成人の気道の異物除去を目的とするのはどれか。
公式正答:4
解説
成人の気道の異物除去を目的とするものを問う。腹部圧迫法(ハイムリック法)である。
この問題で問われていること
窒息への対応と、心停止への対応を区別できるか。
しくみから理解する
腹部圧迫法は、傷病者の背後から両腕を回し、片手を握りこぶしにして臍のやや上(心窩部より下)に当て、もう一方の手で握って、素早く手前上方へ突き上げる方法になる。腹腔内の圧を急激に高めて横隔膜を押し上げ、胸腔内の圧を上げることで、気道内の異物を押し出す。意識のある成人の窒息に対して用いる。背部叩打法(肩甲骨の間を手掌基部で強く叩く)と交互に行い、異物が除去されるか、反応がなくなるまで続ける。反応がなくなったら、直ちに心肺蘇生を開始する。
選択肢ごとの確認
胸骨圧迫は、心停止に対する心肺蘇生の手技になる。ただし、窒息した傷病者の反応がなくなった場合には、心肺蘇生の一部として胸骨圧迫を行い、その圧が異物の除去にも働くことがある。設問は「気道の異物除去を目的とする」ものを問うており、胸骨圧迫の目的は循環の維持になる。
人工呼吸も心肺蘇生の手技であり、異物の除去を目的とするものではない。気道が閉塞していれば、送気しても入らない。
頭部後屈顎先挙上法は、気道の確保の方法になる。舌根の沈下による閉塞を解除するもので、固形の異物を取り除くものではない。頸椎損傷が疑われる場合は、下顎挙上法を用いる。
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混同しやすいポイント
誤肢は、心肺蘇生の手技2つと、気道確保の方法1つになる。「異物を取り除く」という目的に合うのは腹部圧迫法だけになる。窒息、気道確保、そして心停止という3つの場面を区別し、それぞれの手技を対応づける。設問文の「異物除去を目的とする」という限定を読むことが要点になる。
理解を深める
窒息への対応を整理する。判断=突然の呼吸困難、話せない、咳ができない、そして両手で喉をつかむしぐさ(チョークサイン)。顔面の紅潮からチアノーゼへ進む。声が出て強い咳ができる場合は、気道が完全には塞がっていないため、咳を続けるよう促す。対応(意識がある成人)=助けを呼び、119番通報を依頼する。背部叩打法と腹部圧迫法を交互に行う。妊婦と高度の肥満者では、腹部圧迫法は行わず、胸部突き上げ法(胸骨の下半分を圧迫する)を用いる。対応(乳児)=腹部圧迫法は臓器を損傷する危険があるため行わない。背部叩打法と胸部突き上げ法を交互に行う。反応がなくなったら=直ちに心肺蘇生を開始する。胸骨圧迫から始め、人工呼吸を行う際に口の中を見て、異物が見えれば取り除く。見えない異物を指で探る(盲目的指拭法)ことは、異物を押し込む危険があるため行わない。除去できた後=腹部圧迫法を行った場合は、肝臓、脾臓、胃や腸を損傷することがあるため、腹痛、嘔吐、腹壁の緊張、血圧の低下を観察し、症状がなくても医療機関の受診を勧める。異物が一部残ることもあるため、呼吸音の左右差、続く咳、喘鳴、発熱があれば受診する。予防=食事の形態の調整、一口量を少なく、よく噛む、食事中に話さない、姿勢を整える、そして食後の口腔内の確認。高齢者では、餅、団子、肉、パン、そしてこんにゃくゼリーなどが原因になりやすい。窒息は、高齢者の不慮の事故死の上位を占めるため、予防の指導が重要になる。
間違えやすい考え方
手技の目的を問う型で、誤肢が心肺蘇生の手技と気道確保の方法である。目的の限定を読んで切る。
5分で振り返る
①腹部圧迫法=背後から両腕を回し、臍のやや上に握りこぶしを当て、素早く手前上方へ突き上げる。腹腔内圧を高めて異物を押し出す。②背部叩打法(肩甲骨の間を手掌基部で叩く)と交互に行う。③反応がなくなったら直ちに心肺蘇生を開始する。④妊婦と高度の肥満者では胸部突き上げ法を用いる。⑤乳児では腹部圧迫法を行わず、背部叩打法と胸部突き上げ法を交互に行う。⑥見えない異物を指で探る盲目的指拭法は行わない(押し込む危険)。⑦声が出て強い咳ができる場合は、咳を続けるよう促す。
1分チェック
- 成人の気道異物の除去は。→ 腹部圧迫法(ハイムリック法)。背部叩打法と交互に行う。
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