精神保健及び精神障害者福祉に関する法律〈精神保健福祉法〉に基づく入院形態で 正しいのはどれか。2つ選べ。
公式正答:1・3
解説
精神保健福祉法に基づく入院形態で正しいものを2つ選ぶ。応急入院は72時間以内に限られていること、および措置入院中の患者は精神医療審査会へ退院請求を申し出ることができることである。
この問題で問われていること
5つの入院形態を、要件・期間・権利の面で区別できるか。
しくみから理解する
応急入院は、直ちに入院させなければ医療と保護を図るうえで著しく支障があるが、家族等の同意を得ることができない場合に、精神保健指定医の診察により、応急入院指定病院において72時間に限って行われる。期間の上限が明確に定められている点が特徴になる。また、精神科病院に入院しているすべての患者は、入院の形態を問わず、精神医療審査会に対して退院の請求または処遇の改善の請求を行うことができる。措置入院中の患者も例外ではなく、本人または家族等が請求できる。この2つが正しい記述になる。
選択肢ごとの確認
緊急措置入院中の患者は、本人と家族が希望しても退院できない。措置入院と緊急措置入院は、自傷他害のおそれがあることを理由に、都道府県知事(または指定都市の市長)の権限で行われる入院であり、本人と家族の意思では退院できない。措置の解除は、入院を継続しなくても自傷他害のおそれがないと認められるに至ったときに、知事が行う。症状が消失していることは要件ではない。なお、緊急措置入院は72時間以内に限られ、精神保健指定医1名の診察で足りる。
精神保健指定医は、任意入院中の患者について、入院を継続する必要があると判断した場合、72時間に限って退院を制限できる。任意入院は本人の同意にもとづく入院で、原則として本人の申し出により退院できるが、この例外が法に定められている。
医療保護入院に必要なのは、精神保健指定医1名の診察と、家族等の同意になる。2名の指定医の一致した判断が必要なのは措置入院になる。緊急措置入院では1名で足りるが72時間以内に限られる。
もっと詳しく読む
混同しやすいポイント
5つの入院形態を、①誰の判断で、②誰の同意で、③何名の指定医が、④期間の制限はあるか、という4つの軸で整理する。任意入院=本人の同意、指定医の判断で72時間の退院制限が可能。医療保護入院=指定医1名+家族等の同意。応急入院=指定医1名、同意を得られない場合、72時間以内、応急入院指定病院。措置入院=知事の権限、指定医2名の一致、自傷他害のおそれ。緊急措置入院=知事の権限、指定医1名、72時間以内。誤肢は、この軸のいずれかを取り違えている。
理解を深める
精神科医療における権利の保障を整理する。精神医療審査会=都道府県に設置され、医療委員(精神保健指定医)、法律家委員、そして精神障害者の保健福祉に関し学識経験のある委員で構成される。①医療保護入院の届出と定期の病状報告、措置入院の定期の病状報告の審査、②退院請求と処遇改善請求の審査を行う。患者は、入院時に、この請求ができることを書面で告知される。処遇の制限=隔離(12時間を超える場合は精神保健指定医の判断が必要)、身体的拘束(精神保健指定医の判断が必要。頻回に観察し、記録する)、通信・面会の制限(信書の発受、都道府県や弁護士との電話・面会は制限できない)。これらは、いずれも必要最小限とし、記録と定期の見直しが求められる。医療保護入院については、2024年施行の改正により、入院期間を定めて更新の手続きを要することとされ、また入院者訪問支援事業が創設されるなど、権利擁護の仕組みが強化された。看護では、患者が自分の権利を知り、行使できるよう支えることが役割になる。入院の形態と期間、請求の方法、そして相談先を、分かる形で伝える。制限を行う場合も、理由と見通しを説明し、患者の尊厳を損なわない関わりを保つ。
間違えやすい考え方
入院形態を2つ選ぶ型で、誤肢が要件・期間・権限の取り違えである。4つの軸(判断・同意・指定医の数・期間)で切る。
5分で振り返る
①任意入院=本人の同意。指定医の判断で72時間の退院制限が可能。②医療保護入院=指定医1名の診察+家族等の同意。③応急入院=指定医1名、家族等の同意を得られない場合、72時間以内、応急入院指定病院。④措置入院=知事の権限、指定医2名の一致した判断、自傷他害のおそれ。本人と家族の意思では退院できない。⑤緊急措置入院=知事の権限、指定医1名、72時間以内。⑥入院形態を問わず、精神医療審査会へ退院請求と処遇改善請求ができる。⑦隔離は12時間を超える場合、身体的拘束は常に精神保健指定医の判断が必要。
1分チェック
- 応急入院は72時間以内。措置入院中でも。→ 精神医療審査会へ退院請求ができる。
この問題に対応する教材の確認中です。