静脈血採血の穿刺時の皮膚に対する針の適切な刺入角度はどれか。
公式正答:1
解説
静脈血採血の穿刺時の、皮膚に対する針の適切な刺入角度を問う。15〜20度である。
この問題で問われていること
注射の種類ごとの角度を、解剖学的な深さとともに覚えているか。
しくみから理解する
静脈は皮膚のすぐ下(皮下)を走るため、浅い角度で刺入する。15〜20度が目安になり、針の刃面を上に向け、血管の走行に沿って進める。角度が急すぎると、血管を貫通して裏側へ抜けたり、深部の神経や動脈を傷つけたりする。逆に浅すぎると、皮内にとどまって血管に入らない。血管に入ると、逆血(フラッシュバック)が確認できるため、そこで角度をさらに寝かせて数ミリ進め、針を固定する。
選択肢ごとの確認
35〜40度は静脈血採血には急すぎる。この角度は、皮下注射(10〜30度)と筋肉内注射(45〜90度)の中間にあたり、静脈への穿刺には適さない。
55〜60度も急すぎる。血管を貫通する危険が高い。
75〜80度は、筋肉内注射(一般に90度に近い角度)に近い。静脈血採血には不適切になる。
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混同しやすいポイント
注射の種類ごとの角度を、対象となる層の深さと結びつけて覚える。皮内注射=ほぼ水平(0〜10度程度)。真皮内へ浅く注入する。ツベルクリン反応、アレルギー検査、局所麻酔の初回。皮下注射=10〜30度。皮下組織へ。ワクチンの多く、ヘパリン。インスリンは器具によって異なり、現在のペン型注入器で用いる4〜8mmの短い針は皮膚に対して90度で刺入する(4mmでは皮膚をつまむ必要もない)。10〜30度は長い針を用いた従来の注射器の記述である。筋肉内注射=45〜90度(三角筋では90度に近い角度)。筋層へ。静脈内注射・採血=15〜20度。静脈へ。層が深いほど角度が急になる、という関係が基本になる。
理解を深める
採血に関わる解剖と安全を整理する。部位=肘窩の血管を用いる。肘正中皮静脈が最も太く、動脈と神経から離れているため第一選択になる。橈側皮静脈は外側、尺側皮静脈は内側を走る。尺側は、上腕動脈と正中神経が近いため、慎重に選ぶ(原則として避ける)。手背の静脈も用いられるが、細く痛みが強い。避ける部位=麻痺側、シャント側、乳房切除で腋窩リンパ節郭清をした側、点滴をしている側、皮膚に炎症や創傷のある部位、そして血腫のある部位。合併症=①神経損傷(刺入時の電撃痛、しびれ、放散痛を訴えたら直ちに抜針し、報告する。長引く場合は専門の診察へつなぐ)、②動脈穿刺(拍動性の鮮紅色の血液。直ちに抜針し、5分以上しっかり圧迫する)、③血腫(圧迫が不十分な場合。抗凝固薬を使用している患者ではとくに長めに圧迫する)、④迷走神経反射(気分不快、あくび、冷汗、悪心、徐脈、血圧の低下。直ちに仰臥位にして下肢を挙上し、意識とバイタルサインを観察する。過去に経験のある患者は、最初から臥位で採血する)、⑤感染。針は使用後リキャップせず、専用の容器へ直ちに廃棄する。針刺しが起きた場合は、直ちに流水で洗い、報告し、必要に応じて曝露後の対応をとる。
間違えやすい考え方
角度を問う型で、誤肢がすべて急すぎる角度である。層の深さと角度の関係で切る。
5分で振り返る
①静脈血採血の刺入角度は15〜20度。刃面を上に向け、血管の走行に沿って進める。②急すぎると血管を貫通し、神経や動脈を傷つける。浅すぎると血管に入らない。③皮内注射はほぼ水平(0〜10度)、皮下注射は10〜30度、筋肉内注射は45〜90度。層が深いほど角度が急になる。④肘正中皮静脈が第一選択。尺側皮静脈は上腕動脈と正中神経が近く原則として避ける。⑤避ける部位=麻痺側、シャント側、腋窩リンパ節郭清をした側、点滴中の腕。⑥刺入時の電撃痛やしびれは神経損傷を疑い直ちに抜針する。⑦迷走神経反射では仰臥位にして下肢を挙上する。
1分チェック
- 静脈血採血の刺入角度は。→ 15〜20度(静脈は皮下の浅い層を走る)。
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