健康に関する指標の記述で正しいのはどれか。
公式正答:3
解説
健康に関する指標の記述で正しいものを問う。受療率は人口10万人に対する推計患者数である、である。
この問題で問われていること
指標の定義を、分母と分子で正確に持っているか。
しくみから理解する
受療率は、患者調査において、調査日に医療機関を受療した推計患者数を、人口10万人あたりで表した指標になる。入院受療率と外来受療率に分けて算出され、年齢階級別、傷病分類別、そして都道府県別に示される。ある一日の断面を捉えた指標であり、その時点でどれだけの人が医療を受けていたかを表す。患者調査は3年ごとに実施される。
選択肢ごとの確認
罹患率が高い疾患が、必ずしも有病率が高くなるとは限らない。罹患率は、一定期間に新たに発生した患者の割合(発生の速さ)を表し、有病率は、ある時点で疾患を有している人の割合(存在の量)を表す。有病率は、おおまかに罹患率×罹病期間で決まるため、罹患率が高くても、短期間で治癒するか死亡する疾患(インフルエンザなど)では有病率は高くならない。逆に、罹患率が低くても、長く続く疾患(慢性疾患)では有病率が高くなる。
推計患者数には、助産所を利用した者は含まれない。患者調査の対象は、病院、一般診療所、そして歯科診療所になる。助産所は含まれない。また、正常な妊娠と分娩は疾病ではないため、扱いが異なる。
平均在院日数は、調査時点で入院している者の在院日数の平均ではない。病院報告における平均在院日数は、在院患者延数を、新入院患者数と退院患者数の平均で割って求める。病床がどれだけの速さで回転しているかから導く指標で、個々の退院患者の在院日数を平均したものではない。個々の在院日数を平均するのは患者調査の平均在院日数で、調査も分母も異なる。調査時点で入院中の人だけを見ると、長期入院の人が多く含まれ、実際より長くなる(長さに応じて選ばれやすいことによる偏り)。
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混同しやすいポイント
誤肢は、指標の関係(罹患率と有病率)、調査の対象(助産所)、そして算出の方法(平均在院日数)で誤っている。統計の指標は、分母と分子、対象、そして期間を正確に持つことが要点になる。とくに、罹患率と有病率の関係(有病率≒罹患率×罹病期間)は、疫学の基本として繰り返し問われる。
理解を深める
主な保健統計を整理する。患者調査=3年ごと。推計患者数、受療率、総患者数、退院患者の平均在院日数、そして傷病分類別の状況。受療率が高い傷病は、入院では精神および行動の障害、循環器系の疾患、損傷・中毒など。外来では消化器系の疾患(歯科を含む)、健康状態に影響を及ぼす要因、そして筋骨格系の疾患が上位になる。病院報告=毎月。在院患者延数、新入院・退院患者数、平均在院日数、病床利用率。医療施設調査=医療施設の数、病床数、診療科目。国民健康・栄養調査=毎年。栄養素等摂取量、食塩摂取量、野菜摂取量、身体活動、喫煙、飲酒、そして肥満とやせの状況。学校保健統計調査=毎年。児童生徒の発育(身長、体重)と健康状態(裸眼視力、う歯、肥満傾向児)。疫学の指標=罹患率(新規発生/観察人年)、有病率(ある時点の患者数/人口)、致命率(死亡数/罹患数)、死亡率(死亡数/人口)、相対危険度、寄与危険度、そしてオッズ比。研究デザイン=記述疫学、生態学的研究、横断研究、症例対照研究、コホート研究、そして介入研究(無作為化比較試験)。後になるほど因果関係を示す力が強くなる。
間違えやすい考え方
指標の定義を問う型で、誤肢が関係・対象・算出方法で誤っている。分母と分子、対象、期間で切る。
5分で振り返る
①受療率=調査日に医療機関を受療した推計患者数を人口10万対で表す。入院と外来に分けて算出する。②患者調査は3年ごと。対象は病院、一般診療所、歯科診療所で、助産所は含まない。③有病率≒罹患率×罹病期間。罹患率が高くても短期間で治る疾患では有病率は高くならない。④病院報告の平均在院日数は、在院患者延数を、新入院患者数と退院患者数の平均で割って求める。患者調査の平均在院日数は、退院した個々の患者の在院日数を平均したもので、調査も分母も異なる。⑤調査時点の入院者だけを見ると長期入院に偏る。⑥病院報告は毎月、国民健康・栄養調査と学校保健統計調査は毎年、国勢調査は5年ごと。⑦研究デザインは、記述疫学<横断<症例対照<コホート<介入の順に因果を示す力が強い。
1分チェック
- 受療率とは。→ 人口10万人に対する推計患者数(患者調査、3年ごと)。
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