A さん(85 歳、男性)は1人暮らしで判断能力が不十分である。4親等以内の親 族はいない。 訪問看護事業所におけるA さんの情報管理で適切なのはどれか。
公式正答:1
解説
判断能力が不十分で4親等以内の親族がいない85歳男性について、訪問看護事業所における情報管理で適切なものを問う。成年後見人に訪問看護計画を説明することである。
この問題で問われていること
個人情報の共有が許される範囲を判断できるか。
しくみから理解する
成年後見人は、家庭裁判所により選任され、判断能力が不十分な本人に代わって、財産の管理と身上の保護を行う法的な代理人になる。医療と介護のサービスについて、契約の締結や、内容の説明を受ける立場にあるため、訪問看護計画を説明することは適切であり、必要でもある。この事例では、親族がおらず、本人の判断能力が不十分であるため、成年後見人が本人の意思決定を支える中心になる。ただし、医療行為への同意権は成年後見人の権限に含まれないとされており、医療の場面では、本人の意思の推定と、関係者による合意形成が必要になる。
選択肢ごとの確認
民生委員に経済状況を知らせることは、本人の同意なく行えば個人情報の不適切な提供になる。民生委員は地域の相談と見守りを担う立場だが、経済状況という機微な情報を、必要性の説明なく共有する理由がない。連携が必要な場合も、目的と範囲を限って、本人または代理人の同意を得たうえで行う。
訪問記録を電子メールに添付して共有することは、情報の漏えいのリスクが高い。誤送信、盗み見、そして端末の紛失によって、個人情報が外部へ出る可能性がある。共有が必要な場合は、暗号化、パスワードの設定、そして施設が定めた安全なシステムを用いる。個人情報保護法と、医療・介護関係事業者向けのガイダンスに沿って取り扱う。
他の利用者にケアプランを見せることは、明らかに不適切になる。本人の同意がなく、目的も正当でない。サービスの内容を説明する必要があるなら、個人が特定できない形の資料を用いる。
もっと詳しく読む
混同しやすいポイント
誤肢は、①同意のない第三者への提供、②安全でない手段による共有、③目的外の利用という、個人情報の取り扱いで問題になる3つの型に対応している。判断の基準は、「本人の同意があるか」「目的が正当か」「安全な手段か」の3つになる。成年後見人への説明は、法的な代理人に対する、業務上必要な情報の提供であり、この3つを満たす。
理解を深める
医療・介護の場面における個人情報の取り扱いを整理する。原則=利用目的を特定し、本人に通知または公表する。目的の範囲を超えて利用しない。第三者へ提供する場合は原則として本人の同意を得る。例外=法令にもとづく場合(虐待の通告、感染症の届出、事故の報告)、生命・身体・財産の保護に必要で本人の同意を得ることが困難な場合、公衆衛生の向上または児童の健全育成の推進に特に必要で、かつ本人の同意を得ることが困難な場合など。医療機関等では、院内掲示によって、他の医療機関との連携や介護サービス事業者への情報提供について、あらかじめ包括的な同意を得る運用(黙示の同意)が広く行われているが、機微な情報(精神疾患、感染症、遺伝情報、虐待の事実)については、より慎重な扱いが求められる。実務での注意=記録の持ち出しと保管、電子端末の管理、他者に聞こえる場所での会話、そして写真と映像の取り扱い。訪問看護では、記録や端末を持ち歩くため、紛失と盗難のリスクが高く、施設の規程に沿った運用が欠かせない。加えて、利用者の自宅という私的な空間に入るため、目にした家庭の事情を、業務に必要な範囲を超えて他者へ話さないという配慮も求められる。
間違えやすい考え方
情報管理を問う型で、誤肢が同意なき提供・安全でない手段・目的外の利用である。3つの基準で切る。
5分で振り返る
①成年後見人は家庭裁判所が選任し、財産の管理と身上の保護を行う法的な代理人。②医療と介護の契約と説明の相手になるため、訪問看護計画を説明することは適切。③ただし医療行為への同意権は成年後見人の権限に含まれないとされる。④個人情報の判断基準=本人の同意があるか、目的が正当か、安全な手段か。⑤民生委員への経済状況の提供は、同意なく行えば不適切。⑥電子メールへの添付は誤送信と漏えいのリスクが高い。暗号化と施設の定めたシステムを用いる。⑦例外として同意なく提供できるのは、法令にもとづく場合(虐待の通告、感染症の届出)など。
1分チェック
- 成年後見人には。→ 訪問看護計画を説明する(法的な代理人として身上の保護を担う)。
この問題に対応する教材の確認中です。