冷たい川に飛び込んだときに急激に体温が低下する原因で正しいのはどれか。
公式正答:3
解説
熱放散の4経路のうち、水に接したときに効くのは伝導。水は空気より熱を伝えやすいので、体温が急に奪われる。
この問題で問われていること
放射・伝導・対流・蒸発という熱放散の4経路を、それぞれどんな場面で働くかとあわせて言えるか。
しくみから理解する
熱放散には4つの経路がある。放射は接触せずに電磁波として熱が移る(体から周囲の壁や空気へ)。伝導は直接触れているものへ熱が移る。対流は体のまわりの空気や水が動くことで熱が運び去られる。蒸発は汗や呼気の水分が気化するときに気化熱を奪う。冷水に入ると、皮膚が水に直接接触するため伝導によって熱が奪われる。水の熱伝導率は空気のおよそ25倍あり、同じ温度でも水中のほうがはるかに速く体温を失う。したがって水難事故では短時間で低体温症に陥る。 【接地元】ガイトン生理学 体温、体温調節、発熱、OpenStax anatomy_physiology_2e(heat transfer)
選択肢ごとの確認
対流は流体が動くことで熱が運ばれる経路。流れのある川では対流も加わるが、体温が急激に下がる主因は、皮膚が水に直接接することによる伝導である。設問は「飛び込んだとき」の急激な低下を問うている。
接触なしに電磁波として熱が移る経路。安静時の熱放散の約6割を占めるが、水に入った瞬間の急激な低下の主因ではない。
皮膚が冷水に直接接触して熱が移る。水は空気より熱を伝えやすい。
冷たい環境ではむしろ代謝は亢進し、産熱を増やそうとする。低下ではない。
低体温ではふるえが起こって骨格筋の熱産生はむしろ増える。
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混同しやすいポイント
伝導と対流の区別が曖昧だと1と3で迷う。触れているものへ直接移るのが伝導、まわりの流体が動いて熱を運び去るのが対流。冷たい床に座って体が冷えるのが伝導、扇風機の風で涼しいのが対流。
理解を深める
4つの経路の寄与は環境で大きく変わる。常温安静時では放射が約60%、蒸発が約22%、伝導と対流で約15%。ただし向きを決める条件は経路ごとに異なる。対流の向きは気温、伝導の向きは接触面の温度、放射の向きは周囲の面の平均放射温度で決まる。これらがいずれも体温を上回る環境では3経路とも体が熱を受け取る側になり、蒸発だけが唯一の放熱手段になる。だから高温環境では発汗が生命線であり、湿度が高くて汗が蒸発しないと熱中症の危険が跳ね上がる。低体温症の現場対応で濡れた衣服をまず脱がせるのは、水による伝導を断つためである。
間違えやすい考え方
似た概念(伝導と対流)を並べ、場面から正しいほうを選ばせる型。定義を場面に結びつけて覚える。
5分で振り返る
熱放散=放射(接触なし・常温安静時で約60%)・伝導(直接接触・水は空気の約25倍熱を伝える)・対流(まわりの流体が動く)・蒸発(気化熱・約22%)。冷水に飛び込むと伝導で急激に熱を奪われる。対流の向きは気温、伝導の向きは接触面の温度、放射の向きは周囲の面の平均放射温度で決まる。これらがいずれも体温を上回れば、蒸発だけが働く。低体温症では濡れた衣服を脱がせて伝導を断つ。
1分チェック
- 熱放散の4経路は何か
- 冷水に入ったとき主に働くのはどれか
- 常温安静時に最も寄与が大きいのはどれか
- 気温が体温より高いとき唯一働く経路は何か
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