正常な糸球体で濾過される物質はどれか。
公式正答:2
解説
糸球体は分子の大きさと電荷でふるいをかける。小さい分子は通り、大きい蛋白質や血球は通らない。ミオグロビンは小さいので濾過される。
この問題で問われていること
糸球体濾過障壁の選択性を、分子量という具体的な数字で判断できるか。
しくみから理解する
糸球体の濾過障壁は3層からなる。内側から、有窓性の毛細血管内皮、糸球体基底膜、そして足細胞(ポドサイト)の足突起がつくるスリット膜。この障壁は分子の大きさと電荷でふるい分ける。分子量がおよそ7万を超えると通りにくくなり、さらに基底膜が陰性に荷電しているため、同じく陰性のアルブミンは実際の大きさ以上に通りにくい。ミオグロビンは分子量約1万7千と小さいため自由に濾過される。したがって横紋筋融解症では大量のミオグロビンが濾過されて尿細管を詰まらせ、急性腎障害を起こす。アルブミンは分子量約6万9千で、正常でもごく少量が濾過されるが、その大半は近位尿細管で再吸収されるため尿中にはわずかしか出ない。異常とするのは、量が増えて持続する場合(1日30mg以上、またはクレアチニン比30mg/gCr以上が、3〜6か月に2回以上)であって、検出されること自体が糸球体障害を意味するわけではない。
選択肢ごとの確認
分子量約34万と非常に大きい。まったく濾過されない。
分子量約1万7千と小さく、自由に濾過される。横紋筋融解症で尿が赤褐色になるのはこのため。
分子量約6万9千で、大きさとしては境界域だが、陰性荷電のため基底膜に反発されてほとんど濾過されない。尿に出れば糸球体の障害を意味する(微量アルブミン尿は糖尿病性腎症の早期指標)。
細胞成分であり、分子とは桁が違う。濾過されない。
直径7〜8μmの細胞。濾過されない。尿に出れば血尿であり、糸球体腎炎や尿路の出血を示す。
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混同しやすいポイント
アルブミンが「濾過されない」のは大きさだけでなく電荷のためでもある、という2段構えを知らないと迷う。分子量7万近くで一見通りそうだが、陰性荷電の基底膜に反発される。ネフローゼ症候群では基底膜の陰性荷電が失われて大量のアルブミンが漏れる。
理解を深める
尿検査の意味がここから導ける。蛋白尿(アルブミン)は糸球体の障害、血尿は糸球体または尿路の出血、ミオグロビン尿は筋の破壊、ヘモグロビン尿は血管内溶血を示す。ミオグロビン尿とヘモグロビン尿はいずれも尿潜血反応が陽性になるが、尿沈渣で赤血球が見えない点が血尿と違う。糖尿病性腎症では、まず微量アルブミン尿が出て、進行すると顕性蛋白尿になり、やがて糸球体濾過量が落ちる、という順序をたどる。
間違えやすい考え方
分子量の大小で判断させる型。代表的な物質の分子量の桁(ミオグロビン1万台、アルブミン7万弱、フィブリノゲン30万台)を覚えておけば確実に解ける。
5分で振り返る
糸球体濾過障壁=有窓性内皮+基底膜+足細胞のスリット膜の3層。大きさ(分子量約7万以上は通りにくい)と電荷(基底膜が陰性なので陰性荷電の分子は通りにくい)でふるう。ミオグロビン(約1.7万)は自由に濾過、アルブミン(約6.9万)はほぼ濾過されない、フィブリノゲン(約34万)と血球は濾過されない。蛋白尿は糸球体障害、ミオグロビン尿は横紋筋融解症。
1分チェック
- 糸球体濾過障壁は何層からなるか
- 濾過されるかどうかを決める2つの要素は何か
- アルブミンが濾過されにくい理由は何か
- ミオグロビン尿はどんなときに出るか
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