不活動状態が持続することで生じるのはどれか。
公式正答:1
解説
不活動状態が持続することで生じるものを問う。廃用症候群である。
この問題で問われていること
用語の定義を正確に持っているか。
しくみから理解する
廃用症候群は、安静や不活動が続くことによって、身体と精神のさまざまな機能が低下する状態の総称になる。筋骨格系=筋力の低下(1週間の安静で10〜15%程度低下するとされる)、筋萎縮、関節拘縮、骨萎縮(骨粗鬆症)。循環=起立性低血圧、心機能の低下、深部静脈血栓症。呼吸=換気量の減少、分泌物の貯留、無気肺、沈下性肺炎。消化=食欲低下、便秘。泌尿=尿路結石、尿路感染。皮膚=褥瘡。精神・神経=意欲の低下、抑うつ、見当識障害、せん妄、認知機能の低下。これらは互いに悪循環を作り、いったん進むと回復に長い時間を要する。
選択肢ごとの確認
緊張病症候群は、精神疾患に伴う状態で、無動、緘黙、拒絶、姿勢の保持(カタレプシー)、常同的な行動などを特徴とする。統合失調症、気分障害、そして身体疾患に伴って生じる。不活動が原因ではない。
慢性疲労症候群は、原因の明らかでない強い倦怠感が6か月以上続き、日常生活が著しく制限される状態になる。休息によって改善しない疲労、労作後の消耗、睡眠の障害、認知機能の低下、そして起立不耐性を伴う。不活動の結果ではなく、原因不明の疾患になる。
シックハウス症候群は、住宅の建材や家具から放出される化学物質(ホルムアルデヒドなど)により、頭痛、めまい、眼と喉の刺激症状、そして倦怠感をきたす状態になる。環境要因による。
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混同しやすいポイント
誤肢はいずれも実在する症候群であり、名称の似た紛らわしさではなく、原因の違いで区別する。廃用=使わないことによる。緊張病=統合失調症や気分障害のほか、脳炎や代謝性疾患などの身体疾患でも生じる。慢性疲労=原因不明。シックハウス=化学物質による。「不活動状態が持続することで生じる」という設問文の記述が、廃用を明確に指している。
理解を深める
廃用症候群の予防を整理する。原則=①早期離床(術後、疾患の急性期を過ぎたら、可能な範囲で早く起こす)、②できることは自分で行ってもらう(過剰な介助をしない)、③関節可動域の維持(他動運動、自動介助運動、日常のケアの中で動かす)、④ポジショニング(良肢位の保持、体位変換)、⑤日中の活動と生活のリズム(座位で食事をとる、日中は臥床しない、日光を浴びる)、⑥栄養(蛋白質とエネルギーの確保。低栄養は筋の減少を加速する)、⑦目標の共有(本人が「何のために動くのか」を持てるようにする)。とくに高齢者では、入院そのものが機能の低下を招く(入院関連機能障害)ため、入院の初日から予防を始める必要がある。「安静の指示」は、何を制限するのかを具体的に確認する。「安静」と一括りにして、必要以上に動きを止めないことが重要になる。ベッド上でも、上肢の運動、足関節の底背屈、そして体位の変換は行える。リハビリテーションの専門職と連携し、看護師は日常のケアの中に運動を組み込む。この視点は、急性期から回復期、そして在宅まで、あらゆる場面で通用する。
間違えやすい考え方
用語の定義を問う型で、誤肢が原因の異なる実在する症候群である。「不活動による」という原因で切る。
5分で振り返る
①廃用症候群=安静と不活動が続くことで身体と精神の機能が低下する状態の総称。②筋力は1週間の安静で10〜15%程度低下する。③現れるもの=筋萎縮、関節拘縮、骨萎縮、起立性低血圧、深部静脈血栓症、沈下性肺炎、便秘、尿路感染、褥瘡、意欲の低下、せん妄、認知機能の低下。④緊張病症候群は無動、緘黙、カタレプシーを示す。統合失調症や気分障害に伴うほか、脳炎(自己免疫性を含む)、代謝性疾患、悪性症候群など身体疾患でも生じる。⑤慢性疲労症候群は原因不明の強い倦怠感が6か月以上続く。⑥シックハウス症候群は建材の化学物質による。⑦予防=早期離床、できることは自分で、関節可動域の維持、ポジショニング、日中の活動、栄養、目標の共有。
1分チェック
- 不活動が続いて生じるのは。→ 廃用症候群。
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