緑内障〈glaucoma〉 について正しいのはどれか。2つ選べ。
公式正答:2・5
解説
緑内障について正しいものを2つ選ぶ。視神経が萎縮すること、および眼圧の上昇が原因となることである。
この問題で問われていること
疾患の本体(何が障害されるか)と、原因を説明できるか。
しくみから理解する
緑内障は、視神経が障害されて視野が欠けていく疾患になる。眼球内の圧(眼圧)が、その視神経にとって耐えられる範囲を超えることが主な原因になり、視神経乳頭の陥凹の拡大と、神経線維層の菲薄化が生じる。障害された視神経は回復しないため、失われた視野は戻らない。治療の目的は、眼圧を下げて進行を止めることになる。なお、眼圧が統計的な正常範囲(10〜21mmHg)にあっても視神経が障害される正常眼圧緑内障が、日本では緑内障の大半を占める。この場合も、眼圧を下げることが有効な治療になる。
選択肢ごとの確認
眼球が突出するのは、甲状腺機能亢進症(バセドウ病)に伴う甲状腺眼症、眼窩腫瘍、眼窩蜂窩織炎などになる。緑内障の症状ではない。
硝子体が混濁するのは、硝子体出血、ぶどう膜炎、加齢による硝子体の変性(飛蚊症)などになる。緑内障ではない。
眼底の出血は、糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、高血圧網膜症などでみられる。緑内障の特徴的な所見は、出血ではなく視神経乳頭の陥凹の拡大になる。
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混同しやすいポイント
誤肢は、いずれも緑内障を定義する所見ではない。なお視神経乳頭出血(線状の乳頭縁出血)は緑内障、とくに正常眼圧緑内障で認められ、進行の予測因子として知られる所見であり、緑内障では起こらないという意味ではない。眼球の突出や硝子体の混濁は、別の疾患の所見になる。緑内障=視神経の障害、白内障=水晶体の混濁、糖尿病網膜症=網膜の血管の障害、と対応づけて覚えると区別できる。とくに、緑内障と白内障は名前が似ているため混同しやすいが、障害される部位も、症状も、治療もまったく異なる。白内障は手術で視力が回復するが、緑内障で失われた視野は戻らない。
理解を深める
緑内障の分類と管理を整理する。病型=開放隅角緑内障(隅角は開いているが、房水の排出が悪い。慢性に進行し、初期は自覚症状に乏しい)、閉塞隅角緑内障(隅角が狭く、房水の流出が妨げられる。急性に発作を起こすと、眼痛、頭痛、悪心・嘔吐、視力の低下、充血、そして瞳孔の散大を生じる。緊急の対応を要する)、正常眼圧緑内障、続発緑内障(他の眼疾患、ステロイド、外傷による)、先天緑内障。急性緑内障発作の誘因=暗い場所での作業、うつむき姿勢、そして抗コリン作用のある薬剤(抗ヒスタミン薬、一部の抗うつ薬と抗不安薬、鎮痙薬、散瞳薬)による瞳孔の散大になる。閉塞隅角の患者では、これらの薬剤が禁忌になるため、問診での確認が重要になる。治療=点眼薬(プロスタグランジン関連薬、β遮断薬、炭酸脱水酵素阻害薬、その他)が中心で、効果が不十分ならレーザー治療または手術を行う。看護=点眼の手技の指導(1回1滴で十分、点眼後は目頭を押さえて1〜5分閉眼する、複数の点眼薬は5分以上あける)、継続の重要性の説明(症状がなくても続ける)、視野の欠損による日常生活への影響(段差、歩行、運転)への配慮、そして定期的な受診の支援になる。自覚症状が乏しいまま進行するため、健診での早期発見が重要になる。日本では、40歳以上の約20人に1人が緑内障とされ、中途失明の原因の第1位になっている。
間違えやすい考え方
疾患の特徴を2つ選ぶ型で、誤肢がすべて他の眼疾患の所見である。何が障害されるかで切る。
5分で振り返る
①緑内障は視神経が障害されて視野が欠けていく疾患。主な原因は眼圧の上昇。②視神経乳頭の陥凹の拡大と神経線維層の菲薄化がみられる。失われた視野は戻らない。③日本では正常眼圧緑内障が大半を占め、この場合も眼圧を下げることが有効。④眼球の突出は甲状腺眼症など、硝子体の混濁は硝子体出血やぶどう膜炎で、いずれも別の疾患。なお視神経乳頭出血(線状の乳頭縁出血)は緑内障でも認められ、正常眼圧緑内障では進行の予測因子として知られる。緑内障を定義する所見ではないが、起こらない所見でもない。⑤閉塞隅角では急性発作(眼痛、頭痛、悪心・嘔吐、視力低下、充血、散瞳)が起こりうる。⑥抗コリン作用のある薬剤は閉塞隅角で禁忌。⑦点眼は1回1滴、点眼後は目頭を押さえて閉眼、複数の薬は5分以上あける。
1分チェック
- 緑内障は。→ 視神経が萎縮する/眼圧の上昇が原因になる。
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