心周期に伴う心臓の変化で、収縮期の初期には心室の容積は変わらずに内圧が上 昇していく。 このときの心臓で正しいのはどれか。
公式正答:4
解説
等容性収縮期を問う問題。4つの弁がすべて閉じていて、血液がどこにも出入りしないまま圧だけが上がっていく短い時間帯。
この問題で問われていること
心周期のどの局面で、どの弁が開いて閉じているかを言えるか。「容積が変わらずに内圧が上昇」という記述から局面を特定できるかが最初の関門。
しくみから理解する
心室が収縮を始めると、まず心室内圧が心房内圧を超えて房室弁(僧帽弁・三尖弁)が閉じる。この閉鎖音がI音。しかしこの時点では心室内圧はまだ大動脈圧より低いので、大動脈弁は開かない。房室弁も動脈弁も閉じたまま心室が収縮するため、血液は出入りできず容積は変わらないまま内圧だけが急上昇する。これが等容性収縮期。心室内圧が大動脈圧を超えた瞬間に大動脈弁が開き、駆出期に入る。このとき心室容積は最大(拡張末期容積)から減り始める。 【接地元】人体の構造と機能 第5版 心周期、ガイトン生理学 心臓のポンプ機能
選択肢ごとの確認
等容性収縮期の始まりは房室弁が閉じることで定義される。閉じているから容積が変わらない。なお原本の設問では「僧房弁」と印刷されているが、標準的な表記は「僧帽弁」である。
大動脈弁が開けば血液が出ていくので容積が減る。設問が「容積は変わらず」と言っている以上、開いていない。
この時点の容積は拡張末期容積=最大。最小になるのは駆出が終わった収縮末期。
まだ大動脈圧に届いていないから大動脈弁が開かない。届いた瞬間に弁が開いて駆出期に移る。
もっと詳しく読む
混同しやすいポイント
「収縮している=血液を出している」と思い込むと2や3を選ぶ。収縮の始まりには、圧を上げるためだけの助走区間がある。同じ理屈で、弛緩の始まりにも等容性弛緩期(両方の弁が閉じたまま圧だけ下がる)がある。
理解を深める
心周期を圧-容積曲線で描くと、長方形に近い4辺になる。右辺が等容性収縮(容積一定で圧上昇)、上辺が駆出(容積減少)、左辺が等容性弛緩(容積一定で圧低下)、下辺が充満(容積増加)。1回拍出量は拡張末期容積から収縮末期容積を引いた差で、駆出率はその割合(正常で55〜70%)。心音のI音は房室弁閉鎖=等容性収縮期の始まり、II音は動脈弁閉鎖=等容性弛緩期の始まりにあたる。
間違えやすい考え方
設問文のなかに答えの手がかり(容積は変わらない)が書き込まれている型。条件文を読んで、そこから物理的に何が言えるかを先に考えると誤肢が落ちる。
5分で振り返る
心周期=①等容性収縮期(房室弁が閉じI音、動脈弁はまだ閉。容積一定で圧上昇。容積は最大)→②駆出期(動脈弁が開く。容積減少)→③等容性弛緩期(動脈弁が閉じII音、房室弁はまだ閉。容積一定で圧低下。容積は最小)→④充満期(房室弁が開く。容積増加)。1回拍出量=拡張末期容積−収縮末期容積、駆出率は正常55〜70%。
1分チェック
- 等容性収縮期に開いている弁はあるか
- この時期の左心室の容積は最大か最小か
- 大動脈弁が開くのはどういうときか
- I音とII音はそれぞれ何の音か
この問題に対応する教材の確認中です。