老化による尿の生成と排尿機能の変化はどれか。
公式正答:4
解説
老化による尿の生成と排尿機能の変化を問う。残尿量の増加である。
この問題で問われていること
加齢に伴う変化の方向を、機能ごとに整理できているか。
しくみから理解する
加齢とともに、膀胱の排尿筋の収縮力が低下し、また男性では前立腺の肥大により尿道の抵抗が増す。その結果、排尿しきれずに膀胱内に残る尿(残尿)が増える。残尿が増えると、有効な膀胱容量が減って頻尿になり、また尿の停滞により尿路感染が起こりやすくなる。さらに進むと、溢流性尿失禁を生じる。残尿の測定は、超音波(膀胱スキャン)または導尿によって行い、おおむね50mL以上、とくに100mLを超える場合は、原因の検索と対応を検討する。
選択肢ごとの確認
排尿回数は増加する。膀胱の容量の減少、残尿の増加、そして夜間の尿量の増加により、頻尿になる。
膀胱容量は減少する。膀胱壁の弾性が低下し、伸展しにくくなるためになる。若年では400〜500mL程度だが、高齢では減少する。
夜間尿量は増加する。抗利尿ホルモンの分泌の日内リズムが平坦になること、腎の尿濃縮力が低下すること、そして日中に下肢へ貯留した水分が臥位で血管内へ戻ることが要因になる。夜間頻尿は、高齢者の睡眠の質を下げ、夜間の転倒の原因にもなる。
尿比重は上昇せず、むしろ低下する(尿を濃縮する力が落ちる)。そのため、脱水があっても尿比重が上がりにくく、脱水の評価が難しくなる。
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混同しやすいポイント
誤肢はすべて、変化の方向が逆になっている。加齢では、腎と膀胱の「予備力」と「調節力」が落ちるという方向で統一されている。濃縮できない、溜められない、出しきれない、そして夜間のリズムが崩れる。この4つを押さえれば、すべての選択肢を判断できる。とくに、尿比重が上がりにくいことは、脱水の評価で実務上重要になる。
理解を深める
高齢者の排尿の問題と看護を整理する。頻尿=1日8回以上を目安とし、夜間は1回以上起きる場合を夜間頻尿という。原因は、膀胱容量の減少、残尿、過活動膀胱、多尿(水分の摂りすぎ、糖尿病、利尿薬)、心不全、睡眠時無呼吸、そして前立腺肥大症になる。対応は原因に応じて決める。排尿日誌と飲水量の記録で実態を把握し、摂取が過多であれば総量を調整する。心不全など水分管理を要する病態があればその指示に従い、逆に脱水の危険がある人では総量を減らさずに飲水の時間帯を調整する(夕方以降を控える)、カフェインとアルコールの制限、下肢の挙上と弾性ストッキング(日中に貯留した水分を夕方までに排出させる)、そして薬物療法になる。排尿困難と残尿=前立腺肥大症、神経因性膀胱、薬剤(抗コリン薬、抗ヒスタミン薬、一部の抗うつ薬、感冒薬)が原因になる。薬剤による尿閉は、高齢者で起こりやすく、見逃されやすい。尿失禁=切迫性、腹圧性、溢流性、機能性の4型に分けて評価する。尿路感染=症状が非定型的で、食欲不振、活気の低下、せん妄として現れることがある。看護では、排尿日誌をつけてもらい、実態を把握することが出発点になる。トイレへの動線、照明、履物、そして衣服の工夫も、失禁と転倒の両方を減らす。おむつは、必要性を見直し、安易に用いない。自分でトイレへ行けることは、その人の尊厳と活動性に直結する。
間違えやすい考え方
加齢の変化を問う型で、誤肢がすべて方向の逆である。濃縮できない・溜められない・出しきれない・夜間に出るで切る。
5分で振り返る
①加齢で排尿筋の収縮力が低下し、男性では前立腺肥大により尿道抵抗が増え、残尿が増える。②残尿が増えると有効な膀胱容量が減って頻尿になり、尿路感染と溢流性尿失禁を招く。③膀胱容量は減少し、排尿回数は増加する。④夜間尿量は増加する(抗利尿ホルモンの日内リズムの平坦化、尿濃縮力の低下、臥位での水分の還流)。⑤尿比重は上がりにくくなり、脱水の評価が難しくなる。⑥薬剤(抗コリン薬、抗ヒスタミン薬、感冒薬)による尿閉に注意する。⑦排尿日誌で実態を把握し、おむつは必要性を見直す。
1分チェック
- 老化による排尿の変化は。→ 残尿量の増加(排尿筋の収縮力の低下と尿道抵抗の増加)。
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