不妊症〈infertility〉 について正しいのはどれか。
公式正答:2
解説
不妊症について正しいものを問う。検査に基礎体温測定がある、である。
この問題で問われていること
不妊の検査と治療の基本を知っているか。
しくみから理解する
基礎体温の測定は、不妊の検査の基本になる。朝、目覚めた直後の安静時に、婦人体温計で口腔内の温度を測り、記録する。排卵があれば、黄体から分泌されるプロゲステロンの作用で体温が上がり、低温相と高温相の二相性を示す。この曲線から、排卵の有無、排卵の時期、黄体期の長さと安定性を推定できる。簡便で費用がかからず、本人が自宅で行えるため、初期の評価として広く用いられる。ほかの検査には、ホルモンの測定、超音波検査(卵胞の発育、子宮内膜の厚さ)、子宮卵管造影(卵管の通過性)、精液検査、そしてフーナーテストがある。
選択肢ごとの確認
原因不明は約6割ではなく、10〜20%程度とされる。原因の内訳は、女性側の要因(排卵の障害、卵管の障害、子宮の要因)、男性側の要因(造精機能の障害、精路の通過障害、性機能の障害)、そして両方または原因不明になる。男性側に原因がある割合は約半数にのぼり、男女両方を検査することが原則になる。
不妊手術は、避妊を目的として生殖機能を失わせる手術(卵管結紮、精管結紮)であり、母体保護法に規定される。不妊症の治療ではなく、むしろ正反対のものになる。不妊症の治療は、タイミング法、排卵誘発、人工授精、体外受精・胚移植、顕微授精と段階的に進む。
女性の年齢は治療効果に大きく影響する。加齢とともに卵子の数と質が低下し、妊娠率は下がり、流産率は上がる。とくに35歳を過ぎると変化が顕著になり、40歳以降は体外受精でも妊娠率が大きく下がる。年齢は、治療方針を決めるうえで最も重要な因子の一つになる。
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混同しやすいポイント
誤肢は、統計の値(原因不明の割合)、用語の取り違え(不妊手術)、そして事実に反する記述(年齢が影響しない)で構成されている。とくに「不妊手術」は、名称から不妊症の治療と誤解しやすいが、避妊のための手術であり、まったく逆の目的になる。用語の意味を正確に持つことが求められる。
理解を深める
不妊症は、妊娠を望む男女が避妊せずに性交を続けても、一定期間(日本産科婦人科学会では1年)妊娠しない状態を指す。検査=女性では基礎体温、ホルモン(卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン、プロラクチン、抗ミュラー管ホルモン)、超音波、子宮卵管造影、子宮鏡、腹腔鏡。男性では精液検査(精液量、精子濃度、運動率、正常形態率)、ホルモン、超音波。治療=タイミング法(排卵日を推定して性交のタイミングを合わせる)、排卵誘発(クロミフェン、ゴナドトロピン)、人工授精(調整した精子を子宮内へ注入する)、体外受精・胚移植、顕微授精。2022年から、人工授精と体外受精等の生殖補助医療が保険適用となり、経済的な負担が軽減された(年齢と回数の要件がある)。看護では、①検査と治療の過程で生じる身体的負担(採卵、注射、通院)と、②心理的負担(月ごとの期待と落胆、周囲との比較、パートナーとの温度差、治療の終結の判断)への支援が中心になる。とくに、治療をいつまで続けるかという決断は、当事者にとって非常に重い。答えを示すのではなく、考える過程に寄り添う姿勢が求められる。仕事との両立の困難も大きな課題で、職場の理解と制度の活用について情報提供することも支援になる。
間違えやすい考え方
疾患の理解を問う型で、誤肢が統計の値・用語の取り違え・事実に反する記述である。用語の意味を正確に持つ。
5分で振り返る
①基礎体温は、朝の安静時に口腔内で測る。排卵があればプロゲステロンの作用で二相性を示す。②排卵の有無、時期、黄体期の長さと安定性を推定できる。③原因不明は10〜20%程度。男性側に原因がある割合は約半数で、男女両方を検査する。④不妊手術は避妊を目的とする手術(母体保護法)で、不妊症の治療ではない。⑤治療はタイミング法→排卵誘発→人工授精→体外受精・胚移植→顕微授精と段階的に進む。⑥女性の年齢は治療効果に大きく影響する(35歳以降で顕著)。⑦2022年から生殖補助医療が保険適用となった(年齢と回数の要件あり)。
1分チェック
- 不妊症の基本の検査は。→ 基礎体温の測定(排卵の有無と時期、黄体期を推定する)。
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