リンパの流れで正しいのはどれか。
公式正答:4
解説
リンパには心臓のような中枢のポンプがない。代わりに、リンパ管そのものの平滑筋の収縮に、筋肉の動きと呼吸が加わって流れをつくる。運動すれば流量は増える。
この問題で問われていること
リンパの流れの向き・量・担当範囲・原動力の4点をまとめて確認する問題。3つが数値や方向の誤りで、正解は原動力を問うている。
しくみから理解する
リンパ管には心臓に相当するポンプがない。流れをつくっているのは、骨格筋の収縮による外からの圧迫(筋ポンプ)、呼吸による胸腔内圧の陰圧化(呼吸ポンプ)、リンパ管壁の平滑筋の自発的な収縮、そして逆流を防ぐ多数の弁である。向きは常に末梢から中枢への一方向で、最後は静脈角で静脈に合流する。1日に胸管を流れるリンパは約2〜4L。担当範囲は胸管が全身の約3/4、右リンパ本幹が右上半身のみ。 【接地元】人体の構造と機能 第5版 リンパ系、解剖学の講義録(桂先生・リンパ)
選択肢ごとの確認
実際は約2〜4L。10Lは多すぎる。毛細血管から組織へ漏れ出た体液のうち、静脈へ再吸収されずに残った分がリンパになるので、循環血液量と比べればはるかに少ない。
右上半身だけは右リンパ本幹が集めて右静脈角に注ぐ。胸管が集めるのは左上半身と下半身。
向きが逆。末梢から中枢へ流れる。多数の弁があるため逆流しない。
筋肉が収縮してリンパ管を外から圧迫し、弁のおかげで中枢方向にだけ押し出される。
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混同しやすいポイント
リンパを「血液と同じように循環するもの」と考えると3の誤りに気づけない。リンパは循環ではなく一方通行の回収路。組織に漏れた体液を静脈へ戻すための片道の配管である。
理解を深める
この仕組みが分かるとリンパ浮腫のケアが説明できる。乳癌の腋窩リンパ節郭清後に上肢がむくむのは、回収路が断たれて組織に体液が溜まるため。対処として患肢の挙上(重力を使う)、筋肉を使う運動(筋ポンプ)、弾性着衣による圧迫、用手的リンパドレナージが行われるが、いずれもここで挙げた原動力を人工的に補うものである。逆に長時間の立位や不動は流れを滞らせる。
間違えやすい考え方
1つの器官について量・向き・範囲・原動力を1肢ずつ誤らせる型。数値は「多すぎる/少なすぎる」の感覚を持っておくと落とせる。
5分で振り返る
リンパは末梢から中枢への一方向。心臓のような中枢のポンプはない。集合リンパ管の平滑筋が、弁で区切られた区画ごとに律動的に収縮して安静時の移送を担い、これに筋ポンプと呼吸ポンプが加わる。弁が逆流を防ぐ。胸管を流れる量は1日約2〜4L。胸管は全身の約3/4(左上半身+下半身)を集めて左静脈角へ、右リンパ本幹は右上半身を集めて右静脈角へ注ぐ。運動・挙上・圧迫はいずれも流れを助けるので、リンパ浮腫のケアの根拠になる。
1分チェック
- リンパの流れる向きはどちらか
- 1日に胸管を流れる量はどのくらいか
- リンパを流す原動力を4つ挙げられるか
- 右上半身のリンパはどこへ注ぐか
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