成人への与薬方法で正しいのはどれか。
公式正答:4
解説
成人への与薬方法で正しいものを問う。点眼薬は下眼瞼結膜の中央に滴下する、である。
この問題で問われていること
各与薬経路の手技を、根拠とともに覚えているか。
しくみから理解する
点眼では、患者に上方を見てもらい、下眼瞼を軽く下方へ引いて結膜嚢を露出させ、その中央に1滴滴下する。結膜嚢の容量は20〜30マイクロリットル程度で、点眼薬1滴(約50マイクロリットル)でも多いくらいのため、1滴で十分になる。角膜に直接落とすと、刺激で反射的に閉眼し、涙で流れてしまう。また、容器の先が眼瞼やまつ毛に触れると汚染するため、触れないようにする。点眼の後は、まばたきをせず、静かに閉眼し、目頭(涙嚢部)を1〜5分軽く押さえる。これにより、薬液が鼻涙管から流出して全身へ吸収されるのを防ぎ、眼への作用を高められる。
選択肢ごとの確認
筋肉内注射は大殿筋ではなく、中殿筋(クラークの点、ホッホシュテッターの部位)または三角筋に行う。大殿筋の部位は、坐骨神経が走行しており、損傷の危険が高いため用いない。
坐薬は、肛門から1cmではなく、成人で3〜5cm程度挿入する。内肛門括約筋を越える位置まで入れないと、押し出されてしまう。挿入後は数分間、肛門を押さえるか、殿部を寄せて保持する。
バッカル錠は、かんでから飲み込むものではない。上顎の臼歯と頬の間(バッカル部)に挟み、唾液で徐々に溶かして、口腔粘膜から吸収させる製剤になる。かむ、飲み込む、水で流すといった扱いをすると、目的の効果が得られない。舌下錠も同様に、舌の下で溶かす。
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混同しやすいポイント
誤肢は、注射の部位、坐薬の深さ、そして製剤の扱い方という3点で誤っている。それぞれに理由がある。大殿筋を避けるのは坐骨神経のため。坐薬を深く入れるのは押し出されないため。バッカル錠をかまないのは口腔粘膜から吸収させるため。手技の数値と方法を、理由とともに覚えると、混同しにくくなる。
理解を深める
与薬の基本を整理する。6つのRight=正しい患者、正しい薬物、正しい量、正しい経路、正しい時間、正しい目的(加えて、正しい記録を含めることもある)。確認は、①指示を受けたとき、②薬を準備するとき、③患者に投与する直前、の3回行う。経口薬=食前(食事のおよそ30分前)、食直前、食後(食事の後おおむね30分以内)、食間(食事のおよそ2時間後)、頓用。いずれも幅のある目安で、個々の薬剤では処方の指示が優先する。指示された時間の意味を理解する(血糖降下薬の食直前、消化薬の食後、粘膜保護薬の食間など)。口腔内崩壊錠、腸溶錠(かみ砕かない、粉砕しない)、徐放錠(同様)の区別も重要になる。点眼=複数の薬を使う場合は5分以上あける。懸濁性のものは後に。眼軟膏は最後に。点鼻=頭を後屈させて滴下し、しばらく保つ。吸入=定量噴霧式吸入器では、ゆっくり深く吸い、数秒息を止める。吸入ステロイドの後は含嗽して口腔カンジダ症を防ぐ。貼付剤=毎回部位を変えて皮膚障害を防ぐ。前の貼付剤を必ず剝がす(剝がし忘れによる過量投与の事故がある)。麻薬の貼付剤ではとくに注意する。注射=皮内、皮下、筋肉内、静脈内の角度と部位を区別する。看護師は、指示の内容に疑問があれば必ず確認し、不明なまま実施しないことが原則になる。
間違えやすい考え方
与薬の手技を問う型で、誤肢が部位・深さ・製剤の扱いで誤っている。それぞれの理由から導く。
5分で振り返る
①点眼は、上方を見てもらい下眼瞼を引いて結膜嚢の中央に1滴。角膜に直接落とすと反射的に閉眼して流れる。②結膜嚢の容量は20〜30マイクロリットルで、1滴で十分。容器の先を眼瞼やまつ毛に触れさせない。③点眼後は静かに閉眼し、目頭を1〜5分押さえる(全身への吸収を防ぐ)。複数の薬は5分以上あける。④筋肉内注射は中殿筋または三角筋。大殿筋は坐骨神経の損傷の危険があり用いない。⑤坐薬は成人で3〜5cm挿入し、内肛門括約筋を越える。⑥バッカル錠は上顎の臼歯と頬の間で溶かす。かまない、飲み込まない。⑦貼付剤は毎回部位を変え、前のものを必ず剝がす。
1分チェック
- 点眼薬は。→ 下眼瞼結膜の中央に1滴(角膜に直接落とさない)。
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