上腕動脈で行う聴診法による血圧測定で適切なのはどれか。
公式正答:3
解説
上腕動脈で行う聴診法による血圧測定で適切なものを問う。マンシェットの装着部位と心臓が同じ高さになるようにすることである。
この問題で問われていること
測定値を左右する要因を、物理的な理由とともに説明できるか。
しくみから理解する
血圧は、測定する部位の高さによって変わる。心臓より低い位置で測れば、その分の水柱の圧が加わって高く出る。逆に、心臓より高い位置で測れば低く出る。おおよそ、高さが10cm変われば7〜8mmHg程度の差が生じる。したがって、正確に測るには、マンシェットの装着部位(上腕)を心臓と同じ高さに保つ必要がある。坐位では、腕をテーブルなどに置いて支え、臥位では腕を体側に沿わせる。腕に力が入っていると値が高く出るため、力を抜いてもらうことも重要になる。
選択肢ごとの確認
成人のマンシェットの幅は、9〜10cmではなく12〜14cm程度になる。幅が狭すぎると、圧が十分に伝わらず、実際より高い値が出る。逆に広すぎると低く出る。幅の目安は、上腕の長さの3分の2程度、あるいは上腕周囲径の40%程度とされる。9〜10cmは小児(学童)用の幅になる。
マンシェットの下端は、肘窩に重ならないように、肘窩の2〜3cm上に巻く。重なると、聴診器を当てる位置が確保できず、また加圧による圧迫が聴診の妨げになる。
マンシェットの巻き方は、指が3〜4本ではなく、1〜2本入る程度の強さになる。緩すぎると、圧が十分に伝わらず、実際より高い値が出る。きつすぎると低く出る。
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混同しやすいポイント
誤肢はすべて、測定値が実際とずれる原因になる要素を、誤った数値で述べている。血圧測定の誤差の要因を整理すると、①マンシェットの幅(狭い→高い、広い→低い)、②巻き方(緩い→高い、きつい→低い)、③高さ(低い→高い、高い→低い)、④減圧の速度(速すぎると、最初のコロトコフ音を聞き逃して収縮期血圧が低く、消失点を過ぎてから判定するため拡張期血圧が高く出る)、⑤衣類の上から測る、⑥測定前の状態(運動、緊張、会話、喫煙、カフェイン)になる。それぞれ、どちらの方向にずれるかまで押さえる。
理解を深める
血圧測定の実際を整理する。準備=5分程度の安静の後に測る。測定前に、運動、喫煙、カフェインの摂取、そして排尿を我慢していないかを確認する。会話をしない。体位=坐位では、背もたれに寄りかかり、足を組まず、足底を床につける。腕は支える。臥位でも心臓の高さに合わせる。手順=上腕を露出し(衣類を強くまくり上げて締めつけない)、肘窩の2〜3cm上にマンシェットの下端がくるよう、指が1〜2本入る程度に巻く。橈骨動脈を触知しながら加圧し、脈が触れなくなった点からさらに20〜30mmHg加圧する。聴診器を上腕動脈の上に軽く当て、1拍あたり2〜3mmHgの速さで減圧する。コロトコフ音が聞こえ始めた点(第1点)が収縮期血圧、消失した点(第5点)が拡張期血圧になる。注意=麻痺側、シャント側、乳房切除で腋窩リンパ節郭清をした側、点滴中の腕、そして外傷のある腕では測らない。初回は左右で測り、差が大きい場合(10〜15mmHg以上)は、高い方の値を採用し、原因(大動脈縮窄、鎖骨下動脈狭窄)を考慮する。聴診間隙(第1点の後に一時的に音が消え、再び聞こえる現象)に注意し、触診法で収縮期血圧の目安をつけてから加圧する。
間違えやすい考え方
測定の方法を問う型で、誤肢がすべて誤差の要因を誤った数値で述べている。ずれる方向まで押さえて切る。
5分で振り返る
①測定部位が心臓より低いと高く出て、高いと低く出る。10cmでおよそ7〜8mmHg。②成人のマンシェットの幅は12〜14cm程度(上腕周囲径の40%程度)。9〜10cmは学童用。③幅が狭い・巻き方が緩いと高く出る。広い・きついと低く出る。④マンシェットの下端は肘窩の2〜3cm上に巻く。⑤指が1〜2本入る程度の強さで巻く。⑥減圧は1拍あたり2〜3mmHgの速さ。速すぎると、収縮期血圧は最初の音を聞き逃して低く、拡張期血圧は消失点を過ぎて判定するため高く出る。⑦麻痺側、シャント側、腋窩リンパ節郭清をした側、点滴中の腕では測らない。
1分チェック
- 血圧測定で正確な値を得るには。→ マンシェットの装着部位を心臓と同じ高さにする。
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