肥大型心筋症〈hypertrophic cardiomyopathy〉につい て正しいのはどれか。
公式正答:2
解説
肥大型心筋症について正しいものを問う。拡張障害が問題となる、である。
この問題で問われていること
心筋症の型ごとに、何が障害されるかを説明できるか。
しくみから理解する
肥大型心筋症では、心室(とくに心室中隔)の心筋が著しく肥厚し、心室の内腔が狭くなる。厚く硬くなった心筋は伸びにくいため、拡張期に十分な血液を受け入れられない。これが拡張障害になる。収縮力そのものはむしろ保たれるか亢進しているが、1回拍出量は減る。左室流出路に閉塞を伴う型(閉塞性肥大型心筋症)では、収縮期に流出路が狭まり、失神と突然死の原因になる。若年者の運動中の突然死の原因として重要な疾患であり、多くは常染色体顕性遺伝の形式をとる。
選択肢ごとの確認
ウイルス感染が主な病因なのは、拡張型心筋症の一部と、心筋炎になる。肥大型心筋症の多くは、サルコメア(筋節)を構成する蛋白質の遺伝子の変異による。家族歴の聴取が重要になる。
左室内腔が拡大するのは、拡張型心筋症になる。肥大型では、心筋が内側へ厚くなるため、内腔は狭くなる。
弁膜の肥厚は、弁膜症の所見になる。肥大型心筋症では、僧帽弁の前尖が収縮期に前方へ移動して流出路の閉塞に関与することがあるが(収縮期前方運動)、弁そのものが肥厚するわけではない。
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混同しやすいポイント
心筋症の3つの型を対比して覚える。肥大型=心筋が厚くなる。拡張障害。内腔は狭い。遺伝性が多い。拡張型=心室が拡大し、収縮力が落ちる。収縮障害。内腔は広い。ウイルス、アルコール、そして遺伝など。拘束型=心筋が硬くなり拡張できない。内腔は正常だが拡張障害が強い。まれ。誤肢は、それぞれ拡張型と弁膜症の特徴になっており、型の取り違えを問う設問になる。
理解を深める
肥大型心筋症の管理を整理する。症状=無症状のことも多い。労作時の呼吸困難、胸痛、動悸、めまい、そして失神。突然死が初発の症状になることもある。所見=閉塞性では、収縮期の駆出性雑音(立位やバルサルバ手技で増強する点が、大動脈弁狭窄症との違いになる)。心電図で左室肥大とST-T変化、異常Q波。心エコーで心室中隔の非対称性肥厚、そして流出路の圧較差。治療=β遮断薬、非ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬(心拍数を下げ、拡張期を長くして充満を助ける)。閉塞が強く症状が改善しない場合は、経皮的中隔心筋焼灼術または心筋切除術。突然死のリスクが高い場合は、植込み型除細動器を検討する。看護=①激しい運動と競技スポーツを避けるよう指導する(突然死の予防)、②脱水を避ける(循環血液量が減ると流出路の閉塞が強まる)、③血管拡張薬と利尿薬の使用に注意する(同様の理由)、④急に立ち上がらない、⑤動悸、めまい、失神があれば受診する、⑥家族の検査(遺伝性であるため、第一度近親者の心電図と心エコーによる検査が勧められる)。若年で診断されることが多く、進路、就労、そしてスポーツの制限が生活に大きく関わるため、心理的な支援も必要になる。
間違えやすい考え方
疾患の特徴を問う型で、誤肢が拡張型心筋症と弁膜症の特徴である。3つの型を対比して切る。
5分で振り返る
①肥大型心筋症=心筋(とくに心室中隔)が肥厚し内腔が狭くなる。厚く硬い心筋が伸びず拡張障害を生じる。②収縮力は保たれるか亢進するが1回拍出量は減る。③閉塞性の型では収縮期に流出路が狭まり、失神と突然死の原因になる。④多くはサルコメア蛋白の遺伝子変異による(常染色体顕性遺伝)。⑤拡張型心筋症=心室が拡大し収縮力が落ちる。ウイルス、アルコール、遺伝など。⑥雑音は立位やバルサルバ手技で増強する(大動脈弁狭窄症との違い)。⑦看護=激しい運動を避ける、脱水を避ける、血管拡張薬と利尿薬に注意、家族の検査を勧める。
1分チェック
- 肥大型心筋症で問題になるのは。→ 拡張障害(心筋が厚く硬く、内腔は狭い)。
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