歯周病〈periodontal disease〉につい て正しいのはどれか。
公式正答:3
解説
歯周病について正しいものを問う。真性ポケットが形成される歯周炎を含む、である。
この問題で問われていること
歯肉炎と歯周炎の違いを、破壊の範囲で説明できるか。
しくみから理解する
歯周病は、歯周組織(歯肉、歯根膜、セメント質、歯槽骨)に起こる炎症性の疾患の総称で、歯肉炎と歯周炎を含む。歯肉炎は、炎症が歯肉にとどまり、歯を支える骨は破壊されていない段階になる。このとき、腫れた歯肉により見かけ上深くなった溝を仮性ポケットという。歯周炎は、炎症が歯根膜と歯槽骨に及び、付着が失われて、実際に深いポケットが形成される段階になる。これが真性ポケットで、歯槽骨の吸収を伴う。したがって、真性ポケットが形成される歯周炎を含む、という記述が正しい。
選択肢ごとの確認
原因はウイルス感染ではなく、細菌になる。歯垢(プラーク)の中の歯周病原細菌が、毒素と酵素を出して炎症を起こす。歯垢は石灰化して歯石になり、細菌の足場になる。
発症の直接因子は飲酒ではなく、歯垢(細菌)になる。飲酒は間接的な要因(リスク因子)にはなりうるが、直接の原因ではない。直接因子は細菌であり、リスク因子として、喫煙、糖尿病、ストレス、口呼吸、歯並び、そして不適合な補綴物が挙げられる。とくに喫煙は最大のリスク因子とされる。
破壊が歯槽骨まで及んでいるのは、歯肉炎ではなく歯周炎になる。歯肉炎は歯肉にとどまる段階で、適切な口腔清掃により元に戻る(可逆的)。歯周炎で失われた歯槽骨は元に戻らない(不可逆的)。
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混同しやすいポイント
「歯肉炎=歯肉まで、可逆的、仮性ポケット」「歯周炎=歯槽骨まで、不可逆的、真性ポケット」という対比を押さえる。誤肢は、原因(ウイルス)、直接因子(飲酒)、そして用語の取り違え(歯肉炎と歯周炎)になる。歯周病は、日本の成人の多くが罹患しており、歯を失う最大の原因になる。
理解を深める
歯周病と全身の健康の関わりを整理する。糖尿病=双方向の関係がある。高血糖は歯周組織の炎症を悪化させ、逆に歯周病の炎症は インスリン抵抗性を高めて血糖の管理を悪化させる。歯周治療により血糖の指標が改善することが示されている。誤嚥性肺炎=口腔内の細菌が誤嚥により肺へ入って発症する。口腔ケアにより発症率が下がることが示されており、高齢者と要介護者へのケアとして重要になる。動脈硬化性疾患=歯周病原細菌と炎症が、動脈硬化の進行に関わるとされる。早産・低出生体重児=歯周病のある妊婦でリスクが高まるとの報告がある。関節リウマチ、慢性腎臓病との関連も指摘されている。看護の実務での口腔ケア=①目的は、清潔だけでなく、感染の予防、唾液の分泌の促進、口腔機能の維持、そして爽快感になる。②方法は、歯ブラシによる機械的な清掃が基本で、含嗽だけでは歯垢は落ちない。③経口摂取をしていない患者でも、口腔内は乾燥し細菌が増えるため、ケアが必要になる。④義歯は毎日外して洗い、夜間は原則として外して保管する。⑤誤嚥に注意し、体位を整え、水分の量を調整する。⑥出血傾向、粘膜の脆弱な患者では、やわらかいブラシとスポンジを用いる。
間違えやすい考え方
疾患の理解を問う型で、誤肢が原因・直接因子・用語の取り違えである。歯肉炎と歯周炎の対比で切る。
5分で振り返る
①歯周病=歯肉炎と歯周炎の総称。歯周組織は歯肉、歯根膜、セメント質、歯槽骨。②歯肉炎=炎症が歯肉にとどまる。仮性ポケット。可逆的。③歯周炎=炎症が歯根膜と歯槽骨に及び、付着が失われる。真性ポケット。歯槽骨の吸収は不可逆的。④直接の原因は歯垢(プラーク)の中の細菌。ウイルスではない。⑤リスク因子=喫煙(最大)、糖尿病、ストレス、口呼吸、歯並び、不適合な補綴物。⑥糖尿病とは双方向の関係があり、歯周治療で血糖の指標が改善する。⑦口腔ケアは誤嚥性肺炎の予防に有効。含嗽だけでは歯垢は落ちず、機械的な清掃が基本になる。
1分チェック
- 真性ポケットが形成されるのは。→ 歯周炎(炎症が歯槽骨まで及ぶ)。
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