正常な分娩経過はどれか。
公式正答:1
解説
正常な分娩経過を問う。骨盤入口部に児頭が進入する際、児の頤部が胸壁に近づく、である。
この問題で問われていること
回旋の順序と、各時期の児頭の向きを説明できるか。
しくみから理解する
分娩機転(回旋)は、児が産道を通り抜けるために、頭と体の向きを変えていく一連の動きになる。第1回旋=下降しながら、顎を胸に引きつける(頤部が胸壁に近づく)。これにより、児頭の最も小さい径(小斜径)で骨盤を通過できるようになる。第2回旋=後頭部を先進させながら、児頭が90度回旋し、矢状縫合が骨盤の前後径(縦の径)に一致する。第3回旋=恥骨結合の下を支点として、児頭が反屈して娩出される(頤部が胸壁から離れる)。第4回旋=児頭が娩出された後、肩が骨盤の前後径を通るように、児頭が横を向く(外回旋)。したがって、骨盤入口部での第1回旋の記述が正しい。
選択肢ごとの確認
骨盤出口部では、矢状縫合は母体の骨盤の前後径(縦の径)に一致する。横径に一致するのは骨盤入口部に進入する時点になる。骨盤の形は、入口部が横に長く、出口部が縦に長いため、それに合わせて児頭が回旋する。
児頭娩出後、肩は骨盤出口部の前後径(縦の径)に一致するよう回旋する。出口部は縦に長いためになる。これに伴って、児頭は横を向く(外回旋)。
胎盤の剝離は、児の娩出後(分娩第3期)に起こる。児頭が発露したころ(分娩第2期)に胎盤が剝離すれば、胎児への酸素の供給が絶たれるため、極めて危険な状態になる(常位胎盤早期剝離)。
もっと詳しく読む
混同しやすいポイント
「入口部は横、出口部は縦」という骨盤の形と、それに合わせた児頭の向きを押さえるのが要点になる。誤肢2と3は、この向きを逆にしている。誤肢4は、分娩の期を取り違えている。分娩は、第1期(陣痛開始から子宮口全開大)、第2期(全開大から児の娩出)、第3期(児の娩出から胎盤の娩出)、第4期(分娩後2時間)に分けられ、それぞれで起こることが決まっている。
理解を深める
分娩の経過と看護を整理する。第1期=陣痛の間隔と強さ、子宮口の開大、児頭の下降、破水の有無、胎児心拍の観察。産婦の呼吸法、体位の工夫、水分と休息、排尿の促し、そして不安への対応。第2期=努責のタイミングの指導、会陰の保護、児頭の娩出、胎児心拍の頻回の確認。第3期=胎盤の娩出、子宮収縮の確認、出血量の測定。胎盤の娩出徴候(子宮底の上昇と硬化、臍帯の下降、腟からの少量の出血)を確認してから娩出を促す。無理に牽引すると、子宮内反や臍帯の断裂を招く。第4期=分娩後2時間は、出血、子宮収縮、バイタルサイン、疼痛、そして排尿を観察する。分娩後の出血の多くはこの時期に起こるためになる。分娩時異常出血は500mL以上(帝王切開では1,000mL以上)とされ、弛緩出血、産道の裂傷、胎盤の遺残、そして血液の凝固障害が原因になる。子宮収縮が悪い場合は、子宮底のマッサージ、子宮収縮薬、そして輸液と輸血の準備を行う。あわせて、早期母子接触と授乳の開始、そして産婦へのねぎらいと、分娩の体験の振り返りも、この時期の看護に含まれる。
間違えやすい考え方
分娩機転を問う型で、誤肢が児頭の向きの逆と、分娩の期の取り違えである。入口部は横・出口部は縦で切る。
5分で振り返る
①第1回旋=顎を胸に引きつけ、最も小さい径(小斜径)で骨盤を通過する。②第2回旋=後頭部を先進させ、矢状縫合が骨盤の前後径に一致する。③第3回旋=恥骨結合の下を支点に反屈して娩出される。④第4回旋(外回旋)=肩が骨盤出口部の前後径を通るよう、児頭が横を向く。⑤骨盤は入口部が横に長く、出口部が縦に長い。⑥胎盤の剝離は児の娩出後(分娩第3期)。第2期に剝離すれば常位胎盤早期剝離で極めて危険。⑦分娩時異常出血は500mL以上(帝王切開では1,000mL以上)。分娩後2時間の観察が重要。
1分チェック
- 第1回旋で起こるのは。→ 顎を胸に引きつける(頤部が胸壁に近づく)。
この問題に対応する教材の確認中です。