入浴の援助で正しいのはどれか。
公式正答:3
解説
入浴の援助で正しいものを問う。脱衣室と浴室の温度差を小さくすることである。
この問題で問われていること
温度差が身体に及ぼす影響を説明できるか。
しくみから理解する
暖かい居室から寒い脱衣室へ移り、衣類を脱いで裸になると、寒冷刺激により末梢の血管が収縮して血圧が急激に上がる。その後、熱い湯につかると血管が拡張して血圧が下がる。この急激な変動をヒートショックといい、脳血管障害、心筋梗塞、そして意識消失による溺水の原因になる。とくに高齢者、高血圧のある人、そして冬季に多い。したがって、脱衣室と浴室をあらかじめ暖め、居室との温度差を小さくすることが、最も基本的で有効な予防になる。
選択肢ごとの確認
入浴の前後に水分を制限してはならない。入浴では発汗により水分が失われるため、脱水を招き、血液の粘稠度が上がって血栓のリスクも高まる。入浴の前後には水分を摂るよう勧める。
湯温45℃は高すぎる。熱い湯は、血圧の急激な変動、心臓への負担、そして皮膚への刺激(乾燥、掻痒)を招く。38〜41℃程度のぬるめの湯が適する。とくに高齢者では、皮膚の感覚が鈍く、熱さを感じにくいため、湯温を必ず測って確認する。
浴室に入って始めに浴槽に浸かることは適切でない。まず、かけ湯をして身体を湯温に慣らしてから浴槽に入る。急に温かい湯に入ると、血圧と心拍数が急激に変動する。かけ湯は、足元から心臓に遠い部位へ順にかける。
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混同しやすいポイント
誤肢はすべて、循環への急激な負担につながる方向になっている。水分制限(脱水)、高温(血圧の変動)、いきなり入浴(同上)。入浴は、日常の行為でありながら、循環に大きな負担をかける。「急激な変化を避ける」という原則が、すべての選択肢の判断につながる。
理解を深める
入浴の援助を整理する。環境=脱衣室と浴室を暖める(22〜26℃程度)、居室との温度差を小さくする。滑り止め、手すり、シャワーチェア、そして段差の解消。実施の前=バイタルサインと体調の確認(発熱、血圧の著しい変動、体調不良時は清拭や部分浴に切り替える)、排泄を済ませる、水分を摂る。食後すぐ(1時間程度)と飲酒後は避ける。実施=かけ湯を足元から。湯温38〜41℃。湯につかる時間は10分程度まで。湯の深さは心臓の高さより下(半身浴)にすると負担が少ない。洗う順序は上から下へ、末梢から中枢へ。皮膚をこすらず、泡で洗う。実施の後=速やかに水分を拭き取り(気化熱による冷えを防ぐ)、保湿し、暖かい環境で休む。発汗で失われた分を補うため水分を摂る(心不全、透析、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群などで1日の水分量が指示されている患者では、指示された量の範囲内で入浴の前後へ配分する)。バイタルサインと疲労を確認する。観察=皮膚の状態(発赤、乾燥、湿疹、褥瘡、創、浮腫)、関節の動き、そして本人の反応。入浴は、全身の皮膚を観察できる貴重な機会になる。留意=一人での入浴が難しい場合、訪問入浴、通所での入浴、そして福祉用具の活用を検討する。入浴を「危ないから」と一律に止めるのではなく、安全に行える方法を探すことが、生活の質を保つことにつながる。
間違えやすい考え方
入浴の援助を問う型で、誤肢がすべて循環への急激な負担につながる。急激な変化を避けるという原則で切る。
5分で振り返る
①寒い脱衣室での血圧上昇と、熱い湯での血圧低下という急激な変動をヒートショックという。②脳血管障害、心筋梗塞、意識消失による溺水を招く。高齢者と冬季に多い。③予防は、脱衣室と浴室を暖め、居室との温度差を小さくすること。④入浴の前後に水分を摂る(発汗による脱水と血栓を防ぐ)。⑤湯温は38〜41℃。45℃は高すぎる。⑥まずかけ湯を足元から行い、湯温に慣らしてから浴槽に入る。⑦食後すぐ(1時間程度)と飲酒後は避ける。湯につかる時間は10分程度まで。
1分チェック
- 入浴の援助では。→ 脱衣室と浴室の温度差を小さくする(ヒートショックの予防)。
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