成人におけるバイタルサインで緊急に対応が必要なのはどれか。
公式正答:2
解説
成人におけるバイタルサインで緊急に対応が必要なものを問う。体温34.4℃である。
この問題で問われていること
各指標の基準範囲と、逸脱の意味を判断できるか。
しくみから理解する
深部体温が35℃を下回った状態を低体温(偶発性低体温症)という。34.4℃はこれに当たり、緊急の対応を要する。低体温では、意識の低下、シバリング(軽度では出現し、32℃を下回ると消失する)、徐脈、血圧の低下、そして不整脈が生じる。とくに、30℃を下回ると心室細動を起こしやすくなり、刺激を与えるだけでも誘発されうる。原因は、寒冷への曝露に加えて、高齢、低栄養、甲状腺機能低下症、副腎不全、低血糖、敗血症、アルコール、薬物、そして意識障害による長時間の臥床がある。高齢者では、屋内でも低体温になることがあり、見逃されやすい。
選択肢ごとの確認
脈拍70回/分は正常範囲内になる。成人の基準はおおむね60〜100回/分で、60未満が徐脈、100を超えると頻脈になる。
呼吸数14回/分は正常範囲内になる。成人の基準はおおむね12〜20回/分で、12未満が徐呼吸、24を超えると頻呼吸とされる。
血圧130/80mmHgは、正常高値から高値血圧の範囲になる。診察室血圧では140/90mmHg以上が高血圧の基準になる。緊急の対応を要する値ではない。
グラスゴー・コーマ・スケール15点は、開眼4点、言語反応5点、運動反応6点の満点であり、意識清明を意味する。最低は3点になる。
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混同しやすいポイント
誤肢はすべて正常範囲またはそれに近い値であり、体温だけが明らかに逸脱している。バイタルサインの設問では、各指標の基準範囲を正確に持っていることが前提になる。体温は、37℃台の発熱に注意が向きやすいが、低体温も同じく緊急性が高い。とくに、35℃を切る低体温は、発熱より予後が悪いことがある点を押さえる。
理解を深める
偶発性低体温症の対応を整理する。分類=軽度(32〜35℃。シバリング、頻脈、頻呼吸、判断力の低下)、中等度(28〜32℃。シバリングの消失、徐脈、意識の低下、瞳孔散大)、重度(28℃未満。昏睡、高度の徐脈、心室細動、心停止)。対応=濡れた衣類を取り除き、乾いた毛布で覆う。軽度では受動的な復温(毛布、室温の調整)を行う。温かい飲み物は、十分に覚醒して安全に嚥下できる場合に限り、アルコールを避けて用いる。中等度以上では能動的な復温(加温した輸液、加温した酸素、体表の加温装置)を行い、重度では体外循環による復温も検討される。注意点=①急激な復温は、末梢の血管が拡張して血圧が下がり、また冷たい末梢の血液が中心へ戻って深部体温がさらに下がる(アフタードロップ)。中心から温めることが原則になる。②低体温では心臓が刺激に対して過敏になっているため、体位変換や処置は静かに行う。③心停止に至った場合も、完全に復温するまで蘇生を続けることが原則とされる(「温めるまでは死んだと判断しない」)。看護では、体温の測定方法にも注意する。腋窩温では深部体温を正確に反映せず、また低い値を測定できない体温計もあるため、深部体温を測れる体温計(直腸、膀胱、食道)を用いる。予防としては、高齢者の住環境(暖房、断熱)、栄養、そして入浴時の温度差への配慮が挙げられる。
間違えやすい考え方
緊急性を問う型で、誤肢がすべて正常範囲の値である。各指標の基準範囲を正確に持って切る。
5分で振り返る
①深部体温35℃未満が低体温(偶発性低体温症)。②軽度(32〜35℃)=シバリング、頻脈、判断力の低下。中等度(28〜32℃)=シバリングの消失、徐脈、意識の低下。重度(28℃未満)=昏睡、心室細動。③30℃を下回ると刺激だけでも心室細動を誘発しうるため、処置は静かに行う。④急激な復温はアフタードロップを招く。中心から温める。⑤心停止でも完全に復温するまで蘇生を続けるのが原則。⑥成人の基準=脈拍60〜100回/分、呼吸数12〜20回/分、高血圧は140/90mmHg以上。⑦グラスゴー・コーマ・スケールは最高15点、最低3点。
1分チェック
- 緊急の対応が必要なのは。→ 体温34.4℃(35℃未満は低体温)。
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