新生児の呼吸窮迫症候群〈respiratory distress syndrome〉〈RDS〉で正しいのはどれか。
公式正答:4
解説
新生児の呼吸窮迫症候群で正しいものを問う。肺サーファクタントの欠乏が原因で生じる、である。
この問題で問われていること
疾患の機序と、発症の時期・対象を正確に覚えているか。
しくみから理解する
肺サーファクタントは、肺胞のⅡ型上皮細胞から分泌される表面活性物質で、肺胞の表面張力を下げて、呼気時に肺胞がつぶれるのを防ぐ。妊娠34週頃までに十分に産生されるようになるため、それより早く生まれた児では欠乏し、肺胞が虚脱して換気ができなくなる。これが呼吸窮迫症候群になる。出生直後から数時間以内に、多呼吸、陥没呼吸、呻吟(うめくような呼気音)、鼻翼呼吸、チアノーゼが現れる。胸部X線では、すりガラス様の陰影と気管支透亮像がみられる。
選択肢ごとの確認
呼吸数は増加する。換気が不十分なため、それを補おうとして多呼吸(60回/分以上)になる。ただし、進行して疲弊すると、無呼吸へ移行することがある。
過期産児ではなく、早産児に発症しやすい。在胎週数が短いほど頻度が高く、28週未満ではほとんどの児に生じる。糖尿病の母から生まれた児、帝王切開で出生した児、男児、多胎の第2子でも頻度が高い。過期産児では、むしろ胎便吸引症候群が問題になる。
生後24時間ころからではなく、出生直後から数時間以内に発症する。時間が経つほど悪化し、生後48〜72時間頃を過ぎると改善へ向かう。サーファクタントの産生そのものは胎生24〜28週頃から始まっており(34〜35週以降に急増する)、この疾患で問題になるのは産生が始まっていないことではなく量が足りないことである。改善するのは、出生後に産生量が十分な水準へ達するためになる。
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混同しやすいポイント
誤肢は、呼吸数の方向、発症する対象(過期産か早産か)、そして発症の時期という3点で誤っている。「サーファクタントが足りない=肺胞がつぶれる=早産児で、出生直後から」という一本の流れで理解すれば、すべて判断できる。時期の似た疾患として、新生児一過性多呼吸(帝王切開児に多く、肺の水の吸収が遅れる。多くは24〜72時間で自然に改善する)があり、鑑別が問われることもある。
理解を深める
呼吸窮迫症候群の管理と看護を整理する。予防=早産が予測される場合、母体へ副腎皮質ステロイドを投与して、胎児の肺の成熟を促す(妊娠34週未満が対象)。治療=人工肺サーファクタントの気管内投与、そして呼吸の補助(持続陽圧呼吸、人工呼吸、高頻度振動換気)。酸素の投与は必要最小限とし、未熟児網膜症と慢性肺疾患のリスクを考慮して酸素飽和度の目標を定める。看護=呼吸状態(呼吸数、陥没呼吸の程度、呻吟、チアノーゼ、酸素飽和度)の継続的な観察、体温の管理(低体温は酸素消費を増やし、状態を悪化させる。閉鎖式保育器と適切な湿度)、最小限の刺激(ミニマルハンドリング。処置をまとめ、静かな環境を保つ)、体位(腹臥位が換気に有利なことがある)、栄養(経管栄養から開始し、母乳を用いる)、そして家族への支援になる。早産児の家族は、出生直後から児と離れ、状態への不安を抱える。児の様子を伝え、面会と触れ合いの機会をつくり、母乳の搾乳を支援することが、親としての実感と愛着の形成を助ける。カンガルーケアは、状態が安定していれば早期から行える。
間違えやすい考え方
疾患の特徴を問う型で、誤肢が呼吸数の方向・対象・時期で誤っている。機序から一本の流れで導く。
5分で振り返る
①肺サーファクタントは肺胞Ⅱ型上皮細胞が分泌し、表面張力を下げて肺胞の虚脱を防ぐ。②妊娠34週頃までに十分に産生されるため、それより早く生まれた児で欠乏する。③症状=出生直後から数時間以内に多呼吸、陥没呼吸、呻吟、鼻翼呼吸、チアノーゼ。④胸部X線ですりガラス様陰影と気管支透亮像。⑤早産児に多く、糖尿病の母からの児、帝王切開児、男児でも頻度が高い。⑥予防は母体への副腎皮質ステロイド投与(34週未満)、治療は人工サーファクタントの気管内投与と呼吸の補助。⑦鑑別に新生児一過性多呼吸(帝王切開児、24〜72時間で改善)。
1分チェック
- 呼吸窮迫症候群の原因は。→ 肺サーファクタントの欠乏(早産児、出生直後から発症)。
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