創傷治癒の成熟期の状態はどれか。
公式正答:4
解説
創傷治癒の成熟期の状態を問う。瘢痕を形成することである。
この問題で問われていること
治癒の過程を、段階ごとに区別できるか。
しくみから理解する
創傷の治癒は、3つの段階を経る。①炎症期(受傷から数日)=止血が起こり、好中球とマクロファージが集まって、細菌と壊死組織を取り除く(清浄化)。②増殖期(数日から3週間程度)=線維芽細胞がコラーゲンを産生し、毛細血管が新生して肉芽組織を形成する。同時に、創縁から表皮の基底細胞が遊走して創面を覆う(上皮化)。③成熟期(リモデリング期。3週間から数か月、数年)=コラーゲンが整えられ、組織が再構築されて、瘢痕が形成される。瘢痕は次第に白く、平坦に、柔らかくなるが、元の皮膚の強度には戻らない(おおむね8割程度)。したがって、瘢痕の形成が成熟期の状態になる。
選択肢ごとの確認
マクロファージが創内を清浄化するのは、炎症期になる。マクロファージは、貪食に加えて、成長因子を放出して次の増殖期を促す役割も担う。
基底細胞が創面を覆う(上皮化)のは、増殖期になる。湿潤な環境では、上皮細胞が遊走しやすく、治癒が速く進む。
肉芽組織を形成するのも増殖期になる。良好な肉芽は鮮紅色で、適度な湿潤があり、易出血性を示す。不良な肉芽は、白色または暗赤色で、浮腫状になる。
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混同しやすいポイント
3つの段階を順に押さえ、それぞれの主役となる細胞と現象を対応づける。炎症期=好中球とマクロファージ、清浄化。増殖期=線維芽細胞と血管新生、肉芽と上皮化。成熟期=コラーゲンの再構築、瘢痕。誤肢はすべて、成熟期より前の段階の現象になる。「成熟」という語から、最後の段階だと分かることもヒントになる。
理解を深める
創傷管理の考え方を整理する。湿潤環境下の治癒=創面を適度に湿潤に保つことで、上皮細胞の遊走が促され、痛みも減り、瘢痕も目立ちにくくなる。乾燥させて痂皮を作ると、治癒は遅れる。ただし例外がある。踵部などにできた安定した乾燥した黒色壊死や、血流の乏しい虚血肢の乾燥壊死では、湿潤化も壊死組織の軟化も行わず、乾燥した状態のまま保護し、まず血流を評価する。ここで湿潤にすると、感染と組織欠損の拡大を招く。ドレッシング材=ポリウレタンフィルム(浅い創、固定)、ハイドロコロイド(浸出液が少ない創)、ハイドロジェル(乾燥した壊死組織の軟化。血流が保たれていることを確かめてから用いる)、アルギン酸塩とハイドロファイバー(浸出液が多い創、止血)、ポリウレタンフォーム(浸出液が多い創、圧の分散)。浸出液の量と、創の状態に応じて選ぶ。創の評価=大きさ、深さ、滲出液の量と性状、創底の色(黒=壊死、黄=スラフ、赤=良好な肉芽、白=上皮化)、創縁、周囲の皮膚、感染の徴候(発赤、腫脹、熱感、疼痛、膿性の滲出液、悪臭)、そして疼痛。褥瘡ではDESIGN-Rによる評価が広く用いられる。治癒を妨げる要因=感染、壊死組織、乾燥、過剰な滲出液、異物、血流の不足、低栄養(とくに蛋白質、亜鉛、ビタミンCの不足)、糖尿病、ステロイドと免疫抑制薬、喫煙、そして繰り返す機械的な刺激(ずれ、圧迫、摩擦)。看護では、創そのものの管理に加えて、これらの全身の要因を整えることが治癒を早める。栄養の評価と支援は、しばしば最も効果の大きい介入になる。
間違えやすい考え方
段階を問う型で、誤肢がすべて前の段階の現象である。3段階と主役の細胞を対応づけて切る。
5分で振り返る
①創傷治癒の3段階=炎症期、増殖期、成熟期(リモデリング期)。②炎症期(受傷から数日)=止血、好中球とマクロファージによる清浄化。③増殖期(数日〜3週間)=線維芽細胞によるコラーゲンの産生、血管新生、肉芽の形成、そして基底細胞による上皮化。④成熟期(3週間〜数か月・数年)=コラーゲンの再構築、瘢痕の形成。強度は元の8割程度までしか戻らない。⑤湿潤環境を保つと上皮化が進み、痛みも減る。乾燥と痂皮は治癒を遅らせる。ただし踵部の安定した乾燥壊死や虚血肢の乾燥壊死は例外で、乾燥のまま保護し、まず血流を評価する。⑥創底の色=黒(壊死)、黄(スラフ)、赤(良好な肉芽)、白(上皮化)。⑦治癒を妨げる要因=感染、壊死組織、乾燥、低栄養、血流不足、糖尿病、ステロイド、喫煙、ずれと圧迫。
1分チェック
- 成熟期に起こるのは。→ 瘢痕の形成(コラーゲンの再構築)。
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