次の文を読み、問いに答えよ。Aちゃん(2歳、男児)は両親、兄(5歳)の4人家族である。3日前から発熱が続くため、母親と一緒に外来を受診した。診察の結果、川崎病〈Kawasakidisease〉と診断され、個室に入院となり左手背に点滴静脈内留置針が挿入された。入院中は母親が希望し、Aちゃんに付き添っている。Aちゃんにγ-グロブリン療法とアスピリンの内服が開始されることになった。看護師がγ-グロブリン療法の開始のために訪室すると、Aちゃんは不機嫌にぐずって泣いている。
A ちゃんの入院中、母親は一度も自宅に帰らずに付き添いを続けている。入院 3日の朝に看護師が訪室したところ、母親が「夫から電話があって、A の入院後、 兄がほとんど寝ずに大泣きしているらしく、私は心配です」と話している。 母親への看護師の対応で適切なのはどれか。
公式正答:3
解説
入院した2歳男児に付き添う母親から、自宅の兄(5歳)が眠れず大泣きしていると相談された際の対応を問う。兄と関わる時間を持てるよう母親に帰宅を促すことである。
この問題で問われていること
入院した子どもの きょうだい に生じることを理解しているか。
しくみから理解する
子どもが入院すると、家族全体の生活が変わる。とくに、自宅に残された きょうだい は、親と離れる不安、日課の乱れ、そして「自分は大切にされていないのではないか」という気持ちを抱きやすい。5歳という年齢では、退行(夜泣き、おねしょ、甘え)、不安、そして身体の症状(腹痛、食欲不振)として現れることが多い。この事例では、既に不眠と大泣きという形で現れている。必要なのは、親と過ごす時間を確保することであり、母親が一度帰宅して兄と関わることが、直接的で有効な対応になる。あわせて、入院中の子どもの世話を看護師が引き受けられることを伝え、母親が安心して帰れるようにする。
選択肢ごとの確認
病室内で面会させることは、この場面の解決にならない。加えて、5歳の子どもは感染症を持ち込むリスクがあり、多くの施設で年少の きょうだい の面会には制限がある。また、短時間の面会では、兄が求めている「親と過ごす時間」は満たされない。
「Aちゃんのことに集中するべき」と伝えることは、母親の不安を否定し、家族全体を見る視点を欠いた対応になる。母親は既に入院後一度も帰宅しておらず、疲労も蓄積している。
退院の可否を医師と相談すると伝えることは、問題のとらえ方が違う。治療が必要な段階での退院は、患児の不利益になる。解決すべきは、家族の時間の配分であり、治療の中断ではない。
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混同しやすいポイント
誤肢は、面会(解決にならない)、母親への叱責に近い助言(否定)、そして治療の中断(不適切)で構成されている。「入院しているのは1人だが、影響を受けるのは家族全体である」という視点が要点になる。母親が付き添いを続けることを当然の前提とせず、家族が持続できる形を一緒に考えることが看護になる。
理解を深める
入院した子どもの きょうだい への支援を整理する。きょうだい に生じること=不安、寂しさ、嫉妬、罪悪感(自分のせいで病気になったのではないか)、退行、身体症状、学業や園生活への影響、そして「よい子でいなければ」という過度の我慢。支援=①年齢に応じた説明(何が起きているか、いつ帰るか、あなたのせいではないこと)、②親と過ごす時間の確保(短くても、その子のためだけの時間をつくる)、③日課をできるだけ保つ、④面会の機会(施設の方針と感染の状況に応じて)、⑤ 手紙、写真、電話、動画といった間接的なつながり、⑥祖父母や周囲の支援の活用。付き添う親への支援=交代の提案、休息の場、食事、そして「一度帰ってもよい」という許可を明確に伝えること。多くの親は、離れることに罪悪感を抱くため、看護師が「その間はこちらで責任をもって看ます」と伝えることが、実際に帰れるかどうかを分ける。付き添いは義務ではなく、家族の状況に応じて選べるものであることも、あらかじめ説明しておく。近年は、付き添いによる親の負担(睡眠、食事、就労、他の子の世話)が問題として認識され、環境の整備が進められている。
間違えやすい考え方
家族への対応を問う型で、誤肢が面会・否定・治療の中断である。家族全体を見る視点で切る。
5分で振り返る
①子どもの入院は家族全体に影響する。自宅に残された きょうだい は不安、寂しさ、嫉妬、罪悪感を抱く。②5歳では退行(夜泣き、おねしょ、甘え)、不安、身体症状として現れる。③必要なのは親と過ごす時間の確保。母親の帰宅を促し、入院中の世話は看護師が引き受けると伝える。④年少の きょうだい の面会は感染のリスクから制限されることが多く、短時間の面会では求めているものを満たせない。⑤「患児に集中すべき」は母親の不安の否定になる。⑥治療が必要な段階での退院は患児の不利益になる。⑦付き添いは義務ではなく、家族の状況に応じて選べることをあらかじめ説明する。
1分チェック
- 自宅の きょうだい が不安定なときは。→ 母親に帰宅を促し、関わる時間をつくる。
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