老化に伴う血液・造血器系の変化で適切なのはどれか。
公式正答:4
解説
老化に伴う血液・造血器系の変化で適切なものを問う。赤血球数が減少する、である。
この問題で問われていること
加齢に伴う変化の方向を、系統ごとに整理できているか。
しくみから理解する
加齢とともに、造血機能は緩やかに低下する。骨髄では、造血を担う赤色骨髄が減り、脂肪に置き換わった黄色骨髄が増える。造血幹細胞は、表現型で数えた数はむしろ増えるが、血液を作り直す能力とリンパ球系へ分化する能力という機能が低下する。また腎臓で産生されるエリスロポエチンの分泌も減る。加えて、鉄の利用の効率が下がり、慢性の炎症や腎機能の低下が加わることも多い。その結果、赤血球数とヘモグロビン値は緩やかに減少する。ただし、高齢だからといって貧血を当然のものとせず、消化管出血、悪性腫瘍、腎性貧血、栄養の欠乏といった原因を検索することが重要になる。
選択肢ごとの確認
エリスロポエチンは減少する。腎臓の機能の低下に伴い、産生が減る。これが高齢者の貧血の一因になる。
黄色骨髄は増加する。加齢とともに、造血を行う赤色骨髄が脂肪髄(黄色骨髄)へ置き換わっていく。小児では全身の骨髄が赤色骨髄だが、成人では体幹の扁平骨(腸骨、胸骨、椎体、肋骨)を中心に残り、高齢になるとさらに減る。
顆粒球数は大きく変わらないが、機能(遊走、貪食、殺菌)が低下する。数よりも機能の低下が問題になる。同様に、リンパ球では特にT細胞の機能が落ち、細胞性免疫が低下する。胸腺は思春期以降に萎縮していく。
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混同しやすいポイント
誤肢は、変化の方向が逆のもの(エリスロポエチン、黄色骨髄)と、数と機能を取り違えたもの(顆粒球)で構成されている。加齢の変化は、多くの系で「予備力の低下」として現れる。安静時には問題がなくても、負荷がかかったときに対応できないという形になる。血液では、通常の生活では貧血の症状が出なくても、出血や感染が加わると回復が遅い、という形で現れる。
理解を深める
高齢者の免疫と血液の特徴を整理する。免疫=胸腺の萎縮によりT細胞の産生が減り、細胞性免疫が低下する。そのため、結核の再燃、帯状疱疹、そして日和見感染が起こりやすい。ワクチンへの反応も弱まるが、接種の意義は大きい(インフルエンザ、肺炎球菌、帯状疱疹)。炎症の反応が乏しく、感染症でも発熱しないことや、白血球が増えないことがあるため、食欲不振、活気の低下、せん妄といった非特異的な変化に注意する。血液=赤血球とヘモグロビンの緩やかな減少、造血の予備力の低下、そして凝固能はやや亢進する傾向(線溶能の低下と血管内皮の変化により、血栓ができやすい)。高齢者の貧血の原因としては、鉄欠乏(消化管出血、悪性腫瘍)、慢性疾患に伴う貧血、腎性貧血、ビタミンB12と葉酸の欠乏、骨髄異形成症候群が挙げられる。とくに、鉄欠乏性貧血が見つかったら消化管の検査を行うことが原則になる。看護では、転倒(貧血によるふらつき)、易感染性、出血傾向(抗血栓薬の使用が多い)、そして服薬の管理に注意を払う。
間違えやすい考え方
加齢の変化を問う型で、誤肢が方向の逆と、数と機能の取り違えである。予備力の低下という原則で整理する。
5分で振り返る
①加齢とともに造血幹細胞の機能(血液を作り直す能力、リンパ球系への分化能)が落ち、赤色骨髄が黄色骨髄(脂肪髄)へ置き換わる。数そのものはむしろ増える。②エリスロポエチンの産生も加齢とともに減る。慢性腎臓病による腎性貧血は、加齢そのものとは分けて考える。③その結果、赤血球数とヘモグロビン値が緩やかに減少する。④ただし高齢の貧血を当然とせず、消化管出血、悪性腫瘍、腎性貧血、栄養欠乏を検索する。⑤顆粒球は数より機能(遊走、貪食、殺菌)が低下する。⑥胸腺の萎縮によりT細胞の機能が落ち、細胞性免疫が低下する(結核の再燃、帯状疱疹、日和見感染)。⑦感染症でも発熱せず白血球も増えないことがあり、食欲不振・活気の低下・せん妄が手がかりになる。
1分チェック
- 老化に伴う血液の変化は。→ 赤血球数が減少する(エリスロポエチンも減少)。
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