循環式浴槽の水質汚染で発症するのはどれか。
公式正答:3
解説
循環式浴槽の水質汚染で発症するものを問う。レジオネラ肺炎である。
この問題で問われていること
感染経路が環境にある感染症を知っているか。
しくみから理解する
レジオネラ属菌は、土壌と淡水に広く存在する細菌で、20〜50℃の温水で増殖する。循環式浴槽、給湯設備、冷却塔、加湿器、そして噴水など、水が滞留し、生物膜(バイオフィルム)が形成される場所で増える。感染は、菌を含むエアロゾル(細かい水滴)を吸い込むことで成立し、人から人へは感染しない。レジオネラ症には、重症の肺炎型(レジオネラ肺炎)と、軽症で自然に治まるポンティアック熱がある。肺炎型は、高熱、咳、呼吸困難に加えて、下痢、意識障害、そして低ナトリウム血症を伴うことがあり、高齢者、喫煙者、免疫の低下した人で重症化する。
選択肢ごとの確認
コレラは、コレラ菌に汚染された水や食品を経口摂取することで感染する。大量の水様便(米のとぎ汁様便)と脱水を特徴とする。浴槽の水を飲むわけではないため、循環式浴槽との関連は薄い。
A型肝炎も経口感染で、汚染された水や食品(とくに生の貝類)を介して広がる。同様に、浴槽の水質汚染で発症するものではない。
後天性免疫不全症候群は、ヒト免疫不全ウイルスの感染によるもので、性的接触、血液、母子感染の3つの経路に限られる。浴槽の水を介して感染することはない。
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混同しやすいポイント
「エアロゾルを吸い込む」という感染経路が、レジオネラの特徴になる。誤肢のうち、コレラとA型肝炎は経口感染、後天性免疫不全症候群は血液・体液を介する感染であり、いずれも浴槽の水質と結びつかない。感染症の設問では、病原体と感染経路の対応を正確に持つことが基本になる。
理解を深める
レジオネラ症の対策を整理する。予防=①水温の管理(給湯は55℃以上を保つ、循環式浴槽の湯温を管理する)、②消毒(塩素消毒を適切に行う)、③清掃(浴槽、配管、ろ過器、循環経路の定期的な清掃と、生物膜の除去)、④水の交換(浴槽の湯を毎日換える)、⑤設計(水が滞留する部分を作らない)。公衆浴場法と、それに基づく条例により、施設の管理基準が定められている。感染症法では4類感染症に位置づけられ、診断した医師は直ちに届け出る。集団発生では、施設の使用の中止と、水の検査、そして疫学調査が行われる。診断=尿中抗原検査が迅速で有用になる(ただし血清型1型のみを検出する)。加えて、喀痰の培養(特殊な培地が必要)と遺伝子検査を行う。治療=ニューキノロン系またはマクロライド系の抗菌薬になる。β-ラクタム系は無効であるため、市中肺炎の初期治療で改善しない場合に、この疾患を疑う契機になる。看護では、入院患者への院内感染の予防(給湯設備、加湿器、ネブライザーの水の管理)も重要になる。とくに、ネブライザーや加湿器に水道水を継ぎ足して使うことは、菌の増殖を招くため避ける。
間違えやすい考え方
感染経路を問う型で、誤肢が経口感染と血液・体液を介する感染である。エアロゾルの吸入で切る。
5分で振り返る
①レジオネラ属菌は土壌と淡水に存在し、20〜50℃の温水で増殖する。②循環式浴槽、給湯設備、冷却塔、加湿器、噴水など、水が滞留し生物膜ができる場所で増える。③感染はエアロゾルの吸入による。人から人へは感染しない。④レジオネラ症=重症の肺炎型と、軽症のポンティアック熱。⑤肺炎型は高熱、咳、呼吸困難に加え、下痢、意識障害、低ナトリウム血症を伴うことがある。⑥診断は尿中抗原検査が迅速。治療はニューキノロン系またはマクロライド系(β-ラクタム系は無効)。⑦感染症法の4類感染症で、診断した医師は直ちに届け出る。
1分チェック
- 循環式浴槽の水質汚染で発症するのは。→ レジオネラ肺炎(エアロゾルの吸入による)。
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