変形性膝関節症〈osteoarthritis of the knee〉に ついて正しいのはどれか。
公式正答:5
解説
変形性膝関節症について正しいものを問う。経時的に進行して10年で半数が悪化する、である。
この問題で問われていること
疾患の疫学と経過を正しく覚えているか。
しくみから理解する
変形性膝関節症は、加齢や力学的な負荷により、関節軟骨が摩耗して変性し、関節の変形と痛みを生じる疾患になる。いったん失われた軟骨は再生しないため、経過は緩やかな進行になる。長期の観察研究では、10年程度の経過で、およそ半数の患者において画像上の所見が悪化すると報告されている。ただし、進行の速さには個人差が大きく、体重の管理、大腿四頭筋の筋力の維持、そして関節への負担の軽減によって、進行を遅らせ、症状を和らげることができる。
選択肢ごとの確認
男性ではなく女性に多い。閉経後の女性で頻度が高く、これはホルモンの変化、筋力、そして骨格の形状が関わると考えられている。日本では、O脚(内反変形)に伴う内側型が大半を占める。
第一選択は手術療法ではなく、保存療法になる。運動療法(大腿四頭筋の筋力訓練、関節可動域の維持)、体重の管理、生活の指導(正座と階段の負担を減らす)、装具(足底板、サポーター)、そして薬物療法(消炎鎮痛薬、関節内へのヒアルロン酸注射)を行う。これらで改善しない場合に、高位脛骨骨切り術や人工膝関節置換術が検討される。
変形性関節症の中で2番目ではなく、最も多い。日本では、変形性膝関節症の有病者数は推定で2,000万人以上とされ、そのうち症状がある人は800万人程度と推計されている。
二次性より一次性の方が多い。一次性=明らかな原因がなく、加齢と力学的負荷によるもの。二次性=外傷、半月板や靱帯の損傷、感染、関節リウマチ、骨壊死など、原因が明らかなもの。大半は一次性になる。
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混同しやすいポイント
誤肢は、性別、治療の第一選択、頻度の順位、そして病型の割合という4点で誤っている。基本的な疫学(女性に多い、最も多い変形性関節症、一次性が大半)と、治療の原則(保存療法が第一)を押さえれば、すべて除外できる。運動器の慢性疾患では、「まず保存療法」という原則が広く当てはまる。
理解を深める
変形性膝関節症の管理を整理する。症状=初期は動き始めの痛み(立ち上がり、歩き始め)で、休むと軽快する。進行すると、歩行時や階段の昇降での痛み、正座の困難、関節の腫脹(関節水腫)、可動域の制限、そして安静時痛と夜間痛が現れる。画像=関節裂隙の狭小化、骨棘の形成、軟骨下骨の硬化、そして骨囊胞。運動療法=大腿四頭筋の等尺性収縮訓練(膝を伸ばしたまま力を入れる)が基本で、関節に負担をかけずに筋力を保てる。加えて、関節可動域の運動、水中歩行、そして有酸素運動。生活の指導=体重の減量(体重の減少は膝への負担を大きく減らす)、和式の生活(正座、床からの立ち上がり)を洋式へ(椅子、ベッド、洋式便器)、階段では手すりを使う、杖を健側の手で持つ、そして靴の選択(クッション性のある底)。装具=外側楔状足底板(内側型に対して荷重を外側へ移す)、膝装具。手術=人工膝関節置換術は、疼痛の軽減に効果が高い。術後は、感染、深部静脈血栓症、脱臼、そして人工関節の緩みに注意し、正座と深い屈曲を避けるよう指導する。看護では、痛みのために活動が減り、筋力が落ちてさらに痛むという悪循環を断つことが要点になる。
間違えやすい考え方
疫学と経過を問う型で、誤肢が性別・治療の第一選択・頻度・病型で誤っている。基本の疫学と保存療法の原則で切る。
5分で振り返る
①変形性膝関節症は関節軟骨の摩耗と変性による。軟骨は再生しないため緩やかに進行する。②10年程度で約半数が画像上の悪化を示す。③女性に多く、日本では内側型(O脚)が大半。④変形性関節症の中で最も多い。⑤大半は一次性(加齢と力学的負荷)で、二次性(外傷、関節リウマチなど)は少ない。⑥第一選択は保存療法=運動療法(大腿四頭筋の等尺性収縮訓練)、体重の管理、生活の指導、装具、薬物療法。⑦改善しなければ高位脛骨骨切り術や人工膝関節置換術。杖は健側の手で持つ。
1分チェック
- 変形性膝関節症の経過は。→ 緩やかに進行し、10年で半数が悪化する。
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