次の文を読み、問いに答えよ。Aちゃん(6歳、男児)は父親(50歳、会社員)、母親(48歳)、姉(11歳)と4人で暮らしている。Duchenne〈デュシェンヌ〉型筋ジストロフィーDuchennemusculardystrophyで身体障害者手帳(肢体不自由1級)が交付されている。喀痰吸引、胃瘻による経管栄養が必要で、訪問看護を週に2回利用している。まばたきの回数で「はい」と「いいえ」の意思表示はできるが、視線や上肢の動きには誤動作もあり、構音障害もあるため家族以外では意思の判断が難しい。また、手指での細かい操作はできない。Aちゃんは次年度から姉と同じ小学校の特別支援学級に通い、通常の学級の児童と交流の予定がある。
入学時に担任がA ちゃんの意思を確認する方法で最も適切なのはどれか。
公式正答:3
解説
まばたきの回数で「はい」「いいえ」の意思表示ができ、視線と上肢の動きには誤動作があり、手指の細かい操作ができない6歳男児について、担任が意思を確認する方法を問う。閉じた質問をしてまばたきの回数を確認することである。
この問題で問われていること
その人が確実にできる手段を選べるか。
しくみから理解する
意思の確認では、その人が最も確実に、誤りなく表現できる手段を用いることが原則になる。この事例では、事例文に「まばたきの回数で『はい』と『いいえ』の意思表示はできる」と明記されている一方、「視線や上肢の動きには誤動作もある」「手指での細かい操作はできない」とも書かれている。したがって、確実な手段はまばたきになる。まばたきで答えられるのは「はい」か「いいえ」であるため、質問は閉じた質問(はい・いいえで答えられる形)にする必要がある。手段と質問の形が対応している点が、この選択肢の正しさになる。
選択肢ごとの確認
五十音の文字盤を指でさす方法は、手指の細かい操作ができないため用いられない。また、上肢の動きに誤動作があるため、指した文字が本人の意図と異なる可能性がある。
視線で入力する意思伝達装置も、視線に誤動作があるため、この時点では確実性に欠ける。将来的に、訓練と機器の調整により使える可能性はあるが、入学時に担任が意思を確認する方法としては適さない。
絵カードを指でさす方法も、手指の操作と上肢の動きの問題から適さない。カードを見せて、それぞれについて「これですか」と閉じた質問をし、まばたきで答えてもらう形にすれば使えるが、選択肢は「指でさしたカードを確認する」となっており、本人の能力と合わない。
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混同しやすいポイント
事例文の中に、答えを決める情報がすべて書かれている。「まばたきはできる」「視線と上肢には誤動作がある」「手指の細かい操作はできない」という3つの記述を照合すれば、確実な手段は一つに絞られる。障害のある人とのコミュニケーションでは、「できないこと」から出発するのではなく、「確実にできること」を土台にして方法を組み立てる、という考え方が要点になる。
理解を深める
重度の障害がある子どもとのコミュニケーションを整理する。手段の選択=残存する機能で、確実に、疲れずに、繰り返し行えるものを選ぶ。まばたき、口の動き、指の動き、頭の傾き、発声、視線、そしてスイッチの操作など。1つの動作で「はい」「いいえ」を区別できれば、閉じた質問で多くのことを確認できる。工夫=①質問は一度に一つ、②選択肢を順に読み上げて該当するところで合図してもらう、③答えを確認して繰り返す(「〇〇ということでいいですか」)、④時間をかける、急がせない、⑤疲労に注意し、長時間続けない、⑥体調や覚醒の状態によって反応が変わることを踏まえる。補助・代替コミュニケーション=文字盤、絵カード、シンボル、コミュニケーションブック、視線入力装置、スイッチと意思伝達装置。機能の変化に応じて、段階的に導入する。学校での支援=担任、特別支援教育コーディネーター、看護師、支援員、そして保護者が情報を共有する。家族は、その子の表現を最もよく理解しているため、どのような合図が何を意味するかを教わることが、最初の一歩になる。子どもの意思を推測で決めず、確認する姿勢を保つことが、その子を一人の主体として扱うことになる。
間違えやすい考え方
方法を問う型で、誤肢がすべて本人の能力と合わない手段である。事例文の記述を照合して切る。
5分で振り返る
①意思の確認は、その人が最も確実に、誤りなく表現できる手段で行う。②この事例では、まばたきによる「はい」「いいえ」が確実な手段。視線と上肢には誤動作があり、手指の細かい操作はできない。③まばたきで答えられるのは「はい」か「いいえ」なので、質問は閉じた質問にする。④工夫=質問は一度に一つ、選択肢を順に読み上げる、答えを確認して繰り返す、時間をかける、疲労に注意する。⑤補助・代替コミュニケーション=文字盤、絵カード、コミュニケーションブック、視線入力装置、スイッチと意思伝達装置。⑥家族はその子の表現を最もよく理解しているため、まず教わる。⑦推測で決めず、確認する姿勢を保つ。
1分チェック
- まばたきで意思表示できる子には。→ 閉じた質問をしてまばたきの回数を確認する。
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