、下肢の外傷と感染を避ける(虫刺され、靴ずれ、深爪に注意)、スキンケアと保湿、長時間の立位と正座を避ける、適度な運動、そして体重の管理になる。発症したら、用手的リンパドレナージ、圧迫療法(弾性ストッキング、包帯)、運動療法を組み合わせる。蜂窩織炎を起こしやすいため、発赤、熱感、疼痛、発熱があれば早期に受診するよう伝える。性機能=腟が短くなること、卵巣を摘出した場合は卵巣欠落症状(更年期様の症状)が生じること、そして妊孕性が失われることについて、本人と必要に応じてパートナーへ説明し、心理的な支援を行う。ホルモン補充療法が検討されることもある。排便=自律神経の障害により便秘を生じることがあり、食事と水分、緩下薬で調整する。定期的な受診による再発の確認も、退院指導に含まれる。
間違えやすい考え方
退院指導を問う型で、誤肢が時期の早すぎるものと別の治療との混同である。術式に特有の合併症で切る。
5分で振り返る
①広汎子宮全摘出術は子宮頸癌に対し、子宮・腟の一部・基靱帯・骨盤内リンパ節を広く切除する。②骨盤内の自律神経が損傷され、膀胱の収縮低下と尿意の低下による排尿障害が生じる。③尿意の有無にかかわらず3〜4時間ごとに排尿を試み、残尿が多ければ間欠的自己導尿を行う。④もう一つの特有の合併症はリンパ浮腫。下肢の外傷と感染を避け、スキンケアと圧迫療法を行う。⑤蜂窩織炎の徴候(発赤、熱感、疼痛、発熱)があれば早期に受診する。⑥性交の再開は腟断端の治癒を確認してから(術後1〜2か月以降)。⑦入浴も創部と腟断端の治癒を待つ(おおむね術後1か月程度)。
1分チェック
- 広汎子宮全摘出術後の指導は。→ 定期的に排尿を試みる(自律神経の損傷による排尿障害)。
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