次の文を読み、問いに答えよ。Aさん(33歳、初産婦、会社員)は夫と2人で暮らしている。妊娠28週5日、夕方から下腹部に生理痛のような痛みを感じ、少量の性器出血があったため来院した。来院時、子宮口2cm開大、未破水、8分おきに20秒持続する子宮収縮があり、切迫早産〈threatenedprematuredelivery〉と診断された。子宮収縮抑制薬(リトドリン塩酸塩)の点滴静脈内注射と安静による治療が開始された。
A さんは妊娠36 週5日、8時に分娩が開始した。16 時30 分に子宮口全開大、 16 時35 分に自然破水、18 時30 分に男児を出産した。分娩時出血量は350 mL、児 のApgar〈アプガー〉スコアは1分後8点、5分後9点であった。 A さんの分娩のアセスメントで適切なのはどれか。
公式正答:1
解説
妊娠36週5日に分娩し、分娩時出血量350mL、児のアプガースコアが1分後8点・5分後9点であった事例のアセスメントを問う。早期産である、である。
この問題で問われていること
分娩の各項目を、基準に照らして判定できるか。
しくみから理解する
妊娠週数による分類は、流産(妊娠22週未満)、早期産(妊娠22週0日から36週6日)、正期産(妊娠37週0日から41週6日)、そして過期産(妊娠42週0日以降)になる。この事例は妊娠36週5日での分娩であるため、早期産に該当する。早期産児では、呼吸窮迫症候群、低体温、低血糖、黄疸、哺乳力の弱さ、そして感染への抵抗力の低さといった問題が生じうるため、出生後の観察と管理が必要になる。ただし36週台の後期早産児では、多くが大きな問題なく経過する。
選択肢ごとの確認
異常出血ではない。分娩時異常出血は、経腟分娩で500mL以上(帝王切開では1,000mL以上)とされる。350mLはこれを下回る。
前期破水ではない。前期破水は、陣痛が始まる前に卵膜が破れることを指す。この事例では、8時に分娩が開始し(陣痛開始)、16時30分に子宮口全開大、16時35分に破水しており、分娩第2期に入ってからの破水になる。これは適時破水(子宮口全開大前後の破水)にあたる。
新生児仮死ではない。アプガースコアは、心拍数、呼吸、筋緊張、反射(刺激に対する反応)、そして皮膚色の5項目を各0〜2点で評価し、合計10点満点になる。8〜10点が正常、4〜7点が軽度仮死(第1度)、0〜3点が重度仮死(第2度)とされる。1分後8点、5分後9点はいずれも正常範囲になる。
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混同しやすいポイント
4つの選択肢が、それぞれ別の基準による判定になっている。週数、出血量、破水の時期、そしてアプガースコア。それぞれの基準値を正確に持っていれば、一つずつ判定できる。この設問では、正常範囲のものが3つ並び、逸脱しているのは週数だけになる。数値を見て「異常はないか」と探すのではなく、基準に照らして一つずつ確認する姿勢が求められる。
理解を深める
分娩に関わる基準を整理する。週数=流産(22週未満)、早期産(22週0日〜36週6日)、正期産(37週0日〜41週6日)、過期産(42週0日〜)。破水の時期=前期破水(陣痛開始前)、早期破水(陣痛開始後、子宮口全開大前)、適時破水(子宮口全開大前後)。前期破水では、感染(絨毛膜羊膜炎)と臍帯脱出のリスクがあり、清潔の保持、体温と炎症所見の観察、そして胎児心拍のモニタリングが必要になる。出血量=分娩時異常出血は経腟分娩で500mL以上、帝王切開で1,000mL以上。原因は、弛緩出血、産道の裂傷、胎盤の遺残、そして血液凝固障害(この4つを覚える)。アプガースコア=出生後1分と5分に評価する。8〜10点が正常、4〜7点が軽度仮死、0〜3点が重度仮死という区分が出題では用いられる。ただしアプガースコアは出生直後の状態を評価する指標で、それ単独では新生児仮死の臨床診断にはならない。診断には臍帯動脈血のpHと塩基欠乏、脳症の所見、多臓器障害の裏づけが要る。5分後の点数の方が、予後との関連が強いとされる。分娩所要時間=初産婦で12〜16時間程度、経産婦で6〜8時間程度が目安。この事例では8時から児娩出の18時30分までが10時間30分。分娩所要時間は分娩開始から胎盤娩出までを指し、胎盤娩出の時刻が示されていないため所要時間そのものは算出できないが、児娩出までの経過は初産婦として順調である。遷延分娩は、初産婦で30時間以上、経産婦で15時間以上とされる。看護では、これらの基準に照らして経過を評価し、逸脱があれば早期に対応する。
間違えやすい考え方
アセスメントを問う型で、誤肢がすべて正常範囲である。基準に照らして一つずつ判定して切る。
5分で振り返る
①週数の分類=流産(22週未満)、早期産(22週0日〜36週6日)、正期産(37週0日〜41週6日)、過期産(42週0日〜)。②分娩時異常出血は経腟分娩で500mL以上、帝王切開で1,000mL以上。350mLは正常範囲。③破水=前期破水(陣痛開始前)、早期破水(陣痛開始後・全開大前)、適時破水(全開大前後)。④アプガースコアは心拍数・呼吸・筋緊張・反射・皮膚色の5項目で10点満点。8〜10点が正常、4〜7点が軽度仮死、0〜3点が重度仮死という区分が出題では用いられる。ただしこの指標は出生直後の状態を評価するもので、それ単独では新生児仮死の臨床診断にならない。診断には臍帯動脈血のpHと塩基欠乏、脳症の所見、多臓器障害の裏づけが要る。⑤分娩所要時間の目安は初産婦12〜16時間、経産婦6〜8時間。⑥遷延分娩は初産婦30時間以上、経産婦15時間以上。⑦分娩時異常出血の原因=弛緩出血、産道の裂傷、胎盤の遺残、凝固障害。
1分チェック
- 妊娠36週5日の分娩は。→ 早期産(正期産は37週0日から)。
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