便の性状と原因の組合せで正しいのはどれか。
公式正答:3
解説
便の性状と原因の組合せで正しいものを問う。タール便と上部消化管出血である。
この問題で問われていること
便の色と性状から、どこに何が起きているかを推定できるか。
しくみから理解する
タール便(黒色便)は、上部消化管(食道、胃、十二指腸)からの出血によって生じる。血液中のヘモグロビンが、胃酸と腸内細菌の作用を受けて変性し、黒色になる。粘稠で光沢があり、特有の悪臭を伴う。原因には、胃・十二指腸潰瘍、食道静脈瘤、胃癌、そしてマロリー・ワイス症候群がある。出血量がおよそ50〜100mL以上で認められるとされる。ただし、鉄剤、ビスマス製剤、そして活性炭の内服でも便が黒くなるため、鑑別が必要になる(これらでは光沢と悪臭を伴わない)。
選択肢ごとの確認
灰白色便は、胆汁が腸管へ流れていないことを示す。閉塞性黄疸(胆道の閉塞:胆管癌、膵頭部癌、総胆管結石)、胆道閉鎖症、そしてウイルス性肝炎の一部でみられる。クローン病では、下痢、粘血便、腹痛、体重減少がみられるが、灰白色便は特徴ではない。
鮮紅色便は、下部消化管(大腸、直腸、肛門)からの出血を示す。痔核、大腸癌、大腸憩室出血、虚血性大腸炎、そして潰瘍性大腸炎などが原因になる。鉄剤の内服では、便は黒色になる。
米のとぎ汁様便は、コレラの特徴的な所見になる。大量の水様便で、白色から灰白色に濁る。急性膵炎では、腹痛、悪心・嘔吐、そして脂肪の消化が障害されることによる脂肪便(灰白色で脂ぎった、水に浮く便)がみられることがあるが、米のとぎ汁様便ではない。
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混同しやすいポイント
便の色と、それが示す部位・病態を対応づけて覚える。黒色(タール便)=上部消化管出血(または鉄剤等)。鮮紅色=多くは下部消化管出血。ただし上部消化管からの大量かつ急速な出血では、血液が変性する前に排出されて鮮紅色になることがある。灰白色=胆汁の流出障害(または脂肪便)。緑色=新生児の胎便、または腸内での通過が速い場合。米のとぎ汁様=コレラ。粘血便=細菌性赤痢、アメーバ赤痢、潰瘍性大腸炎、腸管出血性大腸菌感染症。便の色は部位を推定する手がかりであって、部位を確定する規則ではない。血圧の低下や頻脈を伴う鮮血便では、上部消化管出血を除外しないまま緊急の対応をとる。誤肢は、いずれも別の疾患と便の性状を組み合わせたものになる。
理解を深める
排便の観察を整理する。回数と量=個人差が大きいが、3日に1回から1日3回程度が正常の範囲とされる。硬さ=ブリストル便性状スケール(1:硬いコロコロ便から7:水様便まで7段階)を用いると、共通の言葉で評価できる。3〜5が正常の範囲になる。色=黄褐色が正常。上記の異常色に注意する。におい=食事と腸内細菌によるが、著しい悪臭は消化管出血や吸収不良を示すことがある。混入物=血液、粘液、膿、未消化物、寄生虫。随伴症状=腹痛、腹部膨満、悪心・嘔吐、発熱、体重減少、そして残便感。便秘の分類=機能性(弛緩性、けいれん性、直腸性)と器質性(腫瘍、狭窄)。下痢の分類=浸透圧性、分泌性、滲出性、そして腸管運動の亢進による。急性の下痢では感染性を疑い、慢性では炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、吸収不良、そして薬剤を考える。看護では、性状の記録を主観的な表現に頼らず、スケールと具体的な描写で残すことが、経過の評価と情報の共有につながる。
間違えやすい考え方
組合せを問う型で、誤肢がすべて別の疾患との組み合わせである。便の色と部位・病態の対応で切る。
5分で振り返る
①タール便(黒色便)=上部消化管出血。ヘモグロビンが胃酸と腸内細菌で変性する。粘稠で光沢があり悪臭を伴う。②およそ50〜100mL以上の出血で認められる。鉄剤やビスマス製剤の内服でも黒くなる(光沢と悪臭はない)。③鮮紅色便=多くは下部消化管出血(痔核、大腸癌、憩室出血、虚血性大腸炎)。ただし上部消化管からの大量かつ急速な出血でも鮮紅色になることがあり、循環動態が不安定な鮮血便では上部消化管出血を除外しない。④灰白色便=胆汁の流出障害(閉塞性黄疸、胆道閉鎖症)。⑤米のとぎ汁様便=コレラ。⑥粘血便=細菌性赤痢、アメーバ赤痢、潰瘍性大腸炎、腸管出血性大腸菌感染症。⑦硬さはブリストル便性状スケール(1〜7、3〜5が正常)で評価すると共通の言葉になる。
1分チェック
- タール便が示すのは。→ 上部消化管出血(胃酸で変性した血液)。
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