次の文を読み、問いに答えよ。Aちゃん(6歳、男児)は父親(50歳、会社員)、母親(48歳)、姉(11歳)と4人で暮らしている。Duchenne〈デュシェンヌ〉型筋ジストロフィーDuchennemusculardystrophyで身体障害者手帳(肢体不自由1級)が交付されている。喀痰吸引、胃瘻による経管栄養が必要で、訪問看護を週に2回利用している。まばたきの回数で「はい」と「いいえ」の意思表示はできるが、視線や上肢の動きには誤動作もあり、構音障害もあるため家族以外では意思の判断が難しい。また、手指での細かい操作はできない。Aちゃんは次年度から姉と同じ小学校の特別支援学級に通い、通常の学級の児童と交流の予定がある。
A ちゃんが小学校に入学して6か月が経過した。小学校への送迎は母親が行っ ており、学内での喀痰吸引や経管栄養の注入は小学校に配置されている看護師が 行っている。A ちゃんは体調も安定しており、小学校での生活にも慣れてきた。A ちゃんの母親は「夫は朝早く出勤し、長女もまだ小さく、A を小学校に連れて行く まで忙しくて大変です」と訪問看護師に話した。訪問看護師は保健所の保健師に相 談し、A ちゃん宅で家族も含めてA ちゃんが利用できる支援サービスを検討する ことにした。 A ちゃんと家族に利用を勧める支援サービスで適切なのはどれか。
公式正答:2
解説
医療的ケアが必要な6歳男児の家族が、朝の介護と送迎に負担を感じている場面で、勧める支援サービスを問う。重度訪問介護である。
この問題で問われていること
サービスの対象と内容を、この家族の必要と照らせるか。
しくみから理解する
重度訪問介護は、障害者総合支援法にもとづく訪問系のサービスで、重度の肢体不自由、または重度の知的障害・精神障害により、常に介護を必要とする人を対象とする。居宅における入浴、排泄、食事の介護、調理、洗濯、掃除といった家事、そして生活全般の相談と助言に加えて、外出時における移動中の介護を、比較的長い時間にわたって総合的に提供できる点が特徴になる。この家族が困っているのは、朝の在宅での介護と送迎を含む日常の負担である。重度訪問介護は、居宅における入浴・排泄・食事の介護と家事を長時間まとめて提供できるため、朝の在宅での負担に対応する。なお障害福祉サービスの外出支援は、通勤や通年かつ長期にわたる外出を原則として対象外としており、通学の支援は自治体ごとの取り扱いや別の仕組みによる。
選択肢ごとの確認
児童発達支援は、児童福祉法にもとづくサービスで、未就学の障害のある児童に、日常生活の基本的な動作の指導、集団生活への適応訓練などを行う。この事例の子どもは既に小学生であり、対象から外れる。
放課後等デイサービスは、就学している障害のある児童に、放課後や長期休暇中に、生活能力の向上のための訓練と社会との交流の機会を提供する。対象には当てはまるが、この家族が困っているのは朝の送迎であり、放課後の支援では解決しない。
短期入所(ショートステイ)は、介護者の病気や休息などのため、一時的に施設へ入所するサービスになる。介護者の負担の軽減に有効だが、日常的な朝の送迎の負担には対応しない。長期休暇や、母親の体調不良時などに併用する形になる。
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混同しやすいポイント
誤肢のうち、児童発達支援は対象年齢が合わず、放課後等デイサービスと短期入所は時間帯と目的が合わない。「この家族は何に困っているのか」を事例文から特定し、それに直接対応するサービスを選ぶ、という考え方になる。制度の名称と内容を覚えるだけでなく、どの場面で使えるかを結びつけておく必要がある。
理解を深める
医療的ケア児と家族を支える仕組みを整理する。障害者総合支援法=居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、短期入所、生活介護、そして日常生活用具の給付。児童福祉法=児童発達支援、医療型児童発達支援、放課後等デイサービス、居宅訪問型児童発達支援、保育所等訪問支援、そして障害児相談支援。医療保険=訪問看護、訪問診療。医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律(2021年施行)=国と自治体の責務を定め、学校等での医療的ケアの体制の整備、医療的ケア児支援センターの設置などを進めるもの。この法律により、学校への看護師の配置が進み、この事例のように校内での喀痰吸引と経管栄養が可能になっている。その他=身体障害者手帳、特別児童扶養手当、障害児福祉手当、小児慢性特定疾病医療費助成、自立支援医療(育成医療)、そして日常生活用具(吸引器、パルスオキシメータなど)。家族への支援では、①介護の負担の把握(誰が、何を、どれだけ担っているか)、②きょうだいへの配慮、③親の就労、休息、健康、④災害への備え、⑤将来の見通し(進学、成人後の生活)を含めて考える。この事例のように、母親一人に負担が集中している場合、サービスの導入だけでなく、家族内の役割の見直しも話題にできる。
間違えやすい考え方
サービスの選択を問う型で、誤肢が対象年齢・時間帯・目的の合わないものである。何に困っているかで切る。
5分で振り返る
①重度訪問介護は障害者総合支援法のサービス。重度の肢体不自由等で常に介護が必要な人に、居宅の介護・家事・相談に加え、外出時の移動中の介護を長時間にわたり提供する。ただし外出支援は、通勤や通年かつ長期にわたる外出を原則として対象外とし、通学の支援は自治体ごとの取り扱いや別の仕組みによる。②児童発達支援は未就学の障害児が対象で、小学生は対象外。③放課後等デイサービスは就学児が対象だが、放課後と長期休暇の支援であり朝の送迎には対応しない。④短期入所は一時的な入所で、日常の送迎の負担には対応しない。⑤医療的ケア児支援法(2021年施行)により、学校への看護師の配置が進んだ。⑥その他の制度=身体障害者手帳、特別児童扶養手当、障害児福祉手当、小児慢性特定疾病医療費助成、日常生活用具の給付。⑦家族支援では、介護の分担、きょうだい、親の就労と休息、災害への備え、将来の見通しを含めて考える。
1分チェック
- 外出を含む介護の負担には。→ 重度訪問介護(移動中の介護を含む総合的な支援)。
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