入院中の高齢者への看護師の対応で適切なのはどれか。
公式正答:4
解説
入院中の高齢者への看護師の対応で適切なものを問う。退院後の生活を予測して情報収集する、である。
この問題で問われていること
高齢者の入院において、看護が何を見据えるかを判断できるか。
しくみから理解する
高齢者の入院では、疾患の治療だけでなく、退院後にどこで、どのように暮らすかが大きな課題になる。入院によって、活動量が減り、環境が変わり、生活の流れが崩れることで、身体機能と認知機能が落ちやすい。その結果、入院前は自宅で暮らせていた人が、退院時には介護を要する状態になることがある。これを防ぐには、入院の早い段階から、入院前の生活(住まい、家族、日常生活動作、社会とのつながり、利用しているサービス)を把握し、退院後の姿を見据えて、必要な支援を組み立てる必要がある。退院支援は、退院が近づいてから始めるのでは間に合わない。
選択肢ごとの確認
入院当日から複数の看護師が関わることは、高齢者にとって混乱の元になる。環境の変化に加えて、対応する人が次々と変わると、関係を築きにくく、不安とせん妄を招く。可能な範囲で、担当を決めて継続的に関わる方が望ましい。
1回の訪室で多くの情報を聴取することも適切でない。高齢者は、長時間の聴取で疲労しやすく、集中力も続きにくい。短い時間で区切り、複数回に分けて、必要に応じて家族からも情報を得る。
1日のスケジュールを口頭だけで説明することも適切でない。聴力の低下、記憶の保持の困難、そして環境の変化による混乱を考えると、文字や図で示し、目に見える場所に置くことが有効になる。大きな文字、簡潔な表現、そして繰り返しの説明を組み合わせる。
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混同しやすいポイント
誤肢は、高齢者の特性への配慮を欠いた対応で構成されている。関わる人が多い、一度に多くを聞く、口頭だけで伝える。いずれも高齢者では負担と混乱を招くが、若年であれば問題にならないというものでもない。せん妄の危険がある人、重症の人、疲労している人、健康情報を扱うのが苦手な人でも同じ問題が生じる。年齢ではなく、認知、疾患、疲労、ケアの必要度といった個別の条件で判断する。正答は、視点の置き方(入院中だけを見るか、退院後まで見るか)を問うており、他の3つとは異なる次元にある。
理解を深める
高齢者の入院に伴うリスクと対応を整理する。①廃用症候群=安静と活動量の低下により、筋力低下、関節拘縮、褥瘡、起立性低血圧、便秘、誤嚥性肺炎、認知機能の低下が生じる。対応は、早期離床、日中の座位と歩行、日常生活動作を可能な範囲で自分で行ってもらうこと。②せん妄=身体的要因(感染、脱水、電解質異常、疼痛、便秘、尿閉、低酸素)、薬剤(睡眠薬、抗コリン薬、オピオイド、ステロイド)、環境(見知らぬ場所、明るさ、音、時間の手がかりの欠如)が誘因になる。対応は、誘因の除去、見当識の手がかり(時計、カレンダー、日中の採光)、眼鏡と補聴器の使用、家族の面会、そして睡眠と覚醒のリズムの維持。③低栄養と脱水=食事の形態、口腔ケア、嚥下機能の評価、水分の摂取の促し。④転倒=環境の整備、履物、夜間のトイレへの動線、薬剤の見直し。⑤薬剤の有害事象=多剤併用の見直し。退院支援では、入院時から、退院後の療養の場、必要なサービス、家族の介護力、住環境、経済状況を把握し、多職種と地域の関係者をつなぐ。入院前から関わっているケアマネジャーや訪問看護師との連携も重要になる。
間違えやすい考え方
対応を問う型で、誤肢が高齢者の特性への配慮を欠いている。視点を退院後まで広げているかで切る。
5分で振り返る
①高齢者の入院では、退院後にどこでどう暮らすかを入院の早い段階から見据える。②入院により活動量が減り環境が変わることで、身体機能と認知機能が落ちやすい。③入院当日から関わる人が多いと混乱とせん妄を招く。可能な範囲で担当を決める。④一度に多くを聴取せず、短く区切って複数回に分け、家族からも情報を得る。⑤説明は口頭だけでなく、大きな文字や図で示し、目に見える場所に置く。⑥廃用症候群の予防=早期離床、日中の座位と歩行、できることは自分で行ってもらう。⑦せん妄の誘因=身体的要因、薬剤、環境。眼鏡と補聴器、見当識の手がかり、家族の面会が有効。
1分チェック
- 入院中の高齢者への看護は。→ 退院後の生活を予測して情報収集する(退院支援は入院時から)。
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