帯状疱疹〈herpes zoster〉 について正しいのはどれか。
公式正答:2
解説
帯状疱疹について正しいものを問う。感染の既往として水痘がある、である。
この問題で問われていること
ウイルスの潜伏と再活性化という機序を説明できるか。
しくみから理解する
帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化によって生じる。初感染では水痘(みずぼうそう)を発症し、治癒した後もウイルスは知覚神経節(脊髄後根神経節、三叉神経節)に潜伏し続ける。加齢、疲労、ストレス、悪性腫瘍、免疫抑制薬、そして他の疾患による免疫の低下をきっかけに再活性化し、その神経の支配領域(皮膚分節)に沿って、片側性に、帯状の水疱と痛みを生じる。したがって、帯状疱疹を発症するには、水痘の既往(または水痘ワクチンの接種)が前提になる。
選択肢ごとの確認
運動神経の麻痺は生じうる。ウイルスが運動神経にも及ぶことがあり、顔面神経麻痺を伴うラムゼイ・ハント症候群(耳介の水疱、顔面神経麻痺、難聴、めまい)や、四肢の運動麻痺、そして膀胱直腸障害を生じることがある。
ウイルスは発症後1か月で消滅しない。皮疹が治癒しても、ウイルスは再び神経節に潜伏し続け、再度の再活性化が起こりうる。生涯にわたって体内にとどまる。
原因は単純ヘルペスウイルスではなく、水痘・帯状疱疹ウイルスになる。どちらもヘルペスウイルス科に属するが別のウイルスで、単純ヘルペスウイルスは口唇ヘルペス、性器ヘルペス、そしてヘルペス脳炎の原因になる。
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混同しやすいポイント
「初感染で水痘、再活性化で帯状疱疹」という一つの流れを押さえれば、大半の選択肢を判断できる。誤肢のうち、運動麻痺の否定と、ウイルスの消滅は、いずれも「そうであってほしい」という方向の誤りになる。実際には、合併症も後遺症もあり、ウイルスは生涯とどまる。単純ヘルペスウイルスとの取り違えも、頻出の誤りになる。
理解を深める
帯状疱疹の管理を整理する。症状=皮疹に先行して、数日前から片側性の疼痛、違和感、掻痒感が現れることが多い。その後、紅斑、丘疹、水疱、膿疱、痂皮と変化し、通常2〜4週間で治癒する。分布は、片側性で正中を越えず、1〜数個の皮膚分節に限られる(胸部と顔面に多い)。合併症=帯状疱疹後神経痛(皮疹が治癒した後も続く痛み。高齢で、急性期の痛みが強いほど起こりやすい)、眼合併症(三叉神経第1枝の場合。角膜炎、ぶどう膜炎、視力障害)、ラムゼイ・ハント症候群、髄膜炎、そして播種性帯状疱疹(免疫が低下した人で全身に広がる)。治療=抗ヘルペスウイルス薬(アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビル、アメナメビル)を、できるだけ早く(発疹の出現から72時間以内が目安)開始する。疼痛には、非ステロイド性抗炎症薬、そして神経障害性疼痛の薬(プレガバリンなど)を用いる。感染対策=水疱の中にはウイルスがおり、接触により水痘未感染者へ感染しうる(帯状疱疹としてではなく水痘として発症する)。皮疹を覆い、水痘の既往のない人、妊婦、そして免疫の低下した人との接触を避ける。免疫が正常な人の限局した帯状疱疹では、皮疹を覆えば接触予防策で足りる。免疫の低下した患者では、限局して見えても播種していることがあるため、播種が否定されるまで空気予防策と接触予防策を併せて行う。播種性と確認された場合も、すべての皮疹が痂皮化するまで両者を続ける。予防=50歳以上を対象に帯状疱疹ワクチン(生ワクチンと不活化ワクチン)がある。
間違えやすい考え方
疾患の特徴を問う型で、誤肢が合併症の否定・ウイルスの消滅・ウイルスの取り違えである。潜伏と再活性化で切る。
5分で振り返る
①帯状疱疹は水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化による。初感染は水痘。②治癒後もウイルスは知覚神経節に潜伏し、免疫の低下で再活性化する。生涯とどまる。③皮疹は片側性で正中を越えず、1〜数個の皮膚分節に沿う。④運動神経にも及び、ラムゼイ・ハント症候群(顔面神経麻痺、耳介の水疱、難聴、めまい)や膀胱直腸障害を生じうる。⑤単純ヘルペスウイルスとは別のウイルス。⑥治療は抗ヘルペスウイルス薬を発疹から72時間以内を目安に開始する。⑦水疱の接触により水痘未感染者へ水痘として感染しうる。皮疹を覆い、妊婦と免疫低下者との接触を避ける。
1分チェック
- 帯状疱疹の前提となる既往は。→ 水痘(同じウイルスの初感染)。
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