モルヒネの副作用(有害事象)はどれか。
公式正答:3
解説
モルヒネの副作用(有害事象)を問う。便秘である。
この問題で問われていること
オピオイドの副作用と、その耐性の有無を説明できるか。
しくみから理解する
モルヒネは、消化管のオピオイド受容体に作用して、腸の蠕動を抑え、また肛門括約筋の緊張を高める。加えて、腸管からの水分の分泌を減らし、吸収を増やすため、便が硬くなる。この作用には耐性ができにくく、投与している間ずっと続く。したがって、便秘はオピオイドの副作用の中で最も頻度が高く、かつ持続するものになり、投与の開始と同時に緩下薬を予防的に用いることが原則になる。他の主な副作用である悪心・嘔吐と眠気は、数日で耐性ができて軽減することが多い点と対照的になる。
選択肢ごとの確認
出血は、モルヒネの副作用ではない。抗凝固薬、抗血小板薬、そして血小板減少をきたす薬剤で問題になる。
難聴は、アミノグリコシド系抗菌薬、シスプラチン、ループ利尿薬などで生じる。モルヒネの副作用ではない。
骨髄抑制は、抗癌薬の代表的な副作用になる。モルヒネには骨髄抑制の作用はない。この点は、がん疼痛の管理において重要で、化学療法と併用しても血球への影響を加えることはない。
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混同しやすいポイント
誤肢はいずれも他の薬剤の副作用であり、モルヒネと混同しやすいものではない。この設問は、オピオイドの副作用として便秘が最も基本であることを確認する型になる。関連して、「耐性ができるもの(悪心・嘔吐、眠気)」と「できないもの(便秘、縮瞳)」の区別を押さえる。
理解を深める
オピオイドの副作用と対応を整理する。便秘=ほぼ必発。耐性ができない。予防的に緩下薬(浸透圧性下剤+大腸刺激性下剤、あるいはオピオイド誘発性便秘症に対する薬)を投与の開始と同時に用いる。加えて、水分、食物繊維、活動、そして排便のリズムの調整を行う。悪心・嘔吐=投与の開始時と増量時に起こりやすく、多くは1週間程度で耐性ができる。制吐薬を用いる。眠気=同様に数日で軽減する。増量時にも一時的に強まる。持続する場合は、他の原因(高カルシウム血症、腎機能の低下、他の薬剤)を検索する。呼吸抑制=適切に用いれば頻度は低い。疼痛そのものが呼吸抑制に拮抗するためになる。ただし、腎機能の低下、急激な増量、疼痛が神経ブロック等で急に取り除かれた場合には注意が要る。徴候は、呼吸数の減少と縮瞳、そして意識レベルの低下になる。拮抗薬としてナロキソンがある。その他=口渇、掻痒感、排尿障害、せん妄、ミオクローヌス。看護の要点=①副作用をあらかじめ説明し、対策を準備する、②便通を記録する、③疼痛の評価を継続する(数値評価スケールなど)、④レスキュー薬の使い方を指導する、⑤「麻薬は中毒になる」「最後の手段」という誤解を解く。がん疼痛では、依存が問題になることはまれであり、痛みを我慢することのほうが害になる。
間違えやすい考え方
副作用を問う型で、誤肢がすべて他の薬剤の副作用である。耐性ができない便秘が最も基本と押さえる。
5分で振り返る
①モルヒネは腸の蠕動を抑え、肛門括約筋の緊張を高め、水分の吸収を増やすため便秘を生じる。②便秘には耐性ができず、投与中ずっと続く。開始と同時に緩下薬を予防的に用いる。③悪心・嘔吐と眠気は数日〜1週間で耐性ができて軽減する。④呼吸抑制は適切に用いれば頻度は低い。徴候は呼吸数の減少、縮瞳、意識レベルの低下。拮抗薬はナロキソン。⑤その他=口渇、掻痒感、排尿障害、せん妄、ミオクローヌス。⑥骨髄抑制はなく、化学療法と併用しても血球への影響を加えない。⑦がん疼痛では依存が問題になることはまれで、痛みを我慢するほうが害になる。
1分チェック
- モルヒネの副作用で最も頻度が高く持続するのは。→ 便秘(耐性ができない)。
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